【日本保守党の変】 中川氏「本部に従う」笠松氏「党の管理下にある」名古屋組が百田&有本に走った理由

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By Jun mishina

4月に議員会館で日本保守党・百田尚樹代表が河村たかし衆院議員に対してペットボトルを投げ「俺が殴ったら死ぬぞ」などと恫喝した事件。河村氏は9月3日、都内で記者会見を開き威力業務妨害と脅迫の容疑で東京地検特捜部に告訴状を提出した。ここまで事態が深刻化したのは〝百田&有本ファースト〟の党風に尽きるのではないか。(写真は日本保守党公式Webサイトより)

島田氏の秘書は福井選挙区・大坂氏の姉

これまでの経緯を報じた過去記事。

河村共同代表に「ペットボトル投げ」「俺が殴ったら死ぬぞ」〝百田&有本ファースト〟で日本保守党は分裂寸前

河村氏も今日、離党か「9・1河村‐維新会合」から新党結成へ〝百田&有本ファースト〟で日本保守党は分裂寸前

秘書採用に有本氏が介入「日本保守党9・24竹上事務所騒動」中川秘書(東海比例)の繰り上げ狙い⁉

総裁選の最中に起こった日本保守党の内紛。対立する百田代表、河村氏だが共通するのは過去、言動をめぐって左派からバッシングを受けてきたこと。となると今回の騒動など批判、論評には打ってつけの現象だが、左派周辺から追跡の動きがないのが不思議だ。

参政党に関心が集中し、日本保守党にまで目が行き届かないのではないか。存在感が高まればそれだけアンチも集まるというもの。裏返せば日本保守党、そして百田氏の価値が結党時よりも下落したのかもしれない。

それでも百田代表、有本香事務総長のSNS、YouTube番組には多くの信奉者たちが集まり声援を送る。また党関係者たちは百田氏、有本氏に同調しSNS上で河村氏、竹上氏を批判してきた。それはまるで自身の忠実度を示すかのように、である。

その雰囲気が最も伝わってくるのが島田洋一衆院議員だ。島田氏も比例区で当選してきた身。公認召し上げとなれば議員生活は終わる。島田氏も決して安泰とは言えない。しかし安倍元首相のブレーンなどの実績から相応に遇されてきた。

竹上氏の秘書3人は全員有本氏の意向だと前回記事でお伝えしたがその点、島田氏はどうだろうか。元は島田氏の第2秘書だった小柳岳史氏は有本氏の指示で竹上氏の秘書になった。島田氏としては自分に近い存在を秘書に置きたかったのだろう。小柳氏に代わる秘書が採用された。

日本保守党問題に詳しい政治記者が素性を明かす。

「島田氏の第2秘書というのが参院選福井選挙区に立候補した大坂幸太郎氏の姉なんです。大坂氏は地元・福井市でレストランを経営しているのですが、島田氏も同店の常連。そこで知己がある大坂氏姉が秘書に採用されました」

騒動の渦中で浮上した秘書の名前は全て減税、愛知維新の会など〝名古屋人脈〟であった。数少ない福井人脈ということだ。しかし問題は竹上氏は自身の希望する秘書が配置されず、島田氏は要望が通る。この差は一体、どうしたことか。現在、島田氏にも確認中だ。

中川氏「本部に従う」笠松氏「党の管理下にある」

2023年10月、減税日本のパーティー。まだ関係は良好だった(織田氏のFacebookより)。

政治資金、人事など有本氏が掌握した点に河村氏ら減税側の不満がある。衆院事務局に確認したところ立法事務費の申請は2024年11月13日に「河村たかし」名で認定されたという。河村氏の名義の銀行口座が登録されたことになるが、管理は有本氏ということになる。河村氏には無断で申請されたということなのか。同党から説明はない。

確実に言えることは有本氏に権限が集中しすぎていることだ。もちろんまだ党の歴史は浅く人脈、経験も乏しい。党本部で主導せざるを得ない場面もあるだろうが、秘書人事まで介入するのは越権行為ではないか。竹上氏が離党に至る原因の一つである「秘書問題」は疑問が尽きない。

すでにSNS、報道でも多くの人が知るところだが9月24日、議員会館内で竹上氏の秘書、中川健一氏と笠松正憲氏が解雇通告を受けた結果、竹上氏スタッフともみ合いになるなどのトラブルが起きた。中川、笠松両氏は不当解雇であることを訴え、また島田氏は「監禁」という言葉を使いSNSに投稿。事実関係が不透明な中でいきなり「非常識極まりない」などと竹上氏を批判した。

しかし島田氏はここに至るまでの事情を把握していたのだろうか。

中川氏は河村氏の元秘書。その縁から日本保守党を紹介され、有本氏の面談を受けた結果、竹上事務所の秘書になる。質問主意書の作成など秘書としては確かに能力は高い。そして中川氏が笠松氏を斡旋して政策秘書とした。もちろん有本氏も了承した上でのことだ。

党関係者は内幕を明かす。

「6月頃ですが、竹上氏が中川氏に〝日本保守党東三河支部(豊橋事務所)の手伝いをしてほしい〟と依頼。ところが中川氏は〝本部の指示に従う〟と応じませんでした。結局、豊橋入りしたのは一度だけだったと思います。また同様に笠松氏も〝有本事務総長から本部の管理下にある〟と竹上氏に伝えています。これでは竹上氏が不満に思っても仕方がないでしょう」

また9月24日の議員会館騒動では新たな証言も。

「9月24日に竹上氏が笠松氏に10月分の給料の支払いについて話し合いを求めたところ笠松氏は一旦、承諾。ところが中川氏が来るのを待って解雇通知の受取を拒否したのです」(同)

中川氏と笠松氏が示し合わせていた可能性もある。そして中川氏が島田事務所に飛び出し「監禁」などと拡散したわけだ。普通なら党内のトラブルをなるべく隠したいものだろう。島田氏も大学教授や安倍元首相のブレーンまでを務めた〝大人〟だ。だが一同、まるで騒動を広めたいかのような態度である。

当時の状況については再度、中川氏、笠松氏を通じて確認中だ。

日本保守党に走った名古屋組の本音

ここでもう一人、2024年衆院選東海ブロック名簿3位の織田敏之氏も有本氏の面談を受けていた。織田氏は2023年の統一地方選で減税日本から愛知県議に立候補するも落選。

「織田氏は河村たかし事務所隣の喫茶店Mを経営したり事業についてはやり手で資産家。ただし政治家の資質があるかと言えば疑問ですね」(知人男性)

名古屋では夢叶わず、日本保守党に可能性を見出したのだろう。衆院選には落選したが日本保守党の候補になったことはそれなりに箔付けになったかもしれない。中川氏の手引きで有本氏の面談を受けた。ただしこれも竹上氏の頭越しで行われたことだ。

「ところが織田氏は不合格。というのは元減税関係者が〝M(経営する喫茶店)が執行部批判をしている〟と有本氏に耳打ちしたのです」(同前)

Mとは隠語的に用いたのだろう。織田氏のことである。告げ口したのは有本氏に対して点数稼ぎのつもりだろうか。実は東海地方の元減税、元維新出身者が日本保守党に走るケースは少なくない。

「昨年の衆院選で南関東ブロックから立候補した大河内元喜氏は最たるものですね。2023年統一地方選で減税から名古屋市議選に立候補しましたが落選。その後、自分から百田氏に売り込んだのです。能登半島地震後、日本保守党は被災地支援チームを作りましたが、中心になったのが大河内氏。落選しました。それでも日本保守党の候補でしょ? 支援者も熱狂的で持ち上げられて気分は良かったと思います」(同前)

素養に疑問符がつく候補が目立つ。さらに東海地方の維新議員の話。

「日本保守党の衆院選東海ブロック名簿4位の中村憲一元富士宮市議は元日本維新の会静岡県総支部の所属です。党内でのパワハラや立憲民主党候補を応援したことで静岡4区支部長を解任されました。秘書給与詐欺で在宅起訴された石井章前参院議員に救済を求めましたが中村氏への反発が強く離党。保守に走ったわけです」

中川氏、笠松氏、大河内氏らが名古屋組ならば、中村氏の場合は維新の脱会組。

SNS上で熱狂する〝百田信者〟にとって日本保守党らしいメンバーと言えるだろうか。確実に言えるのは保守に身を寄せたことで過去、味わったことがないスポットライトを浴びたのである。ネット上における百田人気の影響だろう。

しかし名古屋組は百田氏の主張や人物に心酔して日本保守党に走ったのだろうか。

「理念に共鳴したというのはありえない」と一蹴するのは日本保守党、減税、維新にも精通する東海地方の地方議員だ。

「維新議員は『身を切る改革』として歳費から約20%を寄付しなければなりません。減税の場合、歳費削減はさらに厳格なんですよ。愛知の減税や維新で落選するぐらいならばまだ党規が緩い日本保守党で〝ワンチャンス〟を狙うのはありえるでしょう。そのために実権を握る有本氏に取り入ろうと必死なんだと思いますよ」

日本保守党に走った面々に「保守本道」「日本復権」を志す者がどれだけいることか疑問だ。一方で河村氏も新党を立ち上げる可能性が高まった。百田氏、有本氏になびき日本保守党を選んだ名古屋組の面々の禍福はいずれ判明することだろう。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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