VS解放同盟 さいたま地裁 第2回口頭弁論

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By 宮部 龍彦

去る6月26日、さいたま地裁で筆者が部落解放同盟から訴えられた裁判の口頭弁論が行われました。1回目の口頭弁論で筆者は擬制陳述(書面の提出をもって陳述することにして、出頭しないこと)を行ったので、これが筆者が出頭した最初の口頭弁論ということになります。

その様子は以下の動画で解説しています。

解放同盟側が提出した書面は次の通りです。矢継ぎ早に出しているような状況です。

2023-12-06_訴状.pdf
2024-03-13-証拠説明書.pdf
2024-03-13_意見陳述.pdf
2024-06-18-第1準備書面.pdf
2024-06-19-第2準備書面.pdf

以下が筆者が擬制陳述した、訴状に対する答弁です。

2024-03-13-答弁書.pdf

解放同盟側は、埼玉県内の「曲輪クエスト」記事を消させようとしています。しかし、これはあくまで「人格権」という枠組みでの請求なので、それぞれの記事と原告個人の権利がどのように結びつくのか、根拠が薄弱であると筆者は考えています。特に埼玉県内という範囲を区切って請求する根拠もありません。

次回は9月4日までに双方が書面を提出、9月18日午後2時に次の口頭弁論が行われる予定です。

以下、便宜のためにChatGPTによる要約を掲載しておきます。

訴状と、それに対する答弁の要約

訴状の内容

請求の趣旨

  1. 被告は、別紙に記載されたオンライン記事を削除すること。
  2. 被告は、ウェブサイトや出版物を含むいかなる方法でも別紙記事の公表を禁止すること。
  3. 被告は、各原告に対し、各330万円及びこれに対する遅延損害金を支払うこと。
  4. 訴訟費用は被告の負担とすること。
  5. 第1項から第3項は仮に執行できること。

事案の概要

本訴訟は、埼玉県内の被差別部落をインターネット上で特定・暴露する記事の差止めを求めるもの。これらの記事により、地域住民が24時間365日世界に向けて差別される恐れがあり、不特定多数の人々が差別意識を助長する。被告は出版社の代表者であり、意図的に差別を拡大させている。

当事者

原告:

  1. 個人原告: 埼玉県熊谷市の被差別部落に暮らす男性。
  2. 原告部落解放同盟埼玉県連合会: 差別解消を目的とする団体。

被告:

  1. 被告はウェブサイト及び記事の管理運営者。

被告による権利侵害行為

被告は「部落探訪」記事で被差別部落を特定し、地域住民の写真や情報を掲載。これにより地域住民の差別されない権利が侵害され、差別意識が助長される。

損害

  1. 個人原告の差別されない権利、プライバシー権が侵害されている。
  2. 原告埼玉県連合会の業務上の権利が侵害されている。

差止めの必要性

被告の行為は原告らに回復不能な損害を与えている。また、被告の意図が差別を助長するものであることから、差止めが必要。

結論

被告の不法行為により原告らは差別されない権利、プライバシー権、業務遂行権を侵害されている。これらの被害を回復するために記事の削除と公表の禁止を求め、損害賠償として各330万円及び遅延損害金の支払いを求める。

被告の反論

本案前の抗弁

  1. 原告の訴えを却下する。
  2. 訴訟費用は原告の負担とする。

理由

  1. 当事者適格性がない: 原告らの情報は直接的に含まれておらず、訴訟の当事者適格性がない。
  2. 訴えの利益がない: 被害が証明されておらず、現在の記事は表題が変わっており、原告らの請求は曖昧である。

本案の答弁

  1. 原告の請求を棄却する
  2. 訴訟費用は原告の負担とする

理由

  1. 事案の概要: 「被差別部落」を特定したという前提事実がない。
  2. 当事者: 個人原告、原告部落解放同盟埼玉県連合会については不知。被告の行為については一部否認。
  3. 権利侵害行為: 「被差別部落」を特定していないため、権利侵害行為が存在しない。
  4. 損害: 損害が証明されていないため否認。原告らの主張は差別的な妄想に基づくものである。
  5. 差止めの必要性: 人権侵害の意図や被害が確認できないため否認。

求釈明

原告は「被差別部落」との用語を使用しているが、その具体的な意味と記事がどのように「被差別部落」を特定しているのかを説明すべき。

意見陳述の要約

部落解放同盟埼玉県連合会代表による意見陳述

  1. 「部落探訪」による差別意識の助長と悪用の恐れ:
    • 「部落探訪」は被差別部落を特定し、写真や動画で家並みや個人宅、墓地などを公表。これにより、地域住民の差別意識が助長され、平穏な生活が脅かされる。
    • 「部落探訪」の情報は、過去に摘発された「部落地名総鑑」と同様に、結婚や就職の際の身元調査に悪用される恐れがある。これにより被差別部落の出身者が不当に差別されるリスクが高まる。
  2. 「部落探訪」は出版差止め判決に対する報復行為:
    • 「部落探訪」の掲載は、東京地裁や東京高裁の判決、および法務省の行政指導に対する被告の報復行為である。被告は、判決や指導を無視し、意図的に「部落探訪」を続けている。これは法治国家への挑戦であり、許されるべきではない。
  3. 社会的な批判に対する挑戦:
    • 「部落探訪」に対する削除要請が全国各地で高まっているが、被告はこれを無視して掲載を続けている。埼玉県内の多くの自治体や協議会が削除を求めているが、被告の行為はこれらの社会的な批判に対する挑戦であり、明らかに反社会的である。
  4. 部落解放同盟の代弁者としての権利行使:
    • 「部落探訪」によって被害を受けている会員や被差別部落住民の権利を守るために、部落解放同盟が代弁者として権利を行使することを認めるべきである。個人が原告になるリスクが大きすぎるため、団体が代弁者として訴えることが必要である。

個人原告(熊谷市上中条支部長)による意見陳述

私は、熊谷市上中条で46年間暮らし、部落解放同盟中条支部の支部長として25年間活動してきました。2019年1月7日に「部落探訪」に地元が掲載されたことを知り、非常に衝撃を受けました。記事には、個人宅や墓地、産廃の不法投棄場所などの写真が掲載されており、地域の名字や集会所の名簿も特定されていました。これにより、地域が不当におとしめられ、被差別部落であると特定されました。

私はこの問題を地元の支部で報告し、住民たちは大きなショックを受けました。2019年7月の「熊谷市同和対策審議会」でこの問題を提起し、市役所は削除要請を行いましたが、記事は削除されませんでした。2022年11月にGoogle社が「部落探訪」の動画を削除しましたが、ホームページの記事は残ったままです。

私は支部長として、原告になることを決意しました。提訴後、家族や親族への差別が心配されましたが、裁判に勝利し、「部落探訪」の削除を実現したいと考えています。また、同様の行為を防ぐための法律の制定も願っています。

続く2つの準備書面の要約

第1 本案前の抗弁の理由について(答弁書第3に対する反論)

  1. 原告適格:
    • 被告は原告の適格性を否定。しかし、給付の訴えにおいては、給付請求権を主張する者に原告適格が認められるべきであり、原告適格性の判断は本案で行われるべきと主張。
  2. 訴えの利益:
    • 被告は原告が被害を証明していないと主張。しかし、民事訴訟による救済が求められる典型的なケースであり、訴えの利益が認められるべきと主張。また、被告が同様の記事を掲載し続ける意図を示すことで、その悪質性を指摘。

第2 請求の原因に対する認否(答弁書第4)について

  1. 「被差別部落」を特定していないという主張について:
    • 被告は被差別部落を特定していないと主張。しかし、「部落探訪」やその後の名称変更後も、被差別部落の特定と暴露を目的とした記事を掲載し続けていることを指摘。
  2. 損害の発生について:
    • 個人の人格権の侵害と損害の発生を主張。被差別部落とされる地域の住民の「差別を受けない権利」やプライバシー権が侵害されていると指摘。
    • 原告埼玉県連の構成員も同様の権利侵害を受けており、彼らのために記事削除を求める権利が認められるべきと主張。また、構成員のための権利保護が原告埼玉県連の業務遂行権の一部であると主張。

第3 求釈明について

  • 被告の求釈明に応じる必要はなく、原告の権利侵害については追って明らかにすると述べる。

第1 被告の行為の違法性に関する事実〜提訴後の事情

  1. 大阪地裁の仮処分決定:
    • 2021年11月10日に被告が掲載した記事が仮処分により削除され、記事公表も禁止された。記事が被差別部落の所在を示し、平穏な生活を送る権利を侵害していると認定された。
  2. 提訴後の埼玉県内記事掲載:
    • 被告は提訴後も「人権探訪」のカテゴリー名を「曲輪クエスト」に変更して記事掲載を続けている。提訴後に24本の記事が新しく掲載され、そのうち6本は埼玉県内の被差別部落に関するもの。
  3. 新潟県内記事掲載の差止め訴訟:
    • 2024年1月に新潟県内の被差別部落に関する記事の削除と損害賠償を求める訴訟が提起された。被告は裁判官全員の忌避を申し立て、訴訟の進行を遅延させている。
  4. 情報流通プラットフォーム法の制定:
    • インターネット上の差別情報対策として「情報流通プラットフォーム対処法」が成立。被告の行為が人権侵害の一環とされ、法的対応が強化されることになった。

第2 インターネット上の情報提供などが原因でおこった近時の差別事例

  1. 千葉県の事例:
    • 2023年4月、千葉県で男子中学生が被差別部落に住む同級生をからかう事件が発生。親が地元の教育委員会に対策を求めた。
  2. 三重県の事例:
    • 2022年、教員夫婦が同和地区の土地を購入した後に契約を解除しようとし、差別解消調整委員会が介入。部落差別が根深いことが浮き彫りになった。
  3. 東京都の行政書士の事例:
    • 2023年、東京都行政書士会が職務上請求書の不正使用を確認し、行政書士を廃業勧告処分。探偵社による戸籍情報の不正取得が明らかになった。

これらの事例から、被告の行為が被差別部落に対する差別意識を喚起し、平穏な生活を脅かすものであることが明確になっている。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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VS解放同盟 さいたま地裁 第2回口頭弁論」への14件のフィードバック

  1. 宮部さんへ

    私は解放同盟他どの組織にも属していないごく普通の部落民です。
    動画も見させていただきましたが、被告(示現舎)がこの裁判をてこに強引に対部落解放同盟、行政他への批判に持っていこうとしている気がしてなりまん。
    本論は部落民が「曲輪クエスト」記事に対し、精神的苦痛を抱いたりしてやめて欲しいと願っていることです。また一人では何もできないので解同が代弁してくれているとも思います。
    私たちは宮部さんと縁もゆかりもない部落民です。あなたと何の利害関係もない私たちが訪問記事は迷惑だと言っているのですがわかってもえませんでしょうか。(記事の内容も間違いが散見されますが、、)
    同和団体が税金で阿部元総理国葬反対の動員うんぬんは私も本当であれば憤りを感じますが、部落訪問記事とは別次元の問題です。別途、行政や解同他を相手にご自由に示現舎が戦えば良いと思います。解同憎しはあなた方の勝手ですが、、、、、

    #50a90db93cde74abb0c5b7a951e2c1c4

    返信
    1. 匿名

      いつも思うんだか、こういう自称部落民のコメント、具体的な事や内容がないから感想文みたいな長文が多いよな
      #7e6d1cd2d7a83ebff048c6387fab63ab

      返信
      1. 匿名

        あなたは何を言いたいのですか
        具体的なのですが、、、
        部落訪問は迷惑なのが理解できませんか???裁判でも明らかにされてますし、自分が部落出身だと隠して生きてる人もいることも知らないのでしょうか。
        また、あなたは宮部さんの記事に違いが多々あることも知らないで鵜呑みにしてませんか????
        #50a90db93cde74abb0c5b7a951e2c1c4

        返信
        1. 匿名

          失礼、、
          宮部記事に間違いが多いことも知らないで鵜呑みにしてませんか???
          各機関(法務省 各自治体 大学  団体 など)の部落差別に対する報告などはデマでしょうか???
          #50a90db93cde74abb0c5b7a951e2c1c4

          返信
      2. 匿名

        #7e6d1cd2d7a83ebff048c6387fab63abさん
        示現舎の方ですか??
        単純なこともわかりませんか??
        訪問記事に対する裁判と宮部さんがいう、動員に対するお金は関係ないでしょ。宮部さんの詭弁でしょ、責任転嫁でしょ。
        答えなさいよ。
        #50a90db93cde74abb0c5b7a951e2c1c4

        返信
      3. 宮部 龍彦 投稿作成者

        IPアドレス見ると分かりますが、毎度狂ったように連投している同じ人です。

        返信
  2. .

    さいたま地裁(旧・浦和地裁)で裁判所による警備が厳重だったのは、狭山事件に関連して浦和地裁占拠や火炎瓶テロがおこなわれていた名残でしょう。「あんた(示現舎)が怖いように書いているからだろ」というのは全くの見当違いです。

    「一九六九年十一月十四日朝、浦和地方裁判所の大屋根によじのぼった部落の青年沢山保太郎ら五人は、「狭山差別裁判実力糾弾」「全国部落青年は総決起せよ」の垂れ幕を垂らし、逮捕しようとする警官や職員に瓦や火焰ビンを投げつけて抵抗した。この沢山らの行動は短時日で石川に死刑の判決をくだした浦和地方裁判所のやり方に実力で抗議し、部落の青年たちの決起をうながそうとするものであった。沢山の所属する関西部落研は「われらの闘いは、見事二時間にわたって差別裁判所を占拠解放し、権力に手痛い打撃をあたえたばかりか、部落解放運動の戦闘的な部分に強力な力となって作用し始めている」と自賛し、「あたって砕けよ!死して生きよ!帝国主義権力を打倒せねば、部落民は解放されえない」と主張、「全国水平社の革命的復活」を宣言した。沢山らはすぐに逮捕されたが、この事件の報道は部落解放同盟はじめ部落問題にかかわっている人びとにつよい衝撃を与えないではおかなかった」(師岡佑行『戦後部落解放論争史』第5巻61ページ)

    上記の事件でさえ、水平社時代の高崎区裁判所襲撃事件に比べればまだおとなしいものです。

    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E5%B4%8E%E5%8C%BA%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%89%80%E8%A5%B2%E6%92%83%E4%BA%8B%E4%BB%B6

    「家に押しかけて取り囲むぞ」「お前の近所にビラを撒くぞ」というのは、かつて私自身がアタオカ委員長から言われたことです。一ツ橋小学校事件の例からすると、解放同盟は実際そういうことをやっていたのでしょう。
    #60a989ee6d1e6ba87753b99e665ae65d

    返信
  3. 匿名

    解同憎しはあなた方の勝手ですが、、、、、
    #50a90db

    複数IDでコメント欄を荒らして投稿禁止になった爺さんと句読点の使い方が同じ。
    #278fc8072e7ea50eb3a86d186f3b8843

    返信
  4. 佐藤

    まあ、埼玉では色々稼げた時代があったと思うけど、もう、そんな時代は終わったんだから、真面目に仕事をして稼いで、幸せになって欲しいです。人手不足の世の中では、猫の手も借りたい感じなので、社会に出ていく機会には、もってこいです。この時を逃すな。

    返信
  5. 匿名

    解放同盟員やそのシンパは頭がおかしい。
    何で自分の出身でもない部落に関してそこまで執着できるのか。
    同じ部落民という意識があるのか。
    同じ部落民だから自分の考えと同じはずとでも考えているのか。
    部落によって成り立ちや現在の状況も違うのに。
    投稿禁止になった老人も部落出身という投稿主に対して「あなたも部落出身なら分かるはず」とか言っていましたね。
    部落出身なら頭の中が同じになるなんてかなり差別的な考えですね。
    自分が一番差別者。

    #1d624c7a5a35c588f1fcbe6082252365

    返信