【緊急】埼玉県虐待条例案 で家庭が“砕の国” その実体は「母親が 家庭で 子育て 条例」だった!

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By Jun mishina

「子供だけで公園で遊ばせる」こんな日常生活が虐待になる? 自民党埼玉県議団が提案した「虐待条例改正案」に批判が殺到! このため同県議団は10日、取り下げを発表した。児童擁護という美名の下、家庭崩壊の危機さえあった条例案だったが、検証してみると実体は「母親は家庭で子育て条例」の方が相応しい。

LGBT推進条例ゴリ推し県議が再び

自民党埼玉県議団が大炎上。現実を無視した無謀な条例案だった。

9歳未満の子を家に残して親がゴミを捨てに行ったら「虐待」。

同条例案で想定された「虐待」の実例である。これでは育児はできない、こう考えた保護者も多かったことだろう。現実離れ、常識外れという他ない埼玉県虐待条例案は右派・左派を超えて批判が殺到。

NHKニュースによると「10日午前10時までに873件の意見が寄せられ、このうち改正案に反対意見が871件、賛成意見が2件」と反対意見が圧倒的だ。いや全て反対意見といっても差し支えないだろう。もし成立されたら埼玉県は「彩の国」どころか家庭崩壊の「砕の国」だ。

同条例を推進した自民党・田村琢実県議団長は当初、制定に向け強気の姿勢だったが、「内容に瑕疵はない」としながらも「説明不足」だったとして取り下げに至った。

条例案の推進者、田村県議については当サイトでもレポートしたことがある。

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稲田朋美氏の埼玉後援会を結成した田村県議。

稲田朋美幹事長代理の埼玉県後援会会長で、また埼玉県LGBT推進条例に関わった人物だ。制定前にはパブリックコメントへ批判意見が殺到したが押し切った。

なにしろ当時の田村県議は“聞く耳持たぬ”という態度。それも県連幹部の説得にも応じなかったというのだ。党関係者はLGBT推進条例が紛糾した際の田村県議をこう振り返る。

「LGBT条例も活動家の意見を“当事者の声”だとして進めたのです。問題が多いということで新藤義孝前県連会長、柴山昌彦現会長らで説得を試みました。ところが全く無視。稲田さん肝いりの理解増進会の研修を受けたものの結局は左派のLGBT活動家の意見のみを取り入れたのです」

大臣経験がある県連幹部の助言ですら拒絶する押しの強さ。興味深いのは活動家の意見を「即当事者」としてしまう点である。裏返せば虐待条例もいかに実社会、実態を知らずに進めてきたか、ということだ。

右派・左派を越えて反対意見が噴出したのは当然のこと。田村県議も矛を収める他なかった。それにしてもなぜ自民党県議団はこれほど無謀な条例案を提出しようとしたのだろうか。どう考えても反発を招く内容にも関わらず反対意見が出なかったのが不思議だ。

旧親学推進協会の 影響を受けたか

「子育て支援」は岸田内閣の主要政策として掲げられている。にも関わらず本条例は全く逆行する内容ではないか。しかもどう考えても紛糾するのは必至の内容だ。

無謀な虐待条例改正案はどのように生まれたのか。

やはり田村県議が主導したLGBT推進条例の場合はいわゆる左派活動家の主張を踏襲したものだ。このため保守派から反発を招いても野党の理解は得られた。しかし虐待条例は野党からも反発。議会で共産党県議から「虐待の範囲が広すぎる」と指摘を受けたほどだ。

「児童虐待防止」が趣旨であり本来は左派が好みそうな取り組みである。ところが意外にも野党系の人権団体・左翼団体からの影響ではない。

そこで田村県議の人脈をたどっていくと幼児教育、保育園関係者が浮上した。田村県議の政治資金収支報告書(令和元年分)の寄付者にも名を連ねる団体役員。その人物は保育園運営者らで構成される「親心を育む会」のメンバーだ。

同会は埼玉県下で行われる「一日保育士体験」を推進する団体。一日保育士体験は上田清司前知事の時代、教育委員会委員長を務めた高橋史朗氏らが進めた。保護者に保育士の仕事を体験させる取り組みである。高橋氏は保守派の教育学者で故・安倍元首相のブレーンとしても知られる。また昨年、解散したが「親学推進協会」元理事長。保守派の教育啓発団体で伝統的な子育てを親に指導することで教育の質を高める「親学」を推進した。しかし主張が復古的すぎるとして左派メディアからしばし批判が起きたものだ。

一日保育士体験は各自治体で行われる取り組みで親学推進協会独自というわけでもない。保護者にとっては育児への理解増進、園側には保育士の資質向上など評価する向きもある。その根底には「子育て」ならぬ「親育て」という理念があるようだ。

自民党の虐待条例案も「親育て」という思想を感じないか?

親心を育む会によれば「条例案は全く無関係です。私たちも報道で知って驚いています」という説明だ。しかし同会に注目すべき人物がいた。埼玉県元教育委員長を務めた『ママがいい!』の著者、松居和氏が同会のスーパーバイザーを務めている。

また親学推進協会顧問でもあった。

「親育て」を推奨する松居氏。

「母親は家庭で 子育て条例」ではなかったか

仮に虐待条例改正案が成立した場合、保護者は常に子供に添わなければ「虐待」認定されてしまう。しかし繰り返すがどう考えても実生活と剥離した条文である。保護者、特に母親が家庭にいて子育てに専念しなければ不可能だ。

つまり児童の虐待を禁じる条例と言いつつ、その実、母親を育児に専念させるのが目的ではないだろうか。

そこで先の松居氏の主張に興味深い記述があった。「生命尊重ニュース」8月号「―宇宙は、なぜ0歳児を与えるのか」の一部を引用する。

子どもの願いに興味のない、「家庭」の成り立ちを理解していない「こども家庭庁」は迷走状態で、「ママがいい!」という叫びに耳を貸さないばかりか、子ども未来戦略(令和5年6月13日閣議決定)で、「キャリアや趣味など人生の幅を狭めることなく、夢を追いかけられる」ように、とまで言っている。親が「夢を追いかける」には、乳幼児が障害物だと言う。それは、そうかもしれない。でも、「こども家庭庁」がそれを言ったらお終いでしょう、と腹が立ってきます。

政府が今年6月に策定した「こども未来戦略方針」の「こどもと向き合う喜びを最大限に感じるための4原則 」にある

4.こどもを育てながら人生の幅を狭めず、夢を追いかけられる
○ 第四に、こどもを育てながら、キャリアや趣味など人生の幅を狭めることなく、夢を追いかけられる社会の実現である。このためには「加速化プラン」の「共働き・共育ての推進」に基づき実施する施策を着実に進め、その実施状況や効果等を検証しつつ、適切な見直しを行う。

を松居氏は批判している。育児をしながら自身のキャリアアップ、自己実現を否定しているかのようだ。早い話が育児に専念という考えである。しかしこれは政府方針とも逆行するし、そもそも子育てのために親が夢を諦めるというのも前近代的な考え方だ。それ以前にキャリアも育児も両立できれば理想的である。しかし育児のため保護者に「夢をあきらめろ」というのか。

松居氏の講演会は田村県議のブログでも紹介されている。2014年に自由民主党さいたま市見沼区支部が主催した「子育てで育まれる親心~社会に信頼関係が育つとき」と題した講演会に松居氏が登壇。

2014年3月9日、自民党さいたま市見沼区支部の講演会。

「乳幼児は天から与えられた親心を成長させるもの」というくだりは「親育て」を想起させる。虐待条例案もこうした思想から策定されたとすれば時代に逆行する上、現代社会のライフスタイルに全く適合しない。何より「こども未来戦略方針」は他でもない自民党政権下でまとめられたもの。自民党埼玉県議団の主張は政府方針に反している。にも関わらず虐待条例を放置した県議団、そして党本部は怠慢という他ない。

松居氏に話を向けると「今回の条例の動機には、調和に向かう姿勢がない。子育ては、内側からの意思であって、法律で縛るものではない」と説明する。では虐待条例案は松居氏の考えと異なるのか? という質問には反応がなかった。

LGBT法から 迷走する自民党

それにしても誰も得しない条例案という他ない。田村県議が主導したLGBT推進条例の場合、野党や左派活動家からの理解は得られたものだが、虐待条例は全方位を敵にした格好だ。LGBTの場合、まだ「政府や党の方針」「社会の要請」という大義が成立するが、本条例は議員の実績作り以外何ら必然性を感じないものだった。

ただでさえ自民党の支持率が落ち、保守層からも落胆の声は少なくない。しかも次期衆院選を控える中で今回の虐待条例は失態というレベルではない。

田村県議は条例案取り下げの釈明文の中で「私の言葉足らず」としたが、確かにその通り。本当の狙いは“母親が家庭で子育て条例”だったと打ち明けてはどうだろう。野党支持層はもちろん保守派からも支持されるとは思えないが…。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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【緊急】埼玉県虐待条例案 で家庭が“砕の国” その実体は「母親が 家庭で 子育て 条例」だった!」への1件のフィードバック

  1. 匿名

    なるほど、取材ご苦労さまでした。
    条例案の思想、私は出された直後から支持してました。絶対総スカンだろうになんで出すんだろうと不思議ではあったので、いくらか腑に落ちました。
    埼玉だからまずかったものの、共働きが大前提でない田舎だったらいい線行ってたかもしれません。

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