【音喜多駿研究②】“音喜多チルドレン” 世田谷区議に「政務活動費」の 説明責任を 求める!

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By Jun mishina

昨年の統一地方選の躍進から一転、本衆院選では苦戦中の日本維新の会。発信力がある音喜多駿政調会長(東京1区)の情勢調査も芳しくない。他方、党内では“音喜多チルドレン”と呼ばれる地方議員たちの素養を問う意見が寄せられている。その一人、世田谷区・若林りさ区議は議会内部でも疑問視されてきたのだ。

現職でも支持率が 低迷する東京選挙区

関東でも定着しつつあった日本維新の会。だが一連の不祥事、また地方議員の離党、足立康史前衆院議員の事実上の追放など党内のゴタゴタは確実に支持率を下げたようだ。

東京選挙区は激戦が繰り広げられる。安倍派の大物、萩生田光一元政調会長ですら危うい状況だ。一方の維新も苦しい。10月11日~13日の自民党都連の調査によれば維新候補は苦戦が続く。

東京1区の音喜多駿氏が5.1%、2区今村充氏が7.1%、3区吉平敏孝氏が5%、
4区石川雅俊氏が8.1%、5区稲葉太朗氏が6.1%、6区河村建一氏が5.9%、6区小野泰輔氏が
6.9%、8区南北ちとせ氏3.1%、9区大河内茂太氏が5.3%、10区永野ひろ子氏7.1%、11区大豆生田実氏5.4%、12区阿部司氏10.7%、13区重田惇平氏9%、14区斉藤かよ氏7.7%、16区中津川博郷氏9.9%、17区猪口幸子氏14.4%、19区吉田圭一郎氏5.9%、21区山下容子氏3.2%、24区佐藤由美氏3%、25区宮崎太朗氏12.1%、28区藤川隆史氏3.6%、29区海老沢由紀氏が5.1%、

共同通信最新調査。

優勢とみられる選挙区は皆無、しかも最も知名度があるはずの音喜多氏ですら2位と大きな開きがある。街頭演説でも自民、立民より明らかに見劣りする。今週、盛り返すのか注目したい。

もちろん聴衆の数や盛り上がりと票は比例しない。そのことは2020、2024年の都知事選でも見られた現象だ。しかし現状の劣勢を覆すほどの求心力が今の維新にあるとは思えない。

原因は単に不祥事だけではなく地方議員、地方組織軽視の風潮が逆風を招いたのではないか。確かに昨年の統一地方選は大勝したが、その中身は“粗製乱造”ではなかったか。

“音喜多チルドレン”とされる世田谷区・若林りさ区議などは最たるものだ。

区民「政務活動費の 報告がおかしい」

昨年の統一地方選で初当選した同区議。もとはタレント活動にも関わり、維新塾の他、希望の塾、自民党政治塾など様々な政治塾に参加。2017年の都議選では都民ファーストの会に応募するも選考漏れ。 そこで音喜多氏を頼り昨年、日本維新の会から立候補して世田谷区議になったという。

「JAPAN MENSA」(高いIQ (知能指数) を持つ人の国際交流グループ)の会員というから随分と有能な新人議員なのだろう。

ところが地元関係者の評判が芳しくない。

モダン建築で知られた旧議会棟。

「若林りさ区議の政務活動費の領収書がおかしいんですよ。金額の記載があるだけで相手の名前がありません」(区民)

世田谷区議会HPの政務活動費収支報告(令和5年度分)をみると確かに「政務活動補助員人件費」の名目で定期的に3万3000円が支払われている。同区議会事務局に確認してみると記載がないのではなく、個人情報保護の観点から個人名はマスキングして公開するように求めているという。

となると宛名が空欄はやむを得ない。しかし地元市民オンブズマンはこう疑問視するのだ。

「もし市民から使途の説明を求められたら公開するように準備しておくべきです。マスキングで非公開が通れば例えば親族に支払う可能性もあるでしょ? それに区議の仕事で補助員人件費が必要なのか疑問があるのですよ。若林区議の質問を見ても他議員の焼き直しが目立ちます。補助は必要でしょうかね」

そして同氏はこう続けるのだ。

「若林区議はパートナーでもある男性プロゴルファーK氏が秘書のような活動をしています。K氏への支払いではないかとの疑惑があります」

各領収書をみると7月9日付け分には「5月分政務活動補助員人件費として」「6月分政務活動補
助員人件費として」と33.000円が計上。同年8月2日には7月分として同人件費、同年9月5日に8月分として同、同年11月8日に9月分、10月分として同、翌2月6日に「11月分」「12月分」「1月分」、3月11日に「2月分」としてそれぞれ3万3千円が報告されている。

この通り定期的に支払われている。

あるいは2023年8月2日に宛名なしで「資料デザイン費」24万2千円が計上されている。資料デザインで24万余とはかなり高額な印象。これまたマスキングということは制作事務所などではなく、個人デザイナーに委託したということなのか。

またこうした疑惑が生じるには理由がある。

消防訓練の視察で 議員席にパートナーが同席

タレント活動の過去も。

成城、深沢など高級住宅街のイメージが強い世田谷区だが、土砂崩れ、都市型洪水、溢水被害の危険性が高い地域。水害を想定した「世田谷区・第三消防方面合同総合水防訓練」が開催されるが、地元議員、官公庁職員が視察する。

昨年6月に水防訓練が行われた時の話。

「若林区議がパートナー(K氏)同伴で視察に訪れたのです。しかも議員席にK氏も陣取ってしまったので他議員からもクレームがつきました。新人だから不慣れというのは分かります。しかし場の空気からして関係者以外を座らせないと思いますがね」(世田谷区関係者)

さらに他会派からも顰蹙を買ったのが2024年9月25日の「環境・災害・防犯・オウム問題対策等特別委員会」。若林区議も委員として出席するはずだった。

「“忘れていた ”という理由で欠席してしまったのです。当日は「 災害弔慰金の支給等に関する条例の一部を改正する条例」の賛否がとられましたが若林区議は加われません。所属会派の幹事長が同行して各会派にお詫びして回りました」(同前)

当選1回の新人だから「大目に」という声も起きそうなものだが、複数の区議に確認したところ一様に“苦笑”というのが立場を物語っていた。

若林区議に政務活動費の使途などの説明を求め、質問状を送ったところ代理人の「西浦・西中山法律事務所」からこう回答があった。

1 代理人就任のお知らせ
この度は、世田谷区議会議員の若林りさ氏(以下、「通知人」といいます。)に対して、メールでご質問いただきましてありがとうございました。本件に関しましては、ご質問内容を拝見しますところ、そもそも質問自体が、世田谷区の条例や法の適用を無視し、かつ、事実に反する内容が散見されていますところ、貴殿への情報提供元からの情報提供自体が、何らかの恣意に基づく、不当な個人情報の漏洩、プライバシー侵害、並びに、名誉毀損に該当する可能性のあると思料しました。そこで、今回のご回答にあたっても、当職が代理人として法的に厳正に対処することになりましたので、本メールをお送りいたします。
今後、本件に関するやりとりについては、当職までご連絡いただくこととし、通知人またはその関係者についての連絡は控えていただくとともに、貴殿においても、上記理解に基づき、不当な情報に基づく誤った対応をされないよう強くご要望申し上げます。

2 ご質問に対するご回答

  1. 政務活動費等に関するご質問について
    まず、政務活動費等に関するご質問については、プライバシーと個人情報保護の観点から個別の事案については答えを差し控えさせていただきます。
    人件費に関しては、個人情報保護の観点からマスキングをするように世田谷区議会事務局の指示により指導を受けております。人件費は、世田谷区政務活動費の交付に関する条例別表(第9条関係)備考8に「人件費は、親族の雇用に係る経費は対象外とし、政務活動の補助に係るものと他の業務に係るものとを按分することとする。」とあるように条例と法と証拠に基づいて適切に対応しております。この点、貴殿のご指摘自体が誤ったものであること申し添えます。
  2. 環境・災害・防犯・オウム問題対策等特別委員会について
    令和6年9月25日に開催された環境・災害・防犯・オウム問題対策等特別委員会においては、委員会開催時点で委員会へ遅参の届出を出した上での対応であり、それ以上のことをお伝えすることはありません。
  3. その余のご質問について
     その余のご質問に関しては、通知人のプライバシーに関わることであり、また、誤った情報に基づくものであり、お答えすることは差し控えます。

3 ご要望
以上の次第ではありますが、貴殿のご質問は、通知人に対する不正確で一方的な情報や虚偽の情報を前提とするものであり、あらゆる媒体に掲載または提供、およびネットやSNSによって流布することは政治活動に対する妨害、通知人に対する名誉毀損行為にあたると思料いたしますところ、不正確で一方的な情報や虚偽を、ネット上、SNS、関係者に流布する行為には、厳正な法的対応を行なっております。
貴殿が、今後、当該不当な情報を根拠として、名誉毀損、信用毀損、プライバシー侵害行為を行う場合、貴殿個人のみならず、情報提供元の人物に対しても、共謀共同正犯として刑事責任を追及するだけでなく、共同不法行為として損害賠償請求訴訟の対象とすること予定しておりますので、くれぐれも善処されることお願い申し上げます。

「何らかの恣意に基づく、不当な個人情報の漏洩、プライバシー侵害、並びに、名誉毀損」「不正確で一方的な情報や虚偽の情報」という弁護人の主張である。どの箇所がプライバシー侵害なのか理解に苦しむ。公的な行事である消防視察の議員席に縁者を同伴させておきながら、外部に指摘を受けたら「プライバー」というのは身勝手ではないか。

そして政務活動費である。確かに同費のマスキング自体は議会事務局からの指示には違いないが、市民から公開が求められた場合、説明責任があるはず。なぜなら現状だと親族に支払った可能性もあれば、そもそも架空計上という可能性も排除できない。ここで若林区議がすべきことはマスキング部分を少なくとも示して説明すればいいだけのこと。使途について開示を求めたら弁護士を使って封殺するとは「改革政党」たる日本維新の会の一員とは思えない行為だ。

それからこの「政治とカネ」に有権者も敏感になった時代。個人情報保護を優先して政治資金の使途をおざなりにするかのような議会事務局の指示も疑問に思わざるをえない。

また9月25日の委員会については「遅参の届出」ではなく「欠席届」というのが議会事務局の説明だ。先の関係者によれば「各会派に謝罪後、議会事務局が欠席届を提出するようひな形を持ってきて記入しました」と明かす。

本来は「不注意でした」で済む話だが、代理人まで立てるとは驚きだ。

さらに同弁護士事務所はXのDMを通じて「一方で、当方から今後追加のご質問やそれに対する回答は予定していません。ご理解ください」と通告してきた。結局、若林区議本人からの説明はなく、政務活動費の使途も謎のままだ。

しかし繰り返すが領収書に記載された補助員人件費について個人情報を口外しないことを条件に請求者に対して公開すればいいだけこと。それ以前に日本維新の会は政務活動費の公開は党としての「促進する」という方針のはずだ。維新スピリッツとやらはいずこ――である。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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