一般社団法人三重中勢勤労者サービスセンターに勤務するA氏が受けた育休ハラスメント。前葉泰幸市長が理事長を務めるという点からしても責任は免れない。それ以前に首長が理事長を務める団体に約1300万円の補助金が交付されるのも違和感を覚える。その実態は前葉市長の「支援組織」との批判は市議からも起きていたのだ。(写真は連合三重のメーデーに出席する前葉市長)
三重県が民主王国と言われる理由
前編でも指摘したが三重県は民主王国であり、連合が強い地域だ。連合の加盟組織「三重県教職員組合」(三教組)は全国でも有数の組織率を誇り、政治行政に与える影響も大だ。A氏の育休ハラスメントの第一報を報じた『三重タイムズ』発刊の『津市役所の闇』(田邊哲司著)を引用させて頂く。
前葉市長は相生町自治会長事件の百条委員会について田邊哲司相生町元自治会長との関係を問われ〝千人いる自治会長の一人〟と関係を否定。しかし後に田邊氏の著作で記念写真付きで面識があったことを暴露された。
写真には前葉市長、田邊氏、その隣に青木謙順三重県議がいる。青木県議は党籍こそ自民党だが実は三教組出身だ。日教組出身の自民党議員というのも非常に三重らしい。

前葉市長も連合三重から推薦されている組織候補だ。連合三重のWebサイトにも推薦首長として紹介されている。2011年、津市長選で初当選した際は民主党系の地域政党や連合三重から推薦を受け当選。以降の選挙では自民党も相乗りし2023年に4選を果たした。自民党ですら独自候補を擁立できないほど前葉市長は強い。
地元の政治通がその裏事情を明かす。
「地元自民党の領袖、田村憲久衆院議員(三重1区)が万一、前葉市長が衆院選に鞍替えした場合を恐れて市長に留めておきたいのですよ。大臣経験者だからどっしり構えていればいいのに」
田村家は地元名士。地元ゼネコン、日本土建(株)の創業家出身。以前はケーブルテレビ、インターネット事業を行う(株)ZTVは日本土建の子会社だった。しかしZTVが事業拡大し現在は日本土建が子会社だ。田村氏は県下有数の企業がバックにつく。中勢地方の雄、田村氏でも連合推薦の前葉市長は警戒すべき存在なのだろう。

センター理事は前葉市長の応援団がズラリ
勤労者の生活向上を目的とする三重中勢勤労者サービスセンターだが、中で働くA氏の労働環境を軽んじすぎではないか。こうなると労働者のための組織というのは疑わしい。むしろ実態は前葉市長の事実上の〝選対本部〟ではないか。
中勢勤労者サービスセンターが入居する労働会館に入るとまず視界に飛び込むのは「連合津」の旗幕。連合の関連施設ということがよく分かる。そして役員構成をご覧頂こう。


副理事長には前葉市長の後援会会長である(株)辻工務店会長の辻正敏氏、連合三重津地域協議会議長の森本和秀氏、理事にも連合三重津地域協議会事務局長、連合のメインバンクである労金津支店支店長など連合色が強い組織だ。
これでは前葉市長の応援団組織と揶揄されても仕方がない。
辻氏の名前が出てきたところで別途、指摘しておきたい。1985年に第三セクター方式で建設された(株)津センターパレスは前葉市長が社長を務める。津市大門という繁華街に位置するため地域活性化を目的にした施設だ。かつてはダイエーや津都ホテルが入居していたが撤退。代わって2022年4月に「Hotel 津 Center Palace」としてリニューアルオープンした。

昨年12月18日、センターパレスホールが「三重の間」としてオープンし、同日にはオープニングセレモニーが行われた。式典には市関係者、市議なども出席し盛大に行われたのが、挨拶に立ったのが三重中勢勤労者サービスセンター副理事長にも名を連ねる辻氏だ。
辻氏は大門エリアの商業振興を進める「津市大門・丸之内地区未来ビジョン策定委員会」の委員長でもある。立場上、センターパレスの行事で挨拶することは特段、不思議ではない。
ところが改修工事を行ったのは辻氏が会長を務める辻工務店。
「ホール工事は約2億5千万円で辻工務店に発注されました」(市関係者)
大門商店街の権利関係は複雑でいわゆる「反社」や「同和団体」の影も見え隠れする。
「大門振興は面倒だから担い手がいないということで辻氏に委員長職が回ってきたというのです。その代わりの発注というのでしょうか。だとすると〝見返り〟や〝癒着〟と思われても仕方がないでしょうね」(前同)
三重中勢勤労者サービスセンター、津センターパレスも前葉市長のお手盛り組織としか思えないのだ。前葉市長と辻氏との関係について問うたところ
「当該ホテル「三重の間」の改装工事につきましては、ホテルが事業主体となり発注したものです」
秘書課を通してこのような回答があった。事業主体はホテルなので問題ないとの見解のようだ。
故・岡村武市議も議会で追及していた!
もちろんこうした実態について市議らも放置してきたわけではなかった。特に津市議会の名物議員、故・岡村武元市議は前葉市長と三重中勢勤労者サービスセンターとの関係を厳しく質した。
2023年6月19日の議会で岡村氏はセンターが入居する労働会館の運営について指摘。労働会館は市の施設なのになぜ無料で貸しているのかという疑問だ。
この指定管理者の団体、一般社団法人三重中勢勤労者サービスセンター、ここの理事長が市長なんですよね。これは、補助金をもらう側と、指定管理者という権限を与えてもらう側の人なんですね。そして、市長は与える側、これ一緒の人物が勝手に決めておる、公募なしで。公募なしというのが根拠、勝手に決めておる。さっきの話と一緒で、こんなの、勝手なことばかりしておる、これ。差別しても平気や。そこを言いたい、私は。これ、じゃ、勤労者サービスセンターが、津地区同盟、連合三重津地域協議会、中勢地区労センター、中勢地区労働者福祉協議会、これに何で無料で貸すんですか、無料で。
これに対して当時の商工観光部長はこう回答した。
ただいま御質問がありました労働会館の使用に当たりまして、議員から御発言のありました4団体、まず1つ目が津地区同盟、それから連合三重津地域協議会、中勢地区労センター、中勢地区労働者福祉協議会、この4団体に無償で使用を許可しておるところでございますが、このことにつきましては、昭和60年4月に、この会館の設置当時、会館の設置条例を定めた折に、使用料、今は指定管理者制度ですので、施設利用料というふうに名称は変わっておりますが、料金を取らない、取らないというか、料金規定がないままで、そのような仕組みの中で今までずっと行ってきた、指定管理者が許可を出して使用してきた、そのような実態でございます。
昭和の時代から続いているようだ。また選挙協力については前葉市長は「ちょっと個別には覚えていないんですが、少なくとも連合三重津地域協議会からは御推薦をいただいております」と明らかにした。ということは「選挙互助会」という指摘は決して的外れではあるまい。
「そうしたら、あなたはバーターを、私から見たらですよ、あなたはこれ、無償で貸してあげるから、選挙のときに頼みますね、私の選挙のとき。こう言っておるのと同じじゃないですか」(岡村氏)
バーターとは言い得て妙だ。選挙協力の見返りでタダ貸しとは一般的な感覚ではないか。
市長「組織として公表することはいたしません」
こうした実態を見て連合が果たして「労働者」のための組織と言えるのか疑問だ。連合役員が理事として運営する団体の職員ですら育休ハラスメントを受け、救済すらされない。
そんな一方で連合は21日、「与党過半数割れは成果」とする参院選総括の原案をまとめたという。そもそも労働組合に選挙総括が必要であるのかどうか。また原案には「国民民主党が与党入りする可能性について立憲民主党と与野党に分かれることは容認できない」とする文言も盛り込まれたそうだ。
支持団体の領域を超えてまるで政治フィクサーだ。旧社会党や旧民主党が隆盛だった頃よりは組合員数が減少し組織率も低下しているが、それでも三重県内ではいまだに政治的な影響は大きい。
それでも勤労者に貢献すればまだ納得できるが、市・連合と実質、同一組織の三重中勢勤労者サービスセンターでパワハラが起きたというのはおかしい。それも市長が指示したとなればより問題だ。
A氏の昇給の約束が反故にされたのは「理事長との協議及び指示による決定」と事務局長が説明したのは事実か、また合意書の内容が守られなかった理由を市長に聞いた。
「一職員の雇用条件等、個人に関わる情報について、組織として公表することはいたしません。また合意書についても一職員の雇用条件等、個人に関わる情報について、組織として公表することはいたしません」(秘書課)
すでに一部市議の間でも本件は問題視されているという。A氏に対する不当な処分はもちろん追及次第で政界、特に旧民主系と連合の癒着や選挙手法まで暴けるだろう。
今回の記事はわかりやすくよく理解できました。
ありがとうございました。
しかし、腐ってますなあ。
岡村もまともな質問してたんですね。合掌。
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パワハラの被害者も権力相手に対応してて頭良さそうですね
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