【夏の特集】活動家たちの痛い替え歌ベスト10(後編)

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By Jun mishina

前回に引き続き、活動家の痛い替え歌ベスト10。ニュース、ネットなどで話題になったあの人たちの作品を1位から5位までを発表。果たして栄えある1位は―――――。

5位 アーティスト/趙博 元歌/Love is over

ABE IS OVER 遅すぎたけど 終わりにしよう きりがないから
ABE IS OVER 訳などないよ唯一つだけ 日本のため
ABE IS OVER 悪い過ちと 笑って言える時が来るから

(寸評)元ネタは、台湾出身の欧陽オーヤン菲菲フィーフィーの『Love is over』。浪花の歌う巨人こと趙博氏(パギやん)が発信したもの。目下、SNSで広まっており、今回紹介する中では最もホットな替え歌。原曲を活かし、無難に仕上がった印象だ。実は、今回の選曲にあたり、プロの歌い手を入れないことにしていた。例えば、原発批判の斉藤和義『ずっとウソだった』などプロのミュージシャンが関わることもあり、活動家の替え歌とは趣きが異なるからだ。また脱原発アイドル『制服向上委員会』も替え歌を持つが同グループも一応のプロと判断し除外した。しかし趙博氏の場合は、むしろ活動家としての色が強いので加えてみた。

4位 アーティスト/TT 千葉高教組市川支部「ひょうたん島研究会」 元歌/ブルー・シャトウ

森友疑惑に かこまれて 静かに眠れない アベシンゾウ騒ぎが終わるのを 待っている暗くて 淋しい アベ シンゾウ

きっとあなたは 真っ赤なウソを ウソをつくのがくるしくて
涙をそっと 流す でしょう

官邸を警護に守られても 静かに眠れない アベシンゾウ ブルブルブル震えてる アベ

(寸評)替え歌業界では、常連TTさんの作品が再びランクイン。上手い作品ではない。おそらく原曲の出だし「森と~」だけでひらめいたのだろう。しかし創作意欲と『ブルー・シャトウ』を選曲した点に注目。同曲は、政治替え歌の世界で、推奨できない「ヨナ抜き音階」をベースにしている。では、全く不向きかといえば意外とそうでもない。かつてブルー・シャトウは、子供たちの間で言葉遊びとして流行った。歌詞の森と(トンカツ)、泉に(ニンニク)といった具合で、語尾に食べ物の名前をつけて歌うというもの。類例では、小柳ルミ子の『瀬戸の花嫁』を「瀬戸ワンタン 日暮れ天丼」がある。こういった特性上、普通に替え歌にするよりも、この言葉遊びを用いるという方法もあったかもしれない。おそらく活動のコア層50代、60代にとっては、ノスタルジックに包まれ、受け入れやすいかも。

ポイント解説/カタカナ表記はもうサムい

なぜ左翼は、ヒロシマ・ナガサキ、ヒバクシャ、フクシマ、オキナワとカタカナにしたがるのか? こういう疑問を抱いた人は、少なからずいるかもしれない。つまりこれは、カタカナ表記によって「現象」になるためだ。例えば広島・長崎をカタカナにした場合、「原爆投下された惨禍のヒロシマ・ナガサキ」を表現できる。またカタカナ表記によって「思潮的」に見せる効果がもたらされるのだ。ただこのやり方もすでに前近代的な気がしてならない。

3位 アーティスト/不明 元歌/値上げ

メルトダウンは考えぬ
しばらくメルトダウンは考えぬ
とうぶんメルトダウンはあり得ない
極力メルトダウンとは言いたくない
今のところメルトダウンは確認できない
すぐにメルトダウンは認めない

(寸評)福島原発事故当時に作られた替え歌で元歌は、高田渡の『値上げ』。新しい替え歌ではないが、上手く仕上がっているので選曲した。というのも高田渡の曲なら誰が作ってもそれなりに体裁が整うから。高田の楽曲自体、体制批判、社会風刺をコミカルに歌ったもので、替え歌に転用しやすいのだ。つまり歌詞を年代ごとの政治課題に置き換えればいいだけ。安保闘争世代ならば同氏の代表作『自衛隊に入ろう』(*原曲は、ピート・シーガー『アンドーラ』)が最も印象深いだろう。当時、「機動隊に入ろう」と替え歌を歌った活動家も多かったのではないか。また高田作品は、軽快な欧米の民謡がベースになっており、「政治替え歌」という陰湿さを軽減させる。前稿では、懐メロや60、70年フォークソングを控えるようアドバイスしたが、高田作品は別格。むしろ活動家業界で、高田渡を知らないならば「ド素人」と言う他ない。

2位 アーティスト/山城博治 元歌/美しき5月のパリ

沖縄の未来は 沖縄が開く 戦さ世を拒み 平和に生きるため 今こそ立ち上がろう
今こそ奮い立とう 辺野古の海を 守り抜くために圧政迫るが 立ち止まりはしない

今こそ立ち上がろう 今こそ奮い立とう 高江の森を 守り抜くために
力を合わせて スクラム固めよう今こそ立ち上がろう 今こそ奮い立とう

島々の暮らしを 守り抜くために 思いを巡らせてスクラム固めよう
今こそ立ち上がろう 今こそ奮い立とう 輝く明日は 今こそが拓く
閉ざされた歴史を 解き放つために

今こそ立ち上がろう 今こそ奮い立とう 歌え自由の歌を 届け空の彼方へ
この青空の下に 人は生きて行く今こそ立ち上がろう 今こそ奮い立とう

(寸評)ベスト10の中で最も著名なアーティスト、沖縄基地闘争の重鎮、山城博治氏の作詞。現在、山城氏は、各地の集会で引っ張りだこだが、この曲を披露したのかは把握できなかった。さて元曲の『美しき5月のパリ』は、学園紛争のマドンナ的存在でもあった加藤登紀子が歌ったもの。そういう点でも政治替え歌との親和性は強い。なお政治替え歌の大半は、実際に歌うというよりは、活動家同士の「回覧」に留まっている。ところが山城氏本人が高らかに歌う姿も動画サイトに残っているので聴いてみてほしい。技術面を見ると、どうせなら「スクラム」という言葉を「連帯」とか「団結」にしてほしかった。より政治闘争の気風が表現できただろう。

1位 アーティスト/山口あずさ 元歌/君が代

めぇだぁまぁはあ とびでぇ ちぎれぇ
ひふははがれ やけのとなぁりてぇ
こけのぉむぅすぅまぁあでぇ

(寸評)異能の替え歌アーティスト、市民グループ「私が東京を変える」代表・山口あずさ氏の代表作『君が代~原爆投下バージョン』。原発に反対する立場として、原子力の悲惨さを伝えるのが狙いだそうだが、不快感この上なし。日教組や全教の教員がこれを生徒に歌わせた場合、『産経新聞』の一面を飾るレベル。あるいは万一、政治家、特に保守系の議員が歌った場合、マスコミ、市民団体などから壮絶な吊し上げが起きるだろう。しかし山口氏の支持層から評価する声もあった。これは「同族には甘い」という市民団体特有の暗黙のルールが発動したからだろう。思うに替え歌は、必ず”笑い”の要素があるべきだ。この曲の発表当時、山口氏は”炎上状態”に陥ったが、その後も創作活動を続けており、その鋼鉄のメンタルに敬意を表し、堂々の1位に選んだ。

解説 なぜ政治替え歌は痛いのか? 活動家必見、作詞鉄則3心得で夢の東京新聞へ!

「もし帰宅にして父親、母親が政治替え歌を作っていたら」。こうイメージしてほしい。運動家の家庭ならばいざ知らず、ごく一般的な家庭ならば、一抹の不安を覚えるに違いない。ではなぜ政治替え歌は”ヘン”に見えるのだろう。左翼、市民団体らが基調とする「平和」「人権」「反戦」といった概念は、それ自体は美しく、反論しにくい性質を持つ。が、それだけに独善に陥りがちで、社会通念、一般感覚との齟齬や距離が生じる。そしてこの距離感がより珍作を生み出してしまうわけだ。

では、逆にヒットする政治替え歌の法則はあるのだろうか? 残念ながらこればかりは法則化、定石化できる性質のものではない。ただ「禁じ手」あるいは「心得」というならばある程度、予見可能だ。以下3つにまとめてみた。

①その替え歌、社会に出たら怪文書

とある報道を考えるといった趣旨の左派のシンポジウムで、「どの新聞が優れているか」という討議があった。その中で『東京新聞』を挙げる声が大勢を占めた。このこと自体は、予想できたのだが、問題は、その主要な理由が「投書を採用してくれる」ということであった。報道内容ではなく「投書を採用」という点にいささか拍子抜けしたものだ。しかしこのことは「市民団体」のなんたるやを表している。つまり自己PR、目立ちたいという意思が強すぎる活動家たちが少なくない。もしや「替え歌がSNSでブームになり東京新聞が特報面で取り上げてくれる」などと大望を抱いてはいけない。あくまで替え歌は、内輪のコーヒーブレイク程度に考えた方がいい。

②その罵倒、いつかは自分に跳ね返る

身体的特徴、病歴などセンシティブ情報、犯罪被害者揶揄は控えるべし。このところ評論家、学者、ジャーナリストの類でも、批判・反論が「罵倒」「罵詈雑言」にとどまっているケースが散見される。もはや報道、論評ではなく「罵倒芸」といったものだ。しかしこうした行為は「ブーメラン」(過去の主張が自身に跳ね返る)になりがちだ。また罵倒や中傷は、仲間内からも批判を受ける可能性がある。やはり名作は、主義主張の立場を超えてウケるもの。万人受けするためにも”笑って許される”内容を工夫するべき。

③その怒り、周囲はむしろ引いている

替え歌で扱う政治課題はワンイッシュー、ワンフレーズが基本。 高田渡作品は秀逸であると前に紹介した。同氏の作品は、軽快の上、扱う内容がワンテーマで分かりやすい。学園紛争時分、学生たちの間で流行歌となったのも、このような理由だろう。青筋を立ていきり立ち、あらゆる政治課題を盛り込むのは、ご法度。一点突破でいいのだ。替え歌で政治を茶化す場合、アーティスト側は、あくまで遊び心でなければならない。ムキになればなるほど、痛さが増幅することに要注意だ。

以上に留意すればそれなりの作品が仕上がるものと確信している。そして言おう。

東京新聞特報面の夢を諦めるな!!

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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【夏の特集】活動家たちの痛い替え歌ベスト10(後編)」への3件のフィードバック

  1. これを評価してほしい

    元歌 狙い撃ち 山本リンダ

    嘘だ嘘だ嘘嘘だ
    安倍のゆうこと全部嘘
    嘘だ嘘だ嘘嘘だ
    この世は奴らのものじゃない
    見ててごらん 安倍たちは
    今にやらかす戦争を
    腐りかけたあの頭
    そうなる値打ちは全くない
    モリカケとかで晋三めがけ
    逃さないパッと狙い撃ち
    神がくれたこのチャンス
    無駄にしては罪になる
    世界一の悪人を
    この手で葬り去ってやる

    嘘だ嘘だ嘘嘘だ
    安倍のゆうこと全部嘘
    嘘だ嘘だ嘘嘘だ
    この世は奴らのものじゃない
    憲法9条守るため
    いくさをするのはダメじゃない
    それで日本が滅びても
    お安いものだとおもうでしょ
    モリカケとかで晋三めがけ
    逃さないパッと狙い撃ち
    アジア中の平和主義者
    どれもこれも連帯し
    飾り立てた私達に
    かしづく安倍たち見てみたい

    返信
    1. 三品純 投稿作成者

      面白い作品をご紹介くださりありがとうございます。

      これはイントロの「ウララ」と「嘘だ」の語感だけで思いついた印象です。
      ご承知の通り本曲は野球の応援歌でも使用されポピュラーでかつ
      テンポも良くさらに世代ギャップはそれほどないと思われます。
      だから替え歌の選曲としては
      悪くないと思います。
      しかし他作品と比較してもより感情が入りすぎなのが残念です。

      >アジア中の平和主義者 どれもこれも連帯し
      自分の政治志向をごり押しした結果、とても難解な歌詞になっています。

      一人で作って悦に入っているならいいのですが、不特定多数の人にも
      謳わせたいならもう少し言葉を選んだ方がいいと感じました。

      返信