え、マスコミ報道は全て公正・真実ではなかったの? 2022年8月に生稲晃子外務政務官が靖国参拝したとの共同通信の記事はなんと誤報だった!本人に確認なしで記事化したことで同社へ批判が殺到中だ。「扇動するためわざと?」との疑いが生じるのもマスコミの業がゆえ。なぜ誤報に至ったのか検証してみた。
『おニャン子クラブ』会員番号 40番が政務官
政治家というよりも筆者の世代には『おニャン子クラブ』会員番号40番「生稲晃子」のイメージが残る。第二次石破政権で外務政務官に就任した生稲氏だが、そもそもこの人事について疑問視する声も強い。そんなナゾ人事もすっかり吹き飛ぶ共同通信の誤報である。
共同通信は25日、自民党の生稲晃子外務政務官が「2022年8月15日に靖国神社に参拝した」と報じた2年前の記事について「誤った報道だった」と謝罪した。加盟社には訂正記事を配信したものの、誤報は国際問題に発展。
韓国政府は11月24日の世界文化遺産「佐渡島(さど)の金山」の労働者追悼式について生稲氏の靖国参拝を問題視し政府関係者の出席を見送った。
当然ながら韓国メディアも参拝問題に反応しており25日、中央日報は「日本が2022年に第2次世界大戦の戦犯追悼施設である靖国神社を参拝した極右政治家生稲晃子外務政務官を追悼式の日本代表に選定し韓国で批判世論が起き、韓国外交部が行事不参加を決めたのだ」と報じた。
現在も中央日報記事は閲覧可能の状態だ。
では2022年当時、本件はどう報じられたのか? ネット上で確認できるのは同年8月16日のスポニチ記事「8・15 生稲晃子氏ら国会議員20人超が靖国神社参拝 閣僚では高市、秋葉の2氏」である。
20人超が参拝という中で「生稲晃子ら」と生稲氏を主体的に扱った。また記事には共同通信取材であることも説明されている。
靖国神社に参拝した国会議員は、自民党の生稲晃子参院議員ら20人超だった。共同通信社が取材で確認した。
生稲氏は同年の参院選で当選したばかり。タレント候補でなおかつ「元おニャン子クラブ」という経歴は話題になった。おそらく生稲氏の知名度、キャラクター性といった話題性、そしていわゆる〝バズり狙い〟なのは明白だ。それが誤報だから目も当てられない。中には左派や中韓を扇動するため「意図的な誤報」と考えるむきもあった。そう思わせてしまうほどマスコミの偏向は著しい。
自身も終戦記念日の靖国取材経験を持つ全国紙記者はこう話す。
「靖国参拝取材は報道各社の記者が手分けして政治家の出入りを見張ってます。これは政治家や著名人の葬儀などでもみられる取材形態ですね。靖国取材の場合、経験を積ませる意味でも政治部や社会部遊軍の若手が担当します。当日は政治家の誰彼が来たという情報が自然に各社で共有されていきます。すると自分で確認しなくても記者仲間による〝◯◯議員が来た〟という情報を信じてしまいがちです。メディアスクラムの弊害といえるでしょう。問題はなぜそこで本人に確認しなかったのかということ。編集側としては〝送り込んだ記者の見当違いではなかろう〟と思い込むものです。改めて裏取り取材の重要性を痛感しました」
決して難しい話ではなく生稲氏に確認すればいいだけの話。電話一本できなかったのものか。しかも8月15日の靖国神社といえば多くの参拝者、右翼の街宣車、抗議の左翼団体、そしてYouTuberの類など「十目」というレベルではない。そんな場に生稲氏が訪れたら目撃情報があるはずだがそれもない。
むしろ2年もの間、放置されてきたことが不思議なぐらいだ。
エッフェル姉さんと 間違えた説が浮上
ではなぜ共同通信は誤ったのか。完全な思い込み、または何某かと見誤った可能性もありえる。本件に関心を寄せる政治記者の話。
「記者陣の間では当初、稲田朋美元防衛相と勘違いしたと囁かれました」
なるほど。閣僚経験者、幹部クラスだと稲田氏は靖国参拝の常連組。それを生稲氏と間違えたというのか。しかし年齢、風貌ともに無理がある。それに大手メディアの政治記者たるもの若手だとしても「稲田朋美」を不知なら失格だ。
すると稲田氏と間違えた可能性は低い。しかしこれがヒントだったというのだ。というのは2022年8月15日、稲田氏は「伝統と創造の会」会長として会員議員とともに参拝した。
先の政治記者は続ける。
「私も稲田氏と間違えるのはちょっと無理があるのではないかと。松川るい参院議員と勘違いという話も出ていますよ。稲田氏や松川氏のSNSにも当時の写真が投稿されています」
こう指摘されSNSを確認すると、両氏は2022年当時、靖国参拝の記念撮影を行った。中央に鎮座する稲田氏の右隣が松川氏。
エッフェル姉さんこと松川るい氏と混同したというのか? 写真をよく見れば松川氏だが、一見すると生稲氏のニュアンスも醸し出していないか。ご存知の通り、松川氏は昨年、党女性局パリ視察の〝エッフェル塔ポーズ〟で大炎上。その際は写真はSNS上でも拡散され大勢の記憶に刻まれたはず。しかし2022年当時、知名度、印象度はまだ低いだろう。
靖国神社で松川氏を見かけた若手記者が生稲氏と空目した。しかも当時はまだマスク着用の時分。まんざらでもない説ではないか?
水谷社長「共同はファクトにこだわります」(笑)
事態を受けて共同通信は訂正記事を配信。共同通信総務局に確認したところ以下の記事が送付されてきた。
共同通信は2022年8月15日の終戦の日の靖国神社参拝に関する記事で、自民党の生稲晃子参院議員(現外務政務官)が参拝したと報じたが、正しくは生稲氏は参拝しておらず、誤った報道だった。生稲氏が今月24日、日本政府代表として出席した世界文化遺産「佐渡島(さど)の金山」の労働者追悼式に韓国政府関係者が参加を見送ったことに関連した複数の記事でも、生稲氏が参拝したと断定的に報じた。生稲氏が今月24日に参院議員就任後の靖国参拝を否定し、当時の取材過程を調べた。その結果、靖国神社への国会議員の出入りを取材する過程で生稲氏が境内に入るのを見たとの報告があったが、本人に直接の確認取材をしないまま記事化したと分かった。また、当日参拝した複数の自民党議員が共同通信に「生稲氏はいなかった」と述べた。生稲氏が否定したことと併せ、当初の報告が見間違えだったと判断した。誤った記事は国内外に配信した。韓国外務省は「生稲議員が22年8月15日に靖国神社を参拝したものと承知している」とコメントしていた。日韓外交に影響した可能性がある。韓国外務省は25日、不参加としたのは追悼の辞の内容などが世界遺産登録に賛成するに当たって日本と合意していた水準に満たないためだったと説明した。
また「高橋直人編集局長の話」として謝罪文も加えられていた。
生稲議員をはじめ、新潟県や佐渡市、追悼式実行委員会などの地元関係者、読者の皆さまにご迷惑をおかけし、深くおわびします。取材の在り方を含めて再発防止策を徹底します。
いつもの居丈高さが和らいだ?
以前、Ⅹ(旧Twitter)上で保守系文化人らを中傷していた共同通信記者、桜ういろうこと櫻井平氏について質問したところ受付窓口の対応で終わった。そのことは以下の記事でレポートしている。
ところが今回は総務局が直接、対応。それほど同社が事態を重く見たということだ。共同通信にすれば「失態」というレベルではないだろう。なぜなら今、マスコミ各社を挙げてのSNS、ネットのネガティブキャンペーンを展開。既存メディア=公正・真実、SNS=デマと誹謗中傷の温床と訴えている。
そのことは他でもない共同通信・水谷亨社長も訴えるところだ。
ネット空間では日夜、フェイクニュースや中傷、真偽不明の言説が飛び交っています。だからこそ、共同はファクトにこだわり抜きます。事実を追い、掘り起こし、裏付けを取る。特定の主張に偏らない「公平さ」を重んじながら、記事、写真、動画、グラフィックスとして、いち早く伝える。フェイクの時代に立ち向かう仕事を通じて、これからも「信頼の通信社」であり続けます。
ネット上にデマや誹謗中傷など流言飛語の類は散乱しているのは事実。おそらく共同通信・水谷社長と訴えはマスコミ業界の総意とはいわないにせよ、大半の関係者が共有、共鳴するだろう。ところがこれはおかしい。
なぜならSNSで情報を入手しているのは他ならぬマスコミだ。事件、事故が起きれば目撃者ユーザーへ写真や動画の「くれくれ取材」が始まる。またSNSのまとめとさえ思える記事を掲載することも珍しくない。
しかもデマや誹謗中傷に加担することもある。
町議が性的被害を受けたと町長を虚偽告発した「草津事件」はどうか。SNS上では憶測の段階で町長を中傷するユーザー、フェミニスト、活動家は多数、存在した。マスコミは検証どころか朝日新聞、毎日新聞、東京新聞の中には便乗する記者もいたほどだ。
これら左派メディア関係者はSNSが右派の活動場だと考える。そうだろうか。
SNS上には左派好みの人権、環境、歴史認識問題が絡む未確認情報やデマ、レッテル貼りが存在する。そうした言説は放置して、マスコミの意に沿わない情報はデマ扱いとは独善、身勝手、独りよがり。それともSNSの善悪の判定権をマスコミがお持ちなら諦めるほかないが…。
それから驚いたことに今回の誤報を受けて報道関係者の間から「ここまでよく謝ったものだ」といった感想が漏れ伝わった。いかに不遜な態度だったか、また甘い立場に置かれてきたかの裏返しだ。一般企業の場合、仮に商品に不具合があった場合、膨大なコストをかけ「弁済」「回収」が必要になる。中小・零細企業ならば廃業リスクもあるだろう。
対してマスコミの誤報は〝ゴメン〟のレベルだ。どころか追及されると「記者を萎縮させる」「記者いじめ」と開き直るケースも。目下のSNS批判はそうした傲慢さがにじみ出る。
靖国取材のこれからは?
国際問題になった以上、外務省はどう対応するのか。また生稲氏は何らかの抗議をしたのだろうか。
「外務省が対応することになっています」(生稲事務所)
そこで外務省に確認してみると――。
「午前中(26日)の記者会見で林芳正官房長官が〝政府として共同通信に対し事実関係や経緯の説明を求める予定でございます〟と話されているので(何らかの対応が)実施されると思います」(報道課)
との見解を示した。生稲政務官自身による共同通信の抗議は「分かりません」とのことだ。
一方、共同通信には
①担当したのは政治部記者か②生稲氏を主体的に報じたのはなぜか③今後も靖国参拝取材を継続するか④松川るい氏と間違えたのではないか
この4点を質問した。
「弊社ホームページで説明しています通りです。(松川氏との混同説については)現時点でお答えする材料がございません。よろしくお願いいたします」(総務局)
との回答があった。事実上の「無回答」というわけだが、これまでの共同通信の対応に比して各段に〝しおらしくなった〟といえそうだ。
「通常なら官房長官が〝遺憾です〟で終わったかもしれません。しかし今回は、共同側に対して自民側は謝罪がない場合、法的措置も辞さないと強く対応したといいます。28日、水谷亨社長が生稲氏本人に直接謝罪したのはその影響でしょうね」(前出政治記者)
もはや季節の風物詩、斜陽産業・マスコミの商慣習でしかない8・15靖国取材。共同通信の誤報によって靖国参拝の風景は変わりゆく、ということはないだろう。来夏も参集殿あたりで群れるマスコミご一行の姿が目に浮かぶ。
自分たちマスコミの意向に沿う時はSNSの一意見をまるで全国民の総意かのように喧伝し、
一方で少しでも都合が悪くなると全てネットのせいにして弾圧したり規制を叫ぶ。
このやり方には本当にうんざりしています。
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共同通信の政治部は、終戦の日や靖国神社の春と秋の例大祭の期間中、首相はじめ閣僚や国会議員の参拝を取材している。
靖国神社には「到着殿」「参集殿」「拝殿」という3つの入り口があり、朝6時から夕方6時まで開門している。ただ、この3つを長時間、複数社が同じように「張り番」するのは合理的ではないことから、全ての国会議員らの出入りを捕捉するために信頼できる他社と情報を共有することが慣例化していたという。靖国参拝に関しては2011年以降、共同通信と時事通信が協力関係を結んでいた。
では、肝心の2022年8月15日の取材はどう行われたのかというと
共同通信が記者1人を靖国神社に配置し、そのうえで普段から「首相動静」取材などで協力関係にある時事通信、NHKとタッグを組んだ。生稲議員が参拝したとされる午前10時~同10時半の時間帯は「到着殿」を時事通信、「参集殿」を共同通信、「拝殿」前をNHKという配置になっていた。それぞれの記者は1人ずつ。合計3人ですべての入り口を観察し、重要人物が参拝したり、突発的な出来事が起きたりしたら速報する体制を整えていた。
共同通信によると、現場にいた記者はLINEグループを作り、国会議員の出入りを確認するたび、LINEに入力する形だったという。問題となった入力は時事通信の記者によるものとされ、「1007 稲田朋美 生稲議員入りました」だった。午前10時7分に稲田氏、生稲氏が到着殿から靖国神社に入ったという意味で、時事通信の記者は目視であった。
このLINEの文字をもとにして、共同通信の記者は「15日午前、靖国参拝を確認できたメンバー」として生稲氏ら参列者の名を列挙するメモを作成し、政治部内で共有。そのメモをもとに18時48分に「自民・生稲氏ら20人超が靖国神社参拝」と題する「番外」を配信した。番外とは、当初の出稿予定にはなかった飛び込みの重要ニュース。大きな事件事故の発生やスクープなどを速報する場合に短い行数で配信する。
そして共同通信は番外を出した後の20時15分、より詳しい記事を配信し、そのなかで「靖国神社に参拝した国会議員は、自民党の生稲晃子参議院議員ら20人超だった。共同通信が取材で確認した」と明記したという。
生稲氏参拝の根拠とされたのは時事通信の記者によるLINEのメッセージ。現場から情報を受け取った共同通信政治部の上役も含め、誰も生稲氏本人や生稲事務所に確認していなかったという。しかも、当時は生稲氏からの照会や抗議がなかったため、今年11月にこの問題が浮上するまで、共同通信社内では誰もこの誤報に気づいていなかったという。(呆)
なお、生稲氏を「目視」したという時事通信の記者はすでに退職しており、共同通信はその経緯を聞き出せていないという。