【愛知維新の会④】「出世するしかない」昨年末 オンライン 会議動画で 見えた 地方議員の絶望

カテゴリー: 地方, 政治 | タグ: | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

「パワハラ処分を求めたら除名された」「突如、衆院支部長を解任された」などの愛知維新の会をめぐる騒動。昨年12月9日、内部の問題を話し合うため副代表の守島正衆院議員と一部所属議員らのオンライン会議を開催した。その動画を入手し視聴したがなぜ今、維新から地方議員が離れるのかが理解できる内容だ。

まともな人ほど 報われない党?

まずは自民党内で共有される衆院選までのスケジュールを紹介しよう。

党内部資料より作成。

8月24日の読売新聞によれば衆院選日程について

政府・与党内で「10月15日公示―27日投開票」「10月22日公示―11月3日投開票」「10月29日公示―11月10日投開票」の3日程

としている。筆者が入手した情報と若干、異なるがいずれにしても11月に衆院選というのが専らの見方だ。

各党が準備に入る中で注目したいのは日本の維新の会。同党をめぐっては各地で除名処分、離党者が相次ぎ衆院選にどう影響するのか注目だ。現在、愛知維新の会の内紛を中心にレポートしているがその矢先、仙台市議会の会派「仙台維新」代表の関戸努市議、幹事長の福田陽輔市議が今月31日付で会派を離脱することが発表された。

これで同会派は代表質問ができる「交渉権」を失う。昨年の統一地方選によって東北地方の中心、仙台市で議席を伸ばした。東北でも維新の党勢が拡大すると期待されたが減退はやむを得ない。

関戸市議によれば「パワハラといった問題ではなくあくまで方針の違いによる会派離脱です」と話す。

どうあれ日本維新の会にとってマイナス要素には違いない。

一方、アンチ維新のみならず内部からも疑問視されるのが日本維新の会奈良県総支部幹事長の原山大亮県議が次期衆院選奈良3区に擁立されたこと。原山県議をめぐって筆者は橿原市議時代の暴言を報じた。

【緊急告発】「お前、コラァ!」橿原市 維新議員が市長に 放った“ドン引き ”恫喝音声

暴言は音声付きで大きく報道され維新にとってもイメージダウンしたのはいうまでもない。しかし現在、除名・離党処分を受けた地方議員らは「身を切る改革」(寄付)の不履行を口実にした“排除”の疑いが濃厚だ。

にも関わらず不祥事を起こした原山県議は衆院選候補と重用されてしまう。

だが現地自民党関係者ですら「(原山氏は)比例で復活当選はありえます。というよりもそもそも比例狙い。問題が多いとはいえまだ奈良県内では維新の勢いが強いですね」と分析する。

各地の地方組織が崩壊寸前の維新だが、それでも次期衆院選の関西圏では相応の議席を保てるだろう。だがその裏では多くの地方議員の不満と犠牲が山積しているのだ。

今回、愛知維新の会を取材する中で「日本維新の会」という政党の本質を物語る動画を入手した。

被害を訴えた側が 排除という不思議な 組織

昨年の統一地方選、ご承知の通り全国で維新の議席が伸び躍進と伝えられたが、愛知県内では2名の候補者が公職選挙法違反などで逮捕された。

本来はけん引役となるべく地元国会議員は杉本和巳衆院議員は妻と参加する宗教団体「オーム・チャンティング」の会合を議員会館で開催していたこと、また岬麻紀衆院議員はパワハラとスキャンダルを抱えている。

内部には改善を促す議員、党員もいたが除名処分、支部長解任などの不可解対応で終わった。その最後の抵抗といえるのが昨年12月9日、副代表の守島正衆院議員を迎えたオンライン会議である。会議は愛知県東郷町の高橋道則町議の司会で進められた。驚いたのは守島副代表自身も同会の問題を認めたことだ。

「愛知維新の会が民主的に機能してこなかったことをもって僕たち大阪の人間が代表、副代表ということで今回、実務はできないが入った」

そして複数の地元議員らが守島副代表に山下幹雄幹事長らのパワハラなどについて問題提起した。これに対して「今、聞いている限りではハラスメントに当たるかは判断できません。ハラスメントをしているという認識であれば組織として窓口があるのでそこでしっかりやってもらえばいいと思います」と述べるに留まった。

確かに一部の議員の意見だけでパワハラ認定をすることは難しい。しかし岬麻紀衆院議員のパワハラ問題では党本部で委員会が開催されたのかも不透明だ。

片方に肩入れをするつもりではない。しかし現状、被害を訴えた側が負けという現象が続く。通常、マスコミ報道は「被害を訴えた側有利」という現象があるが愛知維新の会内では事情が異なる。党内でパワハラに悩んだある市議の場合、自ら離党を選んだ。しかし離党後にも関わらずこのようにわざわざ報道向けに告知する。

すでに「離党届受理」をした元党員にも関わらずまるで追い打ちをかけるようだ。かといって国会議員はまるで不可侵の存在である。

「離党届受理」と併記する意味は?

オンライン会議の参加者からは「定例会議」「コミュニケーション不足の解消」「脆弱な連絡網の改善」などを守島氏にも提案された。

維新の場合、党のキャッチコピーに「決断力」「実行力」といったフレーズが並ぶ。確かに革新政党にありがちな「会議のための会議」よりも論より行動という点は一面理解できる。しかし維新の場合、トップダウン的で大阪にならえの風潮が強い。

かといって党本部-地方組織の指示系統が確立されたかといえばそうでもない。「企業でいえば維新は“フランチャイズ方式 ”。それぞれの地方組織の有力者がオーナーのよう」(党員)という証言は説得力に満ちている。

他党のような党本部-地方組織というよりも「維新」という商標を提供するフランチャイズチェーンといった形態なのだ。

それに加えて過去記事でも指摘した対話、コミュニケーション、情報共有不足である。

実はこの点も守島副代表が認めたのが印象的だ。

「大阪ではLINEグループもゼロ。メールで一方的な告知をするのでコミュニケーションツールがあるのかというとありません。コミュニケーションをレベルをどういう風にするのかを含めて決めていかないといけないと思っているし、意思決定において全てがみなさんに共有されているかという運営にはなっていません」

全ての政党が全党員の意見、主張を受け入れ共有しているわけでもないだろう。しかし維新は「改革政党」を自負する。党員、支持者もこれまでの政党にはない運営を期待したはずだ。

ところが続けて守島副代表が語る維新のあり様はおそらく真面目な地方議員ほど落胆するに違いない。

「コミュニケーションツールは皆無といっていいほどなくて出世して役員になっていかないと全体会議、それこそ大阪では何百人の議員がいる中で“ 最後何かある?”というしか言う場がないのが現状です」

いずれの政党も所属議員、党員には厳然としたヒエラルキーがある。しかしこれまで取材してきた維新の実情は大阪至上主義。つまり自己実現のためには「大阪で出世」しかないのか。政策や政治主張ならば党内の力関係で決まるのも仕方がないだろう。しかしパワハラ等の被害の対応は党内の序列と無関係で行われるべきだが、国会議員については「不問」が実情である。

結党以来、改革や先進性を掲げた支持を集めてきた。「維新」というフレーズに鼓舞された有権者も多かったことだろう。だが現状は大阪内部、または東京都で発言権を高める以外、希望がないようだ。しかも場合によっては「ハラスメント」という問題ですらかき消されてしまう。要は「嫌なら辞めろ」である。

本来はこうした意見を代表の浦野靖人衆院議員が受け止めるべきだが、当選回数1回の守島氏が窓口というのは相当、無理がある。守島氏もある意味では厳しい立場だろう。

筆者はこんな感想を持ったが、ある関係者はこう苦笑する。

「オンライン会議には愛知3区の支部長を務める皆川まさかず氏も参加していますよね。彼は守島氏の幼馴染で大阪から連れて来られたのです(笑)。これは維新の特徴ですが、何の実績や素養のない人がいきなり国政や政令指定都市の議員になりたがります。公認を受けるのが不思議でなりません」

いわば“ ワンチャン候補”というものだ。無論、意欲的で能力が高い議員、候補者が存在するのも認めるが主義主張、政治理念とは無縁のワンチャン派がいることも事実。またそれを支えているのが本丸の大阪というわけだ。これまでは大阪の維新人気の余波が全国にも波及して維新勢力が伸長した。だがそんな大阪ナンバーワンが増長を生み今の地方組織崩壊につながってはいないか。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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