今年もニュースが豊富だった津市。水道局職員の詐欺疑い、岡村武市議の「子供に権利も義務もない」発言、そして最も衝撃だったのは同僚女性市議への不同意わいせつ事件だろう。10月25日に男性市議は書類送検されたがその後、進展がない。そんな中、議会に送られてきた怪文書がやたらリアルだと話題である。
同じ不適切発言なのに懲罰で差がついた
昨年7月19、20、21日に行われた津市「総務財政委員会」の行政視察のスケジュールを確認してから読み進めていただきたい。
事件は昨年7月19、20、21日、津市議会総務財政委員会6名に市職員3名が同行した北海道視察でのこと。20日深夜、男性市議Xが女性市議Zに不同意わいせつ行為が行われたというものだ。被害届が提出されたのは今年2月になる。X市議の自宅には家宅捜索が入ったが、有力な物証が押収されたという話は聞かない。
対して被害者側のZ市議は11月22日の『三重タイムズ』でインタビューに応じ、性被害がフラッシュバックすると窮状を訴えた。
さてX市議をめぐって議会が紛糾。12月3日の議会で本人が「市民に説明の場がなかったことはお詫び申し上げます」などと述べた。これに対して八太正年市議が説明を求める会議体の設置を動議したが否決。
議会終了後にはZ市議が動議について八太市議へ一礼する姿が目撃されたという。ところが八太市議をめぐり別のトラブルが起きた。
12月4日、八太市議が放課後児童クラブに関する質問の中で森昌彦教育委員長に対して「森教育長、あなたやで頼んどんです。やれやんのやったらやれやんて辞表を出したらいいんですよ」と発言。これが地方自治法132条で禁じられる「無礼な言動」に該当するとして八太市議に懲罰動議が採決された。
「当時、八太市議のプロゴルファーのお孫さんが良い成績だったので上機嫌だったんですよ。特に懲罰動議について気にしている様子はありませんでした」(市政関係者)
八太市議はどこ吹く風、だが処分をめぐってむしろ周辺の方が不信感を募らせた。別の失言が関係している。
11月7日、全員協議会の中で岡村武市議が「子どもには権利も義務もないんや」と発言。マスコミでも大きく報じられたのはご存知だろう。
「ご本人は〝親の責任が大きい〟という趣旨で訴えたかったのでしょう。それにしても表現が乱暴すぎました」(前同)
筆者も同様の感想を持ったが、そこはかねてから放言が目立つ岡村市議。マスコミ流の〝切り取り〟という洗礼を受けても仕方がない。ただ問題は議会の対応なのだ。
八太市議の発言は個人的には「叱咤」の範囲だと感じた。仮に問題だったとしても議会内部で処理できる話。ただ岡村市議の場合、全国ニュースにもなり物議を醸した。議会の品位を下げたというものだ。
発言の大小でいえばよほど岡村市議の方が「懲罰動議」に値するのではないか? ところが岡村市議にはお咎めなし。整合性がとれない。
「一つには八太市議の質問に訝しく思っていた前葉市長への忖度で側近市議らによって懲罰動議が提案されたというのが専らの見方です」(前同)
また岡村市議一家が経営する会社はし尿処理業者等に対して経営支援する合理化特別措置法(合特法)の対象企業だ。つまり首長としてはあまり刺激したくない相手である。
あくまで推測だが、両市議の対応の差は他の要素が見つからない。この通り11月、12月の津市議会は非常に混乱していたのが伝わるだろうか。そんな渦中、市議会に対して不同意わいせつ事件に関する「怪文書」が送付された。
明確にX市議を指弾する内容。文面を検証すると時系列的には精度が高い。現場に居合わせた議員しか知りえないであろう情報もあった。
犬猿の仲、実はカラオケでは隣の席
怪文書はX市議への怒りと疑念に満ち溢れている。感情がこもった内容だが、文面自体は筋道立っていた。それからまるで現場に居合わせたような書きっぷりだ。
セクハラ程度のものではなく、女性市議に対して行われた彼女の性犯罪です。報道では被害者への配慮もあり、エレベーター内で行われたキスや抱きつくなどの記事の報道でしたが、実際はその後、別の場所で男性市議が行ったときは不同意性交等未遂罪にあたる残酷非道な行為であります。
また八太市議が提案した「説明責任を求める会議体の設置」についても再度、動議を求めている。
気になるのは2枚目の10行目。
前日まで普通に視察を終え、その後の懇親会、カラオケと皆で楽しくしている様子の写真がたくさん存在します。また、津市議会議員のみなさまであれば、その男性市議と女性市議は事件の直前までは、ごく普通の関係であり、憎しみを買うような関係ではないことはわかっていただけると思います。
指摘の通り、視察当時の写真が一部で共有されてきたのは紛れもない事実である。
X市議とZ市議は犬猿の仲というのが周囲の評だった。というのは津市を震撼させたあの事件が関係するからだ。
「相生町自治会長事件の追及でX市議が成果を挙げたのは知られています。Z市議についても百条委員会(特定の自治会と行政の不適切な執行疑惑に係る調査に関する特別委員会)でX市議から指摘を受けたのです」(市関係者)
それにはこんな因縁がある。
「あの元自治会長が全盛期の頃、Z市議が市内のある飲食店で居合わせたのです。Z市議は元自治会長の存在を知らず接触しませんでした。ところが後日〝Zは挨拶がなかった〟と元自治会長が激怒。Z市議は地元有力者である親族を伴って謝罪をしました」(同)
この過去を百条委員会でX市議に指摘された。こうした経緯もあってX市議、Z市議は不仲と考えられてきた。
しかし怪文書も示す通り事実関係は異なっているようだ。
カラオケ店内でX市議、Z市議が並んで座る写真が存在する。
それは昭和の人気ドラマ『金曜日の妻たちへⅢ』の主題歌『恋におちて -Fall in love-』(小林明子)を熱唱するZ市議と合いの手を入れるX市議の様子だ。
宴席だけ関係が修復していたということもあるまい。従来から〝犬猿の仲〟というほどでもなかったとみるべきだろう。カラオケ店での状況描写については正確な情報で、しかも一部議員でしか知りえないこと。なぜ写真の存在を知っているのか?
それも「普通の一般市民」を名乗る人物が、だ。内部事情に精通する何某か、あるいはインサイダーが一般市民に〝書かせた〟または一般市民を自称した、という以外は考えられない。
怪文書の内容についてZ市議に取材を申し込んだが――。
「今も誹謗中傷に晒されていますのでコメントは控えます」とだけ残した。
またX市議への怪文書の存在を伝えたが今のところ反論などは寄せられていない。兎にも角にも妙に詳しすぎる怪文書の作成には内部関係者が関与している可能性大である。そして事態が進展しないことに〝焦り〟を感じた上での行動とみるべきだろう。来年、どのような結果を迎えるか。
津市は腐ってます
岡村は嫌いです
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