自民党、和歌山のドン、二階俊博元幹事長の後継者、伸康氏が昨年の衆院選(和歌山2区)で無所属の世耕弘成氏に完敗。県連、町村会総出の応援だが比例復活も許さないほどの大差がついた。後がない伸康氏は7月の参院選で国政進出を狙う。だが二階家のライバル、世耕弘成氏が対立候補の一人、望月良男氏の支援に乗り出したようだ。(写真は世耕氏の有力支援者、依岡善明氏のFBより)
もう後がない二階伸康氏だが26ポイントでリード
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昨年10月の衆院選では兄、俊樹氏と不仲も報じられた二階伸康氏。選挙活動も盛り上がりに欠けた印象だ。石破首相も応援に駆けつけるなど党を挙げての応援だったが敗れた。

国政進出では後がない二階氏は今度は参院選に挑戦。無節操との批判もあるが、これまでのところ二階氏有利で進んでいる。
地元議員によれば「自民党が行った直近の調査では二階氏が26(ポイント)、立憲民主党の村上賀厚氏が15、日本維新の会の浦平美博氏が14、望月良男氏が12、参政党の林元政子氏が6、本間奈々氏が3、末吉亜矢氏が2です。立民候補が次点ですが、仮に共産党が候補を擁立した場合、村上氏はもう少し落ちるでしょうね」と解説する。
野党系の候補者は知名度やインパクトに欠ける。その中で先行しているとは言え二階氏のポイントは伸びていない。まだ日程すら決まっていない中、現状の調査だけでは判断がつかないが二階氏の優勢ムードは確かにある。
注目は自民党の公認候補を争った前有田市長、望月良男氏がどこまで支持率を伸ばすか、だ。望月氏は世耕弘成氏と懇意にしてきた人物。仮に世耕氏が応援するとなると昨年の衆院選に次いで世耕VS二階の第2次選挙戦が勃発というわけだ。
先のデータでは日本維新の会の浦平美博氏が望月氏をややリード。望月氏は4位と低迷中だ。しかし自民党の公認候補の選考会が終わった翌日から活動を始めたという望月氏。推薦されなかった場合は参院選に立候補しないと署名していたが、それでも参院選に出馬した
相当な覚悟があったのは言うまでもない。
事前調査で望月氏は低迷しているものの、反二階の保守層の受け皿候補になりえる存在だ。さらに維新票も少なからず望月氏に流れる可能性が出てきた。なぜなら維新も一枚岩ではないからだ。
維新・小西県議が望月氏へ為書きを送っていた
維新らしく党内が統制されていないことを示すエピソードがある。

無所属と言っても自民党系の望月氏の選挙事務所に和歌山県議会の日本維新の会会派の小西政宏県議の為書きが貼られていた。なお同会派は浦平氏と小西氏の2人だけの会派だ。浦平氏が和歌山県総支部幹事長、小西氏が政調会長を務める。
「維新では対立候補に為書きを送ると反党行為とみなされ除名処分の対象になります」(維新関係者)
となると無所属の望月氏への為書きは明らかに違反行為。どういった意図で望月氏を応援したのか小西氏に質問してみた。
「質問については本人には伝えてあります」(事務所スタッフ)
しかし結局、小西氏からの説明はなかった。先の維新関係者も呆れる。
「党本部は見て見ぬふりだと思います。また小西氏としても〝党が騒ぐはずがないやろ〟という思惑があっての為書きですよ。小西氏はかねてから浦平氏の県職員に対する態度を批判しており〝応援なんてできるか〟という思いを公にしただけでしょうね」
同氏によれば内部では浦平氏に対する反発は少なくないという。そのため維新票の一部が望月氏に回る可能性が高いということだ。
ついに世耕氏が望月氏支援に動いた!?
一方、これまでは世耕氏に動きが見られなかったが、ついに望月氏支援に乗り出したようだ。世耕氏の有力支援者が代表者である城前建設(株)の社屋前に望月氏のポスターが貼り出された。パティシエの鎧塚俊彦氏との二連ポスターである。城前建設の依岡善明代表取締役は第5代市長、高垣善一の孫に当たる人物。そして政治献金を行うなど世耕氏の支援者である。世耕弘成後援会わいわい会の会長として活動してきた。

無論、世耕氏の指示があってのことに違いない。世耕氏が本格的に望月氏の支援に乗り出すとなると、世耕派の自民党支持者、またアンチ二階の票が望月氏に回る可能性が高くなる。
さらにもう望月氏には強力な票の上積みがありえるのだ。
「昨年の衆院選で世耕氏が勝利した要因の一つとして公明党票が挙げられます。二階氏が先行していますが、学会パワーが加われば逆転もありえるでしょう」(地元記者)
世耕氏と公明党票の関係については筆者も昨年、レポートした。
あくまで自民党の独自調査だが、二階氏がリードしており、望月氏は後塵を拝している。だが反二階票+維新一部+学会票が加われば逆転の可能性は十分あるかもしれない。