部落について取材・研究していると、意外な話、意外な物を目にすることがある。最近、2009年に東京都港区であった職員間での「差別事象」についての資料を手に入れた。10年以上前のことであるし、大した話でもないのだが、このまま歴史の闇に葬ってしまうのはもったいないので、分かる限りのことをレポートしておこう。
港区と言えば2010年まで部落解放同盟中央本部があったことをご存じの方も多いだろう。そうでなくとも、東京でも行政と部落解放同盟は無縁ではない。そのような中、2009年に港区で職員が他の職員に「お前は部落民だろ」と発言したとされる「差別事象」があった。
既に文書の保管期限が過ぎているので区役所内では破棄されてしまったかも知れないが、その時の顛末を記したのが以下の文書である。
要約すると、日頃から仲の悪かった2人の職員がおり、ある日一方が片方を部落解放同盟員だと思い込み、口喧嘩の中で「お前は部落民だろ」と言い、そのことが大問題となって「人権研修」が行われたというものである。
ただ、経緯を注意して読むと、そこには本物の「部落民」も部落解放同盟員も関係していない。喧嘩の中で部落に関係する言葉が出た、ということである。
この「差別事象」の背景を知る事情通から、なぜこのようなことが起こったか詳しく聞くことができた。
文書にあるX職員とY職員とは、福祉関係の現業職員、端的に言えばホームヘルパーである。当時、港区の関係部署の職場環境は非常に殺伐としていたという。
「職場ではセクハラ・パワハラは日常茶飯事でした。職場で私物の盗難もよくありました」(事情通)
セクハラ・パワハラというのは、具体的には、男性上司が処遇改善をちらつかせて女性職員をホテルに連れ込むといった行為で、自分も目にしたと事情通は生々しく話してくれた。また盗難については、当時は縁故採用や区職員のいわゆる未亡人等を優先雇用した職員がベテランを中心に多く降り、そういった人は全般に行状が悪いというのが職員の間での認識だった。
それにしても、なぜよりによって「解放同盟員ではないか」「部落民だろ」といった発言が出てくるのか。その背景としては、次の写真のように職場には解放新聞が置かれており、自治労を通じて解放同盟とつながっている職員や、解放同盟を通じて優先雇用された現業職が当たり前のようにいるということが、職員の間での認識だったという。
とすると、件の「差別事象」のような発言が出てくることも日常茶飯事だったと思われるが、なぜあの時に限って大事になったのか?
「Yさんが部落解放同盟に報告したんです」(事情通)
ということなのだ。
何とも人間臭いドロドロした話であるが、公務員と言えども人間。表には出ていないだけで、この類の話は全国各地の役所で起こっていることなのかも知れない。
旧・中央本部の隣に「六本木グランパハウス」なる集合住宅がありますが、ネーミングと立地からしてひょっとしたら松本家の所有でしょうか? グランパとは松本治一郎のことではないでしょうか。
登記簿で分かるかもですね!
精神的な豊かさがないのはX職員も同じですなぁ
服装と態度で解放同盟員と見抜けるもんなんですかね?