検証・朝鮮学校裁判(後編)
異常な学校運営が浮き彫りに

三品純 By 三品純

朝鮮高校の無償化訴訟は異常な学校運営が浮き彫りになる。権利闘争のための裁判がむしろ都合の悪い情報まで露呈する。ところが無償化適用を訴える議員、行政関係者は少なくなく「正常な運営」を訴える。だが本当にそう考えているとすれば目が節穴というレベルでは済まされない。

ご承知の通り無償化訴訟は大阪だけではなく全国各地で行われた。こうした集団訴訟という方法は朝鮮学校に限らず市民団体、左翼団体のお家芸と言っていい。要するに押せば引く、声が大きな者には弱いという司法、行政の特性を想定したものだ。今回の大阪朝鮮学園の無償化訴訟の場合、従来の主張と少し異なるのは「朝鮮総連」との関係を認めた上で進めたこと。裁判資料からそんな姿勢が読み取れた。というのもこうした無償化裁判が起きてから、朝鮮学校は朝鮮総連から独立していることを主張してきた。だが今回の裁判は原告・被告(国)とも朝鮮総連との関係は重視していない印象だ。

それも当然だろう。なぜならいかに「総連の影響下にない」と訴えたところで自身らが総連と学校の関係を認めてきた。過去資料を見れば一目瞭然。朝鮮総連が発行した『朝鮮総連』(1991年)には学校の管理運営として「朝鮮学校の管理運営は朝鮮総連の指導のもとに教育会が責任をもって進めている」とある。また『労働新聞』(2012年4月4日)によると「総連は我が共和国の堂々たる同胞組織であり在日朝鮮学校は総連組織が運営する合法的な民族教育機関である」と書かれている。また朝鮮総連自体、その実態は外部から把握できないが、総連本部4階には「教育局」があり、朝鮮学校の指導、支援、教職員の派遣、教科書作成の補助、教育研究の企画、朝鮮学校のスポーツ・文化活動の企画が行われている。皮肉にもこうした事実関係も裁判の過程で分かったことだ。

参考資料。東京のケースだ。東京朝鮮第6幼初級学校の敷地内に「大田朝鮮会館」が存在したが学校の財産目録に記載されていなかったことも。「大田同胞の愛族愛国事業の拠点」とあり学校施設とは全く無関係だ。細部でこうしたアラが出てくるのが朝鮮学校。

その昔は朝鮮総連による威圧によって学校も権利を勝ち取ってきた訳だが、拉致問題が北朝鮮による国家的関与が発覚して以降はむしろ総連は足かせに過ぎない。そんな状況にあって原告側は「正常な学校運営」「教育を受ける権利」「国連人種差別撤廃委員会からの勧告」などを主張の軸にしていた。

今さら国連人種差別撤廃委員会からの勧告等を真に受けたくもないが、同委員会は朝鮮学校が不当な扱いを受けてきたというわけだ。ならばこうした実態はどうだろう。東京都が約155億円を出資する東京都私学財団は2008年から「私立専修学校等耐震化事業」で耐震強化工事の補助を行っているが、これも億単位の補助金が都内の朝鮮学校に支給されてきた。また大阪府下の自治体の場合は月々の就学支援金の支給も。もちろん東京、大阪に限らず朝鮮学校への支援制度は実施されてきた。こうした実態を人種差別撤廃委員会が把握しているとは思えない。むしろ人種差別撤廃委員会の勧告云々を持ち出すことは返って日本社会の反発を招くものだ。今回の裁判結果を踏まえ、国連へのロビー活動を見直してもいいのではないか。

それでも日本社会の差別というならば本国に支援を要請するのがよろしかろう。朝鮮高校で教えられる民族曲を引用しよう。

『我らは総連の新時代』

首領様に抱かれて育った我らはお気に入り部隊

『忘れるな』

貴いお金を送ってくださる首領様の愛を忘れるな

前編では文科省前事務次官の前川喜平氏の陳述を紹介したが、同氏はこう指摘している。「ドイツ人学校などと比べれば、朝鮮学校の方が遥かに日本社会に溶け込んでおり、日本の高等学校と同等レベルの教育を行っているということが文部科学省内では常識でした」。こうした教育が本当に日本社会に溶け込んでいると言えるのか。もしこれが文科省内の常識だったとすれば、不見識というレベルではない。

朝高の若者よ、なぜ総連に怒らない?

正常に学校運営が行われている。このことは裁判でも原告が再三、訴えてきたことだ。しかし内情を知れば到底、「正常」とは思えない。そもそも朝鮮学校とは「学校」というよりも朝鮮総連の付属機関としか言いようがない。旧朝鮮銀行の破たんを受け不良債権を譲り受けた回収機構が2004年に広島朝鮮学園らを相手取って起こした譲受債権請求事件からもよく分かる。

1991年に広島朝鮮第一初中級学校を移転するために「広島朝鮮第一初級学校移転建設委員会」が設立された。やがて同委員会は「学校法人広島朝鮮学園移転建設委員会」に名称変更する。当時、広島朝銀は学園に対して融資を行ったが、その後朝銀が破たんしたのはご承知の通り。このため回収機構は学園と委員会に対し返済を求め訴訟を起こした。本裁判は原告勝訴で終わり、学園らに支払い命令が下された。裁判では学園も朝銀も朝鮮総連広島県本部の強力な指導の下に置かれ、傘下組織のようになっていたことが認定された。

特定団体の傘下に学校と銀行がある。まるで朝鮮総連というグループ企業のようだが、こんな組織が果たして国内にあるだろうか。もし仮に森友学園ばりの超タカ派の学校法人があって、同様の問題が起きた場合、野党議員も市民団体も決して許しはしないだろう。

また愛知朝鮮学園のケースも紹介しておこう。同校も長年、運営資金に四苦八苦してきた学校だ。同校の校長と教育会会長の連名で朝銀愛知信用組合に提出された事業計画書がある。日付は1997年12月29日とある。補足をすると教育会とは朝鮮学校の教育・運営に関わる支援組織で地元の実業家らなどで構成される。文書には「1997年夏期から提起してきた遊技業の権利を獲得する問題が県教育会副会長の紹介で私たちの学校でもらえる事となりました。私たちはこの1号店を成功させるために次の様な融資を提起します」と書かれていた。

内容は教育会副会長が関係するパチンコ景品取引会社への融資計画だった。まず朝銀から愛知朝鮮学園へ1300万円を融資し、学園から景品会社に迂回融資する。そして毎月、景品会社から学園に50万円が返済され、35万500円を学校の運営資金に、そして残り14万9500円を朝銀への返済に当てる仕組みである。教育会と景品会社とは正式契約を結ばず、返済は副会長が保証したという。保証の担保は副会長が持つパチンコ施設の権利を教育会に譲渡するというものだ。
しかし計画は頓挫。副会長の事業の失敗によって店舗は得られず、また債務も学園のものになってしまった。学校を使って商売に失敗し、ツケは学校に回ってくる。異常な学校運営の何ものでもない。

こうした債務も日本社会の責任というわけでもあるまい。自身らの学校運営のミスに過ぎない。しかしその反省がまるでないし、学校側から説明があったこともない。だから「無償化適用」「差別」と叫ぶ前に今やもう左翼ですら忘却した「自己批判」をしてもらいたいものだ。そして朝鮮学校の若者たちに言いたい。チョゴリ姿でマスコミや支援者の前に現れ泣いて無償化を訴える、大挙して裁判所に押しかける、もうこんな前近代的なやり方は控えるべきだ。かえって日本社会に反発と恐怖を植えつけるに過ぎない。その昔なら恐怖も権利闘争に役立ったがもうそんな時代でもあるまい。だから裁判の前に朝鮮総連に怒るべきだ。なぜ不可解な学校運営が起きたのか、若者たちがその責任を問うたらいい。裁判やデモ、集会などよりもよほど効果的だし、日本社会にも理解が深まるはずだ。

在日朝鮮人問題に詳しい金賛汀の『朝鮮総連』(新潮社)より引用。我がハッキョを担保にした朝鮮総連に対してなぜ生徒たちは怒らない?

検証・朝鮮学校裁判(後編)
異常な学校運営が浮き彫りに
」への3件のフィードバック

  1. 通りすがり

    橋下氏が知事(市長)時代に朝鮮学校無償化に言及したと記憶していますが、総連側に一条校(検定済の教科書を使う学校)として認可を取るのであれば補助金を投入するという条件を与えたようです。もちろん総連側は首を縦に振りませんでした。同じ朝鮮系の学校で金剛、建国などの韓国学校は一条校として認可されていますので同じように認可を取る事を無償化の条件とするべきであると思います。
    実際、大学受験の際も正式な学校ではないのに大学受験資格があるという玉虫色の決着でごまかしています。
    認可取得からさらに踏み込んで朝鮮情勢に詳しい日本側と朝鮮総連と関わりのない朝鮮側双方を役員とした日朝協会などを組織し、総連から完全に切り離した経営を行うことで朝鮮学校の透明性を高めるべきであると思います。

    返信
  2. ABEはSHINE

    異常な学校法人が、他にある気がするんだが。
    差別主義者アベファンに言っても無駄かwww

    返信
  3. 綾紅はるか

    朝鮮総聨自体は確か法人格を有しない任意団体だったためになかなか法的な措置や債権回収が難しかったかと思います。
    下部組織の方が各種の法人格を有しており、問題は根深いかと思われます。
    下手に破産申請などしたところで第二、第三の朝鮮総聨が任意団体で誕生してしまい責任追及は困難になるのではないかと危惧しますね。

    返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です