「野党共闘」は共産党の疫病神

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By 三品純

「野党共闘」で挑んだ先月21日の衆院大阪12区補選。共産党前衆議院議員の宮本岳史氏(以下敬称略)は野党共闘の候補として無所属 (共産、自由推薦)で立候補したが落選。「安倍政治さよならののろしをあげる、野党共闘の命運がかかった選挙」と宮本は意気込んだものの、哀れ供託金没収という惨敗だった。今後も共産党は他党に協力をを呼びかける方針だが、力強い言葉とは裏腹に野党共闘は疫病神に見えてならない。

失職した宮本前衆議院議員。

大阪補選後の4月24日、共産党・小池晃参議院議員(書記局長)は立憲民主党、国民民主党との討論会で「連合政権に前向きな合意をしたい」と述べた。細川連立政権、民主党政権でも“ 名誉ある孤立”とばかりに野党に留まったが、ついに連合政権に参画しようというわけだ。現状の野党にその力があるとは思えないが、過去の経緯を考えれば大胆な方針転換である。だから大阪補選はその前哨戦、鏑矢というわけだった。SNS上でも非共産党員と思しき有権者からも宮本を推す声が多々あり、応援が呼びかけられた。また宮本の言動も明らかに非共産党の左派・リベラル支持層を意識したもの。しかし彼の一連の動向を見ると共産党が抱える難題も透けて見える。

政治集会、シンポジウムはひと際目立つ宮本。なにしろ190cm近い身長だから妙な存在感がある。高校時代、共産党に入党し和歌山大学に進学。民青(民主青年同盟)から日本共産党中央委員会付属社会科学研究所非常勤研究員という筋金入りの党員だ。宮本氏の議員活動が評価されたのは2003年参議院議員時代、武富士と警察の癒着を追及したことだ。最近では森友学園問題の急先鋒という印象が強い。政治活動は長く、実績もあるが「党内では中央委員でも地位は低い」(党員)という見方がある。

一方で「SNS上で非共産党員の支持者から人気が高く本人も“ その気”になってしまった」(同)というのだ。

「補選の街宣でもしきりに“ バッジを外した(無所属ということ)”と強調していた。つまり共産党員ではなく無所属の野党共闘の候補者ということを伝えたかったのだろう」(在阪記者)

結局、共闘といっても野党第一党の立憲民主党は枝野代表が激励に訪れる程度。また応援に駆けつけた議員も人が呼べるのは山本太郎参議院議員ぐらい。文化人の呼びかけといってもお馴染みの名前ばかりで新鮮味がない。志位委員長をはじめ共産党議員らが補選の意義を訴えた。

しかし24日の討論会では連合政権については「政権を一緒にできるかは難しい」(立民・福山幹事長)など素っ気ないもの。共産党側が秋波を送るも、その他野党が拒絶する格好だ。友好ムードを醸し出してもやはり「連帯」は並大抵ではない。

このメンバーを見て有権者がなびくとは思えない。

赤旗減、党員減、厳しい現状

森友学園、加計学園、IR、こうした諸問題の追及でもっとも存在感を放ったのは共産党だった。調査能力、情報収集力、間違いなく他党よりも優れているのに票と党員拡大、赤旗部数増にはつながっていない。地方議員たちは赤旗の購読という厳しいノルマがある。

以前、ある部落解放同盟の不祥事を取材するため共産党議員に話を聞いたことがあった。お礼にと弊社の刊行物を献本したところ代金を支払うという。

「あまり儲かっているような出版社ではないし、私も赤旗を売るので苦労しているから」

議員氏はこう苦笑した。しかし献本だからとお断りしたが、ご本人は冗談交じりだが苦労しているというのは本音に違いない。なにしろ昨年6月の「第4回中央委員会総会」の決議からも厳しい党運営がうかがえる。

「党勢拡大は、全国の党組織・党員の奮闘にもかかわらず、党員では10カ月連続で後退し、「しんぶん赤旗」日刊紙では5カ月連続で、日曜版でも8カ月連続で後退が続いている」

さらに後継者問題も見逃せない。志位委員長も来年には20年目を迎える。一つの政党のトップの在職期間としては驚くほど長い。委員長職は「東大卒・衆議院議員」というのが暗黙のルールとしてある。また「副委員長は原則的に“あがりポスト ”。例外的に不破(哲三)さんが病気のため急遽、村上弘副委員長が代行の後に委員長(3代目)になった」(元共産党議員)という内情もある。

ポスト志位となると人選に難儀するのは目に見えている。現状、次期委員長候補と見られているのは「順当にいけば宮本徹衆議院議員」(前出党員)のようだ。現在47歳で東大卒、大学自治会、中央委員と一応、党内ではエリート畑を歩む。ただ委員長職となれば論文数、政策論、あるいは『資本論』を論じ独自理論が必要になるが宮本にそれだけの素養とイデオロギーがあるのかどうか。

「確かにネット上を見ると宮本岳史、吉良よし子といった議員は党外の人からも人気がある。しかし彼らに科学的社会主義や唯物史観を感じるか? 国会の質問や若さでカンフル剤的な人気を得るがそれが党員獲得、赤旗部数増にもつながっていない」(前同)。

このところ党は「開かれたイメージ」「若さ」「ネット対応」などを意識している。最近では動画投稿アプリ「TikTok」に「生放送!とことん共産党」のレポーター・朝岡晶子氏によるダンスが話題になった。もちろんイメージ刷新、親しみやすさのPRならばある程度、効果があったかもしれない。しかしこれも騒動や話題好きなSNSユーザーを集めただけ。一部の保守系政治家がネットユーザーの意見に翻弄される姿に酷似している。若者を意識した広報活動はよく分かるがあくまで「話題」に終わっているのがここ数年の共産党だ。

今さら血眼になり「資本論」というのも時代錯誤だが、かといって理論を捨てるわけにもいかない。

「一般紙ですら部数減の今、赤旗の拡大は不可能。その売り上げで運営するのはもう限界だ。いっそ政党助成金を受け取った方がいい」(前同)

こうしたやり方の方がよほど現実的で党員の負担軽減になるだろう。一生懸命、野党連合を呼びかけても他党の反応は冷たいものだ。むしろ「野党連合」の大風呂敷より赤旗・党員問題が先決に見える。仮に「野党連合」が達成できたとしてもその時に残るのは「高齢党員」と「赤旗の売れ残り」というシナリオも…。「野党連合」それは共産党にとって疫病神になるかもしれない。

大阪補選後、支援団体の声明。ポジティブな文言が並ぶが成果があったのかどうか。


三品純 について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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