夏の特集 活動家たちの痛い替え歌ベスト10(前編)

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By 三品純

「市民団体」のメンバーや活動家は、なぜ平日昼間からビラをまき、議員会館前に常駐し、裁判の傍聴や集会に参加できるのか? 左派特有の現象である。この疑問については「労組の専従職員だから」「退職者で年金暮らしだから」「定職がない主婦だから」ということである程度、説明可能だ。しかしこうした活動では、20~40代の一般人と思しき男性の姿も見受けられる。したがって上記の理由だけでは説明がつかない。全く不思議な現象なのだ。そんな彼らの日常活動は、多岐に及ぶが、時として政治パフォーマンスを披露することもある。その一つが真夏も吹き飛ぶサムい「替え歌」なのだ。

ここで言う「替え歌」とは政治風刺、政治批判が意図されたものだ。ポピュラー音楽、童謡などを用い制作される。もちろん歌に込められた思いは真剣だろうが、いい大人が替え歌を作る姿は滑稽であるのもまた真理である。だから替え歌は、等しい価値観や政治主張を共有し合える者同士で成立するもので、政治意思の確認ツールという性質も帯びる。だが左右・保守リベラルの安住地をひとたび出れば替え歌は失笑の種にすぎない。そんな報われぬ替え歌にスポットライトを! 市民団体ウオッチ歴20年の著者が独断で選んだベスト10を紹介していこう。

10位 アーティスト/不明 元歌/『メリーさんの羊』

メアさんの執事 アメリカの執事 どこにも口を出す 偉いんだ
ルースさんは大使 もっと偉い大使 フテンマがやばい パニクった
ルースさん頼んだ メアさん辞めて メアさんしばし 雲隠れ
ほとぼり冷めて メアさん反撃だ メアさん全然 懲りないよ

(寸評)発表時期自体は、古いが米・国務省東アジア・太平洋局日本部元部長のケビン・メア氏を皮肉ったもの。沖縄タイムスでこのような歌が流行っていると紹介された。字余りで歌いにくく、到底流行っているとは思えない。今回紹介する中では最も完成度が低いと思われる。かつて『朝日新聞』のコラムで「アベる」(2007年、安倍首相*第一次が体調不良で辞任したことにちなむ)という造語が流行っていると報じた現象に酷似している。

 

9位 アーティスト/不明 元歌/関白宣言

お前を降伏させる前に 言っておきたいことがある かなり厳しい要求もするが 俺の
話を聞いておけ

これより先に抵抗してはいけない これより後に再軍備してはいけない 武装解除しろ
領土を放棄しろ 奴隷化なんかしたりしないから

(寸評)活動家たちのメーリングリスト「CML」で在日朝鮮人の人権の問題に取り組む東京造形大学・前田朗教授が紹介したもの。ポツダム宣言の受諾がコンセプトのようだ。ちなみにこの替え歌が紹介された後のレスが「つまらん替え歌はともかく」とあっさり流されていた。まっとうな反応だ。元ネタはさだまさしの『関白宣言』だが、内容が男尊女卑的として女性団体などからは目の敵にされている。だから左派層としては『関白宣言』を用いたこと自体が失敗と思える。オススメしないがフォークソングなど懐メロを採用する場合の注意点は、どんな層にも受け入れやすい曲であること。『竹田の子守唄』『イムジン河』などは必ず避けるべし。余談だが、この替え歌には市民団体特有の現象が存在する。それは敗戦、原爆など本来、日本全体の悲劇の事象や事件をネタ扱いすること。どこか他人事なのだ。それも「地球市民」がゆえだろう。

 

8位 アーティスト/不明 元歌/『どんぐりころころ』

モリトモ8オクカケモット ワタシノゼイキン ヌスムノカ キョウボウザイデ コク
ミンダマラセテ アベハキョーボー ドロボーダ

モリソバ カケソバ ヒミツアジ トモダケオイシイアベノソバ ギーワクカイメイ
コレカラダ アベアキエ ハギウダ ショーニンカンモンダ

モリソバカケソバアイウエオ アベシンゾ イランコトスナ ウソツクナ エコヒイキ
ヤーメロ オゴルナヨ リーンジコッカイショーシューダ

(寸評)感情を入れすぎ! しかも政治現象を盛り込みすぎて歌詞全体のバランスを欠いた。なぜモリソバ・カケソバ押しをするのか当初分からなかったが、森友学園と加計学園の「もりとかけ」ということだった。モリソバ・カケソバという風刺が浸透していないため、仲間内でも分かりにくいかも。それにカタカナ表記だと病理的なので避けた方が良いだろう。何より読みにくい。アイウエオも中谷元前防相の発言に便乗したものと見られるが、そこは反体制の矜持というもので、他のアイデアが欲しかった。ちなみに『水戸黄門』のOPの節で『どんぐりころころ』を歌うと完璧に合致する。どんぐりころころ自体、アレンジしやすいので、歌詞次第では完成度を高められたかもしれない。

 

7位 アーティスト/TT 千葉高教組市川支部「ひょうたん島研究会」元歌/『ちいさい秋
みつけた』

 

籠池さんが 籠池さんが 籠池さんが 喋った
怪しいアッキー 怪しいアッキー 怪しいアッキー 100万円
妻かくしアベさん 喚問拒否し
意気地(いくじ)無し与党は 追随ばかり
呼んでる野党と 民の声
怪しいアッキー 怪しいアッキー 怪しいアッキー 喚問を

(寸評)これも森友学園問題を風刺している。元歌の「秋」、安倍昭恵=アッキーと、この節ありきで全体を構成したとみえる。後述するが、基本的に童謡は物悲しさが倍増することを認識すべし。それに森友学園、安倍夫妻を童謡で風刺するならば、皮肉の意味も込め、より復古調の曲を採用すべきだろう。選曲ミスだ。ところで保守派の場合、菅直人元首相を『夕日』(ギンギンギラギラで始まる童謡)の替え歌で「イライラカンカン日本が沈む」と歌っていた。議員会館周辺で耳にした人もいるだろう。だがこれも同様に痛々しかったのは、言うまでもない。替え歌は、政治スタンスを変えれば失笑の種とは、すなわちこういうことである。

 

6位 アーティスト/反戦タイガース尼崎支部 元歌/六甲おろし

安倍おろしに さっそうと 国会囲むデモ隊の シュプレヒコール高らかに
無敵のわれらぞ 反戦タイガース
オー、オー・オー・オー 反戦タイガース! フレー、フレ・フレ・フレー!

原発おろしに さっそうと 関電囲むデモ隊の シュプレヒコール高らかに
輝くわれらぞ 反戦タイガース

(寸評)ベスト10の中で最も完成度が高いと思ったのがこれ。不覚にも口ずさんでしまった。六甲おろしと安倍おろしがかかっているのと「反戦タイガース」の語呂も良かった。やはり応援歌を使うとノリもテンポもよくなるようだ。また『六甲おろし』が持つ「陽」が替え歌という「陰」を中和させて効果的。関西地方の人ならばそれなりに受け入れやすいだろう。ただ1番が安倍おろしと人物できて、2番が原発というのがどうも。例えば「松井(府知事)おろしにさっそうと府庁囲むデモ隊」だと人→人、中央政府→地方の流れでよりスムーズのような気もした。

総評 童謡と60、70年代フォークは避けるべし。主流はラップ、ヒップホップ?

さて政治替え歌の世界では比較的、童謡が使われることが多い。しかし繰り返すが童謡・唱歌の類は控えた方がいいだろう。なぜなら童謡・唱歌など伝統曲の場合「ヨナ抜き音階」で作曲されるため、原曲自体、哀愁を帯びる。繰り返すが政治替え歌という行為は、「哀愁」そのものということを忘れてはならない。それでももし「童謡」という場合は、風刺する対象人物と歌詞を極力、類似させるべきだ。例えば「山口さんちのツトム君」から「山口さんちのノリユキ君」でも良かったのではないか? ところがもしこの歌詞で作成した場合、今度は「被害者女性の精神的苦痛」と言い出し”ひと悶着”というストーリーを夢想する。これもまた市民団体の性というやつだ。

また70年代フォークの場合、ある意味”活動らしさ”とか”熱かったあの時代感”が醸し出される。ところが若者層には頭に「?」がついてしまう。これもなるべく控えた方が無難かもしれない。運動に気持ちが高ぶり青春回帰という心情は理解できるが、新宿か大塚あたりの歌声喫茶で我慢してもらいたい。

一方、最近、集会やデモのパフォーマンスでは、ラップやヒップホップが多用されている。例えば「●●(批判対象)は 今すぐ 辞任しろ」とリズムに乗せやすく、意外と高齢者もノリやすい。これはおそらく「生麦生米生卵」などの早口言葉遊びで慣れているからだろう。ただ歌い手があまりに自己陶酔に満ちていて、運動というよりもカラオケ大会に堕していることも見逃せない。以上、6位から10位まで。

次回、ベスト1~5位は大物アーティスト(その筋では)も登場。

三品純 について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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