【同和化する LGBT】「東京都パートナーシップ宣誓制度」は “仕事をやってる感 ”まる出し!

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By Jun mishina

東京都は来年度から同性の事実婚カップルも一般的な夫婦と同様にみなす「東京都同性パートナーシップ制度(仮称)」を導入する方針だ。12月8日のNHKニュースによれば昨年10月から当事者や都民などを対象にアンケート調査を実施したという。弊社はその調査結果を独自入手した。その文言の一つ一つから行政のLGBTに対する配慮感が滲み出る。性的マイノリティーに対する理解、啓発というのは大いなるタテマエ。“ 仕事をやっているPR”というのが現実ではなかろうか。

アンケート集計の中身を独占入手!

アンケートは昨年10月から11月にかけて当事者団体等を中心に行った。以下はその集計結果だがともかくご覧いただこう。

(1)総括(東京都に期待すること等)

・東京都の制度導入には、国内外からの注目が集まるため、前向きかつ慎重な制度設計が必要である。

・制度導入後の活用先の拡大や理解促進、制度の検証・改善が非常に重要。また、当事者にも継続的に活用先の発信や困りごとが無いかの確認をお願いしたい。

・性的マイノリティの人権が最大限に尊重されるよう、都内区市町村や国、民間事業者とも連携してほしい。一方で、各区市が独自のパートナーシップ制度を導入済みであり、要件の異なる自治体をまたぐ相互利用の実現に向けて、丁寧な調整が必要である。

・パートナーシップ制度は性的マイノリティ関連施策の一つに過ぎないので、引き続き他の支援・普及啓発の推進をお願いしたい  

(2)各論

ア 根拠規定について

・迅速に制度を導入するために要綱根拠で良いとの意見もあったが、制度の安定運用のために条例根拠とすべきとの意見の方が多かった。

イ 届出方式について(公正証書の提出を求めることについて)

・制度の信頼性の確保や活用先の拡大の観点から、公正証書の提出を求めるべきとの意見もあったが、法律婚と同様、当事者の二人の宣誓(届出)のみとする方が望ましいという意見の方が多かった。

・また、公正証書の作成には法律の知識や数万円程度の費用を要することからハードルが高い、法律婚では不要な書類を行政から要求されることを差別的と感じる当事者もいるとの指摘もあった。

ウ 対象者について

(ア)双方又はどちらか一方が性的マイノリティとすることについて

・「法律婚が可能な者(戸籍上の性別が異性である場合)を対象に含めなくて良い」との意見もあったが、「できる限り対象者を広げてほしい」という賛成意見が多数だった。

・また、性的マイノリティのパートナー同士で養子縁組をしている場合は、パートナーシップ制度の対象者に含めてほしいとの意見が寄せられた。

(イ) 別居可とすることについて・周囲の偏見や仕事の都合等で同居できない当事者も多いことから、賛成の声が多数だった。

(ウ) 在勤・在学者を対象とすることについて

・「できる限り対象者を広げてほしい」という賛成の声が多数だった。

エ 手続等について

(ア) 手続のオンライン化について・アウティング対策のためにオンライン手続きは有効との意見が多く寄せられた。一方で、役所に書類を提出することを人生の節目のイベントとして捉える方や高齢者等でオンライン対応ができない方等のために、対面手続きも選択できた方が良いとの指摘もあった。

(イ) 証明書について

・直近の日付の証明書の提示を求められる場合があるため、証明書の再発行の仕組みが必要との意見が複数寄せられた。

・また、パートナーの一方が死亡した後も、保険の手続き等で証明書が必要との指摘もあった。

(ウ) 不正・虚偽等への対応について

・不正・虚偽等の防止策として、発生時の対応を規定しておく必要性を指摘する声があった。一方で、パートナーシップ制度は法的効果を生じさせないものであることから、過分に厳しい対応は不要との意見も多かった。

オ 活用を希望する分野等

・特に医療・住宅の分野において、パートナーシップ制度利用者を、法律婚や事実婚(事実上婚姻関係と同様の事情にある者)と同様に扱ってほしいとの意見が多数寄せられた。

・そのためにも、制度導入後、各分野の現場レベルまで、パートナーシップ制度を理解した上での対応が徹底されるような普及啓発活動が重要との指摘が複数寄せられた。

・制度利用者が活用できるサービスに関する最新情報を定期的に発信する等により、行政と当事者が継続的な関係を確立し、困りごとが無いか等を把握できると良いとの意見があった。

・東京都の性的マイノリティ支援の姿勢を示すためにも、都職員向け福利厚生への適用も重要との意見が複数寄せられた。

カ 子供に関すること

・子供のいる当事者カップルを中心に、安心安全に子育てできるよう、子と、その親のパートナーとの関係も含め、家族関係にあることの証明書の発行を期待する声が上がっているとの意見が複数寄せられた。

・一方で、子を含めた家族関係に係る証明書を発行する場合、親権・養子縁組・里親制度の法制度との整合性、子供の人権・意思の尊重等について慎重に検討を進める必要があるとの指摘も複数寄せられた。

キ 他の自治体との相互利用について

・制度利用者の利便性向上のため、都とパートナーシップ制度導入済み自治体とで、手続きの共通化や証明書の相互利用を可能としてほしいとの意見が多かった。

・一方で、自治体ごとに要件や手続きが異なるため、相互利用に当たっては、慎重な調整が必要との意見もあった。

専門家、当事者の意見を踏まえ疑問点を東京都総務局人権部に質問してみたが—――――

「アンケート回答結果についてはまだ未公開ですので申し訳ありませんが、個別の問題はお答えできません。公開するのはお控えいただけないでしょうか」(担当者)

はい承知しました、という訳にはいかない。なぜならLGBTに限らず、同和行政も然り。行政は人権問題に関する事業について市民に対する理解、啓発と説明する。ところが議事録や審議会、また予算書、こういった関係文書を情報開示請求すると「個人情報」または「差別を助長する」を理由に非公開ないし黒塗り文書を出す。議論は密室でやります、情報公開は偏見を助長しますというのはあまりにムシがいい話。

東京都に限らず昨今の自治体が競うように取り組む同性パートナー制度。理念こそご立派。しかしその正体はズバリ、活動家の懐柔と役所の“アリバイ仕事 ”というのが実態だ。

予算面の言及はナシ。お金の話は避けたい!?

東京都『職員のための性自認及び性的指向に関するハンドブック』より。

同性カップルの事実婚を自治体が認定する取り組みは全国各地に広まっている。東京都のパートナーシップ制度もその一環だ。LGBT施策では全国で最も先進的に取り組む東京都渋谷区の「渋谷区パートナーシップ制度」だと、渋谷区パートナーシップ証明書が発行される。特徴的なのは単に「宣誓書」ではなく公正証書が必要だ。その取得手数料も助成金制度があるため経済的負担も軽減される。一般的な婚姻関係ではないにしてもより他の自治体で実施されるパートナーシップ制度よりも遥かに公共性が強い。

対して大半の自治体が実施するパートナーシップ制度は理解・啓発を目的にした「理念事業」であり、早い話が“ 差別行政”といった批判を免れるための自己防衛である。

自治体職員とは実に分かりやすい人種。情報公開については恐ろしく不誠実で例えば「熱海市土石流」のような生命財産が関わる事件ですら公開を渋る。その割に個人情報保護、人権問題といった事象については異常に厳格で律儀だ。

この理由は単純明快だろう。情報公開の場合、自治体の責任が公になる上、“配慮すべき市民 ”や“ 声の大きな団体”の不利益になりかねない。逆に個人情報保護、人権問題は厳格に取り扱うことは先の市民や団体の思惑と一致する。そういう自治体の特徴を踏まえてアンケート結果を検証すると面白い。

都関係者によると「(東京都パートナーシップ制度は)渋谷区のような予算執行が伴う制度ではなくて、単なる宣誓書といったものでしょう」と語る。

各地のパートナーシップ制度を懐疑的にみる当事者はアンケート結果を見てこんな感想を漏らした。

「 (2)の各論イに『公正証書の作成には法律の知識や数万円程度の費用を要することからハードルが高い』という意見があります。ところが予算面について特に言及はありませんね。当事者からヒヤリングしたというならば費用助成の意見も出たはずなのに集計結果に出ていないのは不自然です。人口が多い東京都で費用助成を行った場合、予算が高額になります。だからあえて言及を避けたのではないでしょうか」

当事者団体ならば渋谷区の事例を知らぬはずがない。ならば予算措置についても要望がありそうなもの。

また

オ 活用を希望する分野等の『特に医療・住宅の分野において、パートナーシップ制度利用者を、法律婚や事実婚(事実上婚姻関係と同様の事情にある者)と同様に扱ってほしいとの意見が多数寄せられたというのもかなり本末転倒な気がします。というのは医療分野についてはパートナーシップ制度とは無関係に柔軟な対応が進んでいます。当事者がみなパートナー証明を求めている訳ではありません。逆に“パートナー証明がないと対応できない ”という事態はむしろ後退になってしまいませんか?」

との指摘もうなずける。

おそらくヒヤリングをした当事者団体というのも大半は左派の“ 活動家筋”だろう。なぜなら自治体が行う人権問題の調査はえてして実態の把握というよりも“ご機嫌伺い ”程度のものだ。

そしてオ 活用を希望する分野 の「東京都の性的マイノリティ支援の姿勢を示すためにも、都職員向け福利厚生への適用も重要との意見が複数寄せられた」と「ウ対象者について 」この2つについて制度の本質的な矛盾があるのでこの点は他自治体の事例を交えて検証してみよう。

同性カップルはOKで 事実婚はNG?

アンケート結果では先述した通り「都職員向け福利厚生への適用」とある。東京都人権部に確認したが明確な回答をもらえなかったが、要は同性カップルの職員に対して一般的な婚姻関係の職員と同等の福利厚生を適用せよという意味だろう。

しかし福利厚生の適用になると簡単ではない。渋谷区のような公正証書による裏付けがあるカップルならばまだしも「宣誓書」程度のカップルに適用ができるだろうか。事実婚の関係でもないのにパートナーシップ制度のお墨付きだけもらって福利厚生の権利を得るという不正利用は想定できる。

職員向けの福利厚生という点では岐阜県関市役所の事例に注目したい。

関市では同性パートナーがいる職員に対して結婚祝いや弔慰金を認めるという。同市担当者によれば「公正証書は必要でなく本人の自己申告で認めています。もちろん住民票上では『同居人』ですがそうした書類の確認はします」との説明だ。しかし同性ではなく男女の事実婚については適用されない仕組み。この点も疑問だ。

同性パートナーであろうが、男女の事実婚であろうが法律上の婚姻関係ではない。同性パートナー、事実婚カップルも性質の違いがあれ、行政上は「同居人」に過ぎない。にも関わらず関市は同性パートナーについては職員互助会制度の適用を認めるという。しかも自己申告で、だ。極端な話、結婚祝いをもらった→パートナーを解消した→また相手を見つけた→また結婚祝い、という事態も起こりえる。つまり関市のケースは申請者はいないだろう、という予想があったのではないか。実際に関市ではまだ支給実績はないということだった。

あるいは東北地方初の同性パートナーシップ証明制度を導入したという青森県弘前市も紹介しておきたい実例だ。

2020年に弘前市は東北地方初の「弘前市パートナーシップ宣誓制度」を制定した。ただし同制度は、議会の議決を必要とする条例ではなく「要綱」(役所内部の取り扱いを定めたもの)である。これまた紙切れの「宣誓書」程度のものだ。

もっとも同制度を活用しても何らかの権利が得られるわけではない。ではどんなメリットがあるのだろうか。『弘前市パートナーシップ宣誓制度手続きガイドブック』によれば「宣誓することで利用できる市の手続きやサービス等」「宣誓することで利用できる民間事業者の手続きやサービス等」は以下の通り。

市民税県民税の代理申告ができると聞いて歓喜する同性カップルがどれほど存在するのか分からない。金融、保険、携帯電話など金銭的なリスクが伴う「民間事業者の手続きやサービス等」に至っては業者に丸投げ状態だ。見切り発車で策定した印象を受けた。それは何より担当者自らが吐露している。

多様性、人権施策は 公務員の防衛手段!

弘前市の「弘前市パートナーシップ宣誓制度」が発足した当時、同市担当者は地元の当事者団体からインタビューを受けていた。興味がある人はぜひ視聴してもらいたいがその中で

初めから、宣誓される方が、もしかしていないかもっていうのも想定してつくっている部分もあるんですけど

字幕より引用

制度あることで、広く理解促進、進めていきたいっていう部分も大きいですし、

字幕より引用

と漏らした。裏返せば実態は把握していないが、とにかく実績作りとの狙いだろう。また「広く理解促進」という点でも宣誓の実効性よりも行政が好む「啓発」に重きを置いたようだ。

当の担当者に尋ねると「平成30年11月に『男女共同参画プラン』を策定してその中で性的マイノリティの方について記述されました。その後、行政文書の性別欄の見直しや職員向けのセミナーを行ってきた中で令和2年度からの取り組みとしてパートナーシップ宣誓制度を制定しました」と説明した。

平成30年のプラン策定から令和2年のパートナーシップ宣誓制度まで驚くべきスピード感だ。普段、行政の対応は鈍いものだが、LGBT施策のこの迅速な仕事ぶりはどうしたものか。

しかもこうした疑問は何より「当事者」らから寄せられたもの。なぜ弊社に当事者から意見が来るのか? それは「当事者」といっても行政が配慮するのは“声が大きな当事者 ”のみだから。

同和事業取材の中でこうした「理念事業」は嫌というほど見てきたが、結局のところ「なだめる」「ご機嫌伺い」の領域を出ない。LGBT施策の同和化という意味がご理解いただけるだろう。

政治的な目論見も 見逃してはいけない

とにかく声の大きな市民をなだめるためにLGBTに躍起になる自治体だが、考えてほしい。皆さんは普段、それほど職務に忠実だろうか? 西日本の人権、同和行政に熱心な自治体でやたら不祥事が相次ぐのはどうしたかことか。特定の「当事者」の声だけを受け入れたら波風が立たない。社会的弱者を守るという建前はその実、行政側の防衛術に過ぎないのではないか。

おそらく東京都のパートナーシップも同様の目論見で策定されるのだろう。そしてこんな背景も見逃せない。

「東京都のパートナーシップ制度はダイバーシティ政策を掲げる小池百合子都知事のパフォーマンスという見方もできます。それから小池知事の強力な支持層は実は選挙に強い創価学会婦人部なんです。ご承知の通り、学会婦人部は人権問題に熱心ですが、そうした層に“ 先進的な小池都政”をアピールしたいんですよ」(都政担当記者)

各地で進むパートナーシップ制度にさほど美しき思いが込められているとは到底思えない。そんな行政関係者にこんんな声を届けたい。

行政のアリバイ仕事のために逆に当事者の不利益に繋がるリスクはよく理解できる。しかしこうした意見が自治体職員に届くことはまずないだろうが。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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