【参政党研究】参院選議席獲得が 現実味!? 主婦層を取り込む「食の不安」

カテゴリー: 政治 | タグ: | 投稿日: | 投稿者:
By 三品純

「参政党は比例で一議席取れるかもしれませんね」。信頼する政治記者がこんな分析をもたらしたのは参院選中盤のこと。公示前、シンパであろう評論家らが参政党の議席獲得を喧伝していたが、どうもここに至って現実味を帯びてきた。街頭演説や演説会でも多くの聴衆を集め、勢いや発信力は本参院選で最も高いと思われる。熱量を帯びるのは自民・維新に抵抗がある保守層の受け皿という面もあるが、主婦層であろう支持者の多さを見るに「食の不安」の煽動があるのではないか。

感化されやすい 支持者たちに「判断能力」はある?

マスクを外す日はいつ? コロナ禍でマスク着用はあくまで“ 要請”や“お願い ”という曖昧な形で習慣化した。マスク着用で熱中症リスクを持つ、また若者のコミュニケーション能力の障害になる、マスク不要論も高まる一方で公共スペースではまだマスク着用が一般的だ。しかし思い出してほしい。コロナウイルス蔓延以前は若者の間で「黒マスク」が流行っていた。韓流アイドルの影響の他、小顔に見える、マスクで神秘性を演出したいといったお洒落アイテムだったような…。『[だてマスク]依存症 ~無縁社会の入り口に立つ人々~』 (扶桑社新書)こんな新書も刊行された。

マスクを手放す日はいつなのか分からない。しかし参政党の集会に限れば「ノーマスク」が標準である。むしろマスク姿の支持者が少数派でこの空間だけはコロナ蔓延以前のようだ。

コロナ蔓延下でよく論じられた「マスク警察」。電車、公共施設等でマスクをしない、外す行為に対して注意する、もしくは激怒する現象だ。しかし神真都Qなどノーマスク、ノーワクチン運動の参加者の親族はこう嘆息した。

「マスクをつけた方が望ましい場所、またマスク着用を求められる場所にわざわざノーマスクで出向いて挑発します。性格が攻撃的になってしまったんです」

なにやら“マスク解放同盟”という趣きだ。本人はインフルエンサーらに触発されて啓発のつもりだろう。神真都Q、参政党、あるいはれいわ新選組の支持者も同様の雰囲気が伝わるが、異なる信条を持つ者に対する異様な攻撃性は「感化されやすさ」にあるのではないか。

「感化されやすい人々」。これまでどちらかと言えばDS、イルミナティ(世界結社)、ホワイトハット、こういった陰謀論に触発された男性が岩盤支持層ではないかと推察してきた。その読みは一つにこの分野で取材に応じたのが「陰謀論に心酔した夫に困る妻」が大半だったから。ただし参政党については女性支持者の存在がクローズアップされる。

参政党の候補者であり、関係者では最も高い知名度を持つ工学者、武田邦彦氏の話は非常に印象的だ。福島原発事故の際には「不安を煽った」として批判が根強い武田氏。現在は参政党の論客的な立場にある。武田氏が演説の際によく引用する材料が第二次世界大戦で「マレーの虎」と称された山下奉文ともゆき元陸軍大将の遺訓である。

武田氏は支持者にこう切り出す。

「山下奉文は上官の命令をただ聞くだけではなく下士官であっても意見を述べるべきだと遺した。だからマスクもただ言われたまま着用してはいけない。また奉文は女性であっても高い教養を身につけることを説いた」

要するに個々人の判断能力を高めよとの話だが、しかし残念ながら参政党に集まる面々は著しく判断能力を欠いているとしか思えない。法外なセミナー費用、怪しげなサプリ、こんな散財は果たして適正か? 妙なもので党本部に苦言した会員が除名されたケースもある。山下遺訓を実践したら除名というわけだ。

それから武田氏も述べる通り女性への啓発、子育て支援策、この点も強調しているのが特徴的である。もちろんその主張自体は誤りではない。どころか左派野党並みに女性支援策は強く謳う。候補者も全50人中女性が17人で決して低い割合ではない。あるいは演説会場では若い女性も目立つ。

ただしジェンダー観点上の配慮というよりも巧妙に“ 女性釣り”といった方が近い。

食の不安で敏感な 主婦の心をつかんだ!?

「食の不安」という社会運動。かつてむしろ左派のお家芸でこの分野で週刊金曜日の「買ってはいけない」シリーズが印象的だ。あるいは「お産の時に『買ってはいけない』を読んでそれから週刊金曜日や慰安婦問題に興味を持ちました」(50代女性)というケースもある。お産、子育からの左傾化というのは別途取り組みたいテーマだがさておき、これも心情的には子供や家族を守りたいという願いからだろう。

今でこそ託児所つきの政治集会もあるが、かつては目を吊り上げいきり立ち講演に夢中になる母親の脇で泣き叫ぶ幼児とは左派の市民集会の日常風景。

現在は、参政党や保守系諸派にそんな雰囲気を感じてしまう。子供の姿も見られる参政党の集会。もちろん親の影響だろうが、先述した「食の不安」に誘発されたと思われる。その最たるものが参院選比例区の候補者、神谷事務局長、誠敬会クリニック銀座院長・吉野敏明氏らの“ 令和の買ってはいけない”的言説だ。

食や農業における陰謀論に対して警鐘を鳴らす『農業ビジネス』編集長・浅川芳裕氏の投稿が話題になった。

吉野氏のブログ『今こそ「医食同源」に立ち返る時!!』(2022年2月22日)

小麦とはメリケン粉、つまりアメリカから来た粉ですから、戦前の日本には存在しませんでした。​

この記述をめぐって批判が殺到。戦前というより古代から小麦由来の食品は存在したはずだが。

「要は言いっぱなしなんですよ」とはかつて参政党に賛同したウォッチャー。今やこう失笑する。

「山梨選挙区の渡辺知彦候補は甲府市内でパン工房を経営しています(笑)。つまり小麦食批判も根拠なんてありません。要は米食という伝統だとか無農薬重視というポーズが取れれば支持者はついてきます」

参政党は重点政策として「子供の教育」「食と健康、環境保全」「国のまもり」の3つを挙げるが小麦食批判や食料自給率もその一環だ。

かつては左派が重視した「食の不安」を保守風味に改修したようにも見える。生活や食に敏感な主婦層の心を掴むには十分だろう。

神谷事務局長が運営する「イシキカイカク.com」には高額なサプリやコスメがズラリ。むしろ食、環境重視はこうした商品への“誘導 ”に思えてならない。

石川県加賀市を 拠点にした啓発ビジネスか

教育を重視し、防衛力を高める、この主張自体は否定しない。ところが組織全体から発散されるビジネス臭に対して支持者は疑問を持たないのだろうか。東京選挙区から立候補したクラブ経営の河西泉緒氏は支持者からアイドル的な扱いを受ける。現在は削除された下記のTwitter投稿も特有の“薄っぺらさ ”が伝わる。なんというか“ チップ感”と表現するべきか。まだ立憲民主党や共産党の女性候補者の方が真剣味は伝わってくる。

この投稿はウォッチャーの間で参政党と自民党の関係性を示す証拠として回覧された。

もともと自民党に限らず各地に人脈を持つ神谷事務局長だが、活動拠点は石川県加賀市にあるようだ。

神谷事務局長と加賀市の騒動についてはすでに新聞報道にもなった。今年3月5日の『中日新聞』が詳しい。同氏は2020年7月に加賀市に移住し「加賀プロジェクト」を発足させ認可外保育園やフリースクール、高校生や大学生向けの私塾を始めた。また加賀市が募集した旧看護学校生徒宿舎の活用事業に応募したが、政治団体を運営する立場で市の施設を活用するのは自治体の政治的中立を損なうとして地元や市議会で批判が起きた。

応募時の申請書類を見ると神谷事務局長が運営する「加賀市大聖寺上福田町ハ10」という住所を見るといくつか興味深い関係性が確認できた。

同一の住所に株式会社カガプロという映像制作会社があり、参政党の動画制作を担当している。「#カガプロ」のハッシュタグで検索すると参政党福岡支部の投稿が出た。参政党関係の映像を請け負っているようだ。

同社代表者名も紹介されている。

また同住所にはEARTH CREATE 株式会社という会社もある。同社代表者は参政党候補者、浅井千晴氏(広島選挙区支部長)だ。

政党の関係者というよりもビジネス仲間で政治参加といった格好だ。しかし表面上は加賀プロジェクト」という教育事業がベースになっている。しかし一連の関係性を見る限り先の報道にあった通り政治活動と事業が混在してはいないか。またれいわ新選組の仲間内の受発注に酷似していた。

参政党にはいわゆる「保守派文化人」が参画しており、伝統教育を説く人物もいる。また神谷氏自身が教育事業で得たノウハウや経験は有権者、支持者へのアピールになるだろう。「食の不安」に加えて教育事業もまた女性を取り込んだ要因かもしれない。ただし一部では参政党を刑事告訴した人物も話題になっておりこの勢いがいつまで続くのか目が離せない。

三品純 について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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