【和歌山市】職員自殺の経緯解明に 秘密保持の壁

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By 宮部 龍彦

6月1日、県民交流プラザ・和歌山ビッグ愛で、和歌山市職員の自殺に対する公務災害認定を支援する集会が開かれた。故人である職員は、2018年8月に子ども会に対する補助金の不正支出を公益通報し、2020年6月に自殺した。2020年11月に職員の遺族が、自殺を公務災害として認定するよう申請したものの今年1月に却下された。

遺族や支援者が記者会見したことで、ようやく一般のメディアにも注目されるようになったが、背景が同和行政であることはほとんど触れられない。また、集会ではここに至るまでに様々な秘密保持の壁があったことが語られた。

集会では「同和行政の終結を」という幟が立てられ、件の子ども会補助金については「同和子ども会」と表現されるなど、背景に同和行政があることが強調されていた。

「同和行政の終結」と言えば共産党が掲げてきたスローガンである。確かに支援者の1人で事務局を務める、雑賀光夫氏は元共産党県議だ。一方、同じく支援者であり、経緯の詳細を報告した元和歌山市職員の西秦伸氏はイデオロギー的にはむしろ共産党とは相容れない立場であるが、同和行政終結については共産党に賛同し、協力しているということである。

公益通報と自殺に至るまでの経緯は、過去記事「【和歌山市】同和行政で 若き命が 散った!公益通報で「自殺」に 追い込まれた 市職員の無念」で触れたとおりである。

集会では自殺直前の経緯についても語られた。職員は2018年10月に、生活保護課に配属。2020年6月の自殺直前に公用車で民家への接触事故を起こし、上司から人格を否定されるような厳しい叱責を受けていたという。支援者らは、職員が一番の激務である生活保護課に配属されたこと、不正支出で処分された元上司が職員から10メートルほどしか離れていない席に配置されたいたことが、市役所の配慮不足であると問題視した。

2020年2月に子ども会に対する補助金の不正支出で関係者の処分がされたが、その発覚の詳細な経緯は市役所内でも共有されてはいなかった。2020年6月の職員の自殺も、市役所内に噂として流れている状態だったという。

西氏らが調査を開始し、職員の名前が分かったので、勤務記録を開示請求した。その結果、確かに自殺した時期から出勤が止まっており、翌年にはいなくなっていることが確認された。さらにおおよその居住地域が分かったので住宅地図をもとに現地調査したところ、遺族にたどり着いた。そして、遺族も今回の経緯に納得しておらず、そこから事態が動き始め、支援団体の結成に至ったということである。

一昔前であれば、職員の名前はもちろん、職員名簿から住所もすぐに分かったのだが、現在では秘密保持や個人情報保護の壁に阻まれて、事件の詳細を突き止めることが、ここまで難しくなっているというわけだ。

遺族によれば、葬儀には市長も訪れていた。後に、市役所に置かれていた故人の私物が遺族に返却されたが、手帳からは個人名の部分等が塗りつぶされ、ボイスレコーダーがなくなっていたという。

支援者らは自殺の公務災害不認定について審査請求をし、訴訟も検討していることを語った。

全容解明にはさらなる情報が必要であるが、秘密保持の壁がある。しかし、支援者らは今回の件が報道されることで、職員等から市役所の不正について、さらなる証言や証拠がもたらされることを期待しているという。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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【和歌山市】職員自殺の経緯解明に 秘密保持の壁」への1件のフィードバック

  1. 匿名

    「手帳からは個人名の部分等が塗りつぶされ、ボイスレコーダーがなくなっていた」と言うことが事実であれば、器物損壊罪、窃盗罪の嫌疑が市当局に向けられても仕方ないのでは?
    誰が、何のため、何故そうしたのか、そうせざるを得なかったのか?
    #b31e4c2f35825775292d4422f30d2e56

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