親中、媚中と揶揄される政界関係者は多数、存在する。それも政権を担う自公の要人たちが中国の代理人のように振る舞う。先月、北京を訪問した公明党・山口那津男代表が22日、共産党の要人、蔡奇氏と会談し仙台市へパンダの貸与を要請。山口氏に中国への要請を進言したのは福田康夫元首相というのだ。
処理水問題の 最中の チャイナフェスティバルで
今年8月末から始まった福島第一原発の処理水放出に対して中国政府は海産物の輸入禁止措置をとった。中国国内の原子力発電所からは日本の約6倍の放射性物質トリチウムを含む処理水を出しているにも関わらず、だ。
無論、中国の輸入禁止は日本政府への圧力以外の何物でもない。中国の傲慢外交の最中、9月9、10日の両日、東京・代々木公園で「日中平和友好条約締結45周年記念事業 チャイナフェスティバル2023」が開催された。
イベント実行委員会は福田康夫元首相が最高顧問を務めた他、今年3月に着任した呉江浩駐日大使が実行委員長、立民の青柳陽一郎衆院議員が事務総長を務めた。
当日は福田氏もイベント会場を訪れ親交を深めたが一方で出店の料理に対して
「日本産の海産物を出すな」
といった罵声も起きたという。中国にとっては輸入禁止を外交カードに利用するはずだったが、日本側は中国以外への販路を開拓。中国側が想定したほどのダメージはなかったようだ。むしろ手詰まりになった中国側が関係修復を模索する動きがある。
その一つが10月に孫衛東外務次官が吉林省の旧日本軍遺棄化学兵器の処理加速を求めた。中国の政治事情通によるとこの動きは輸入再開の布石だと分析。
「遺棄化学兵器処理の催促と環境状況や処理水についての共同調査を行い部分的に魚介類の中国側輸入解禁、そして元の状況に戻すという流れが考えられます」
つまり歴史認識問題との合わせ技で中国側は被害者というポジションとメンツを保てる方法だ。
一方で日本の政治家たちも「中国とのパイプ役」で存在感を発揮する動きがみられる。それが11月に訪中しパンダ貸与を要請した公明党・山口那津男代表だ。
中国外交と 創価学会
先月18日に創価学会は池田大作名誉会長が死去していたことを発表した。池田氏亡き後、政治への影響力、教団内の求心力の低下が指摘される。今後は池田一族からも信頼が厚い原田稔会長を中心とした運営とみられるが、その動揺は計り知れない。
そこで創価学会・公明党の存在感を高めるための方策の一つが「中国外交」というわけだ。東西冷戦の時代は創価学会が東側諸国との外交を担ってきた経緯がある。伝統的に中国との関係は深い。
「仏教はインドから東に広まってきたという『仏法東漸』の理という考え方があります。そして仏教を西に返す『仏法西還』を学会は重視しており、中国やアジア、ヨーロッパでの布教を強化するのもこのためです」(元学会員)
中国との交流は教団の組織強化とまた外交で創価学会・公明党が存在感を発揮する意味も持つ。
さて一方、自民党内にも二階俊博元幹事長などいわゆる親中派とされる議員がいるがここ最近、動きが活発なのが福田康夫元首相だという。ここ数年、創価学会の中国イベントに福田氏が来賓というパターンが増えている。
10月23日、北京市内で中国人民対外友好協会、日中友好協会主催による日中平和友好条約締結45周年の記念パーティーが開催。その席に福田元首相、そして学会からも谷川佳樹主任副会長ら幹部が招かれた。
福田氏は外交のフィクサーきどりなのだろうか。中国との交流に積極的だ。中国事情に詳しい記者はこう明かす。
「中国側へパンダ貸与を要請するよう山口氏に進言したのは福田元首相なんです。学会との関係を深める中で“ (パンダ誘致は)公明党の成果になる”と勧めました」
仙台市は復興のシンボルとしてパンダ招致を進めており、地元公明党員らも取り組んできた。仮に招致が成功した場合、成果として喧伝できるだろう。しかし処理水をめぐる圧力、また海洋進出など中国の強引な外交が目立つ。その状況下の中で政権を担う政党トップがパンダ貸与要請とは媚中という言葉も生易しい。
しかも非常に軽率な行動だったと先の中国通は語る。
「親中派といえば鳩山由紀夫元首相も身勝手な行動が目立ちますが、いかんせん影響力はありません。ですが福田元首相と山口氏となると話は別。中国側のプロパガンダに利用されかねませんよ」
あの鳩山氏を越えた厄介者が福田元首相というわけだ。まさに老害というに相応しい。しかも長男、福田達夫衆院議員は党の要職にありそして親中派。中国サマと拝む自民党議員の系譜はまだ続くのだ。