【大阪18区】自民、次期衆院選に “元紅白歌手”尾形大作氏 擁立は 中国対策!

カテゴリー: 中国, 地方, 政治 | タグ: , | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

1987年、『無錫旅情』で紅白歌合戦に出場した演歌歌手・尾形大作氏の名が久しぶりにメディアを賑わせた。松川るい参院議員のエッフェル騒動の最中、8月2日、自民党は尾形氏を次期衆院選の大阪18区支部長に選出。これに対して「なぜ」という声が多くを占めたが、関係者の間では「中国対策」と囁かれている。

松川騒動の 最中で 発表された 尾形氏選出

自民党・福岡県県議の激励に訪れた尾形氏。レーサー姿だ。

「尾形大作」。この名前を久しぶりに聞いた人は多かっただろう。もちろん著者自身も、だ。

18区支部長就任が発表された際、「歌の仕事で政治のことはほんんど分かりませんが、支えて頂いた全国のファンの皆さま、大阪府民の皆さまの気持ちを胸に抱いて、命がけで、命を皆さま方にお預けしたいと思います」と挨拶した。

タレント候補にありがちな「これから勉強します」というものだ。メディアの反応をみよう。

「無錫旅情」の一発屋歌手・尾形大作が自民党「大阪選挙区」候補者になって「政治のことはわかりません」フザけた挨拶(8月5日、アサ芸プラス)

“芸能界から消えた歌手”尾形大作の評判…懲りない自民党 次期衆院選でまたタレント候補擁立(8月8日、日刊ゲンダイ)

案の定、散々な言われ方だが、しかし「政治のことは分からない」という発言については少し留意してほしい。後述に続く。

さて演歌歌手、ムード歌謡分野では昨年4月の参院選で日本維新の会から比例区で出馬した中条きよし氏がいる。歌手のキャリアでは中条氏の方が格上だ。一般的に両氏とも政治活動のイメージはなかったはず。「歌手」の中には平和活動、反戦歌などのメッセージソングで政治性を帯びることもあるが、中条氏、尾形氏はそうした作品はない。

特に尾形氏については『無錫旅情』で“一発屋 ”と揶揄する声もある。確かに紅白以来、歌手活動で大きな動きは聞かない。郷里の福岡県に戻った後はローカルタレントの傍ら、競技バイクのモトクロスレーサーとして活動。

尾形氏には失礼だが、タレント議員として客寄せパンダになるほどの知名度、ネーミングバリューがあるとは思えない。

衆院選、統一地方選で維新に敗れたことを受けて、大阪刷新本部を設置し大阪府連の再建を進めている。その矢先、選んだ候補が尾形氏という結果に幻滅した支持者も少なくないだろう。勢いに乗る維新に対して本格的な政策論争ができる人材を求めていたかもしれない。

なぜ尾形氏なのか。水面下では中国との交流要員ではないかとの話が専らだ。

日中友好議連の 訪中に 同行した 尾形氏

尾形氏の地元、福岡県政界関係者の話。

「尾形さんに政治のイメージはない? そんなことはありませんよ。『無錫旅情』のヒットで中国ではちょっとした名士。中国江蘇省無錫市名誉市民や江蘇省の経済関係の顧問、福岡県日中友好議員連盟文化観光大使などを務めていました。その関係で中国とのパイプ役なんですよ」

福岡県は江蘇省と友好提携を締結している。無錫市は江蘇州の都市。『無錫旅情』というヒット曲を持つ尾形氏は交流の顔として適任だ。

2019年12月20日から4日間、福岡県日中友好議員連盟役員らが江蘇省人民代表大会などを訪問。当時の訪問団に尾形氏も同行した。

左から7番目に尾形氏。

政治活動のイメージがなかった尾形氏だが、実は日中外交に一役買っていたのだ。

さらに中国対策要員としての尾形氏の存在は大きいと在阪華僑は話す。

「こと中国外交という点では一介の議員よりも有力かもしれませんね。在大阪中華人民共和国総領事館の薛剣せつけん総領事は江蘇省出身、それに習近平国家主席にとっても上海、蘇州は習近平が縁の深い地域ですよ。『無錫旅情』の歌手といえば彼らも喜ぶでしょうね」

大阪府も江蘇州の関係は深い。同府のサイトには「江蘇省(中国)との交流」として

江蘇省とは友好府省提携は結んでいないものの、実質的な友好交流を行うことについて1980年8月に合意がなされ、以後、江蘇省とは、友好代表団を交互に派遣し、毎年「友好交流促進協議会議」を開催し、翌年度の交流事業について協議・調印を行っている。

と説明している。また府内の自治体も江蘇州と結びつきが強く池田市‐蘇州市、堺市‐連雲港市、高槻市‐常州市、和泉市‐南通市が友好都市を締結している。大阪自体が『無錫旅情』の尾形氏向きの土地柄かもしれない。

もし尾形氏が当選して訪中団に加わり、中国要人の前で「♫君の知らない異国の街で~」と持ち歌を披露したら大喝采だろう。降ってわいたような尾形氏の支部長就任だが「中国対策」という役割で見た場合、実は単なる“ タレント候補”でもなさそうだ。

他方、18区から選出されているのは遠藤敬衆院議員。保守色が強い日華議員懇談会のメンバーだ。思わぬところで台湾ー中国の代理戦争の様相だ。昨年、維新候補として当選した永野耕平市長とも交流を深める在大阪中華人民共和国総領事館、そして地元の岸和田市日中友好協会。過去記事でも維新と中国の関係強化を指摘した。

中国との交流でも存在感を高める維新。対する自民。永田町界隈では国交省の建設・社会インフラ整備分野を公明党に渡して、観光分野を自民がとったと囁かれる。これも中国のインバウンド需要を考慮してのこと。特に政界きっての親中派、二階俊博元幹事長の支援者は観光業界が多数だ。自民党がインバウンド政策を強化してきたのも以上のような背景があるが、関西圏に限って言えば維新にお株を奪われつつある。

そこで自民の対抗策が尾形氏であるとすれば「安直」の二文字がよぎるが…。

ただあえてフォローするとすれば党内の今井絵理子(元SPEED)、生稲晃子(元おニャン子クラブ)各氏よりは政治に接点があったのはお分かり頂けただろう。だからといって当選の可能性は「疑問符」をつけざるをえない。

おそらく次期総選挙でも維新の勢いが続くのは明白だ。しかも大阪18区は維新の現職がおり、中心の岸和田市も維新系市長。中国とのパイプ役という独自の存在感を持つ尾形氏だが、それでも維新の壁は厚いだろう。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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