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【漫画】コインチェックNEM流出事件
前編に続き、コインチェックから流出したNEMを買って警察に捕まったヒカリ氏に、家宅捜索から逮捕の様子を聞いた。分かったのは外国の取引所には日本の警察に情報を提供するところとしないところとがあること。逮捕を予期していたヒカリ氏は、PCのデータの削除、暗号化等の対策をしていた。
ヒカリ氏は日本の取引所ZaifでNEMを預け入れたため、そこから警察に情報提供された。外国の取引所で日本の警察に情報を提供したのは、ロシアのYoBit。一方でイギリスのHitBTC、マルタにあると言われるBinanceは警察の照会に応じなかった。
ヒカリ氏への捜査は、2019年11月に家宅捜索でPC等を押収し、2020年3月に逮捕と再捜索という流れとなった。
このような事態を予期していたヒカリ氏は、もともと持っていたMacの中のデータを削除した。ただ、通常の削除のやり方ではPC内にデータが残ってしまうので、ハードディスクにデータを上書きして完全削除する方法を取った。さらに、独学でデータの暗号化方法を研究し。Qubes OS, Tailsを使い、パスワードをかけてPCの中身を読まれないようにした。
スマートフォンはAndroidを使って、これもパスワードで暗号化した。
なお、これらの方法については小社刊「個人と企業のための対国家機関レベルデータ保護入門」で同様の方法を解説している。
PCを押収されたことより痛かったのは、契約している税理士のところまで警察の家宅捜索があり、それが原因で税理士から契約を切られてしまったことだ。
逮捕後のヒカリ氏は、警察に対しては完全黙秘で対応した。無論、PCやスマホのパスワードは言わなかった。結果として、警察は暗号化されたデータを読むことはできなかった。
裁判の結果は一審、二審では有罪。現在上告して最高裁の判断を待っている状態だ。幸いにも執行猶予が付いたのと、一審判決では仮想通貨を没収するとなったものの、二審ではそれが覆されて仮想通貨の没収はなくなったことだ。
しかし、ヒカリ氏は裁判とは別に、仮想通貨の運用に失敗して、これまでの利益をほぼ失ってしまっていた。
ぜひ動画もご覧いただきたい。
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