大阪W選 “ 自共解連合”の怪

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By 三品純

大阪府知事・市長のW選挙がカオスの様相を呈している。 大阪維新の会が進める「大阪都構想」をかけて松井一郎前大阪府知事が大阪市長選に、吉村洋文大阪市長が大阪府知事にそれぞれ立候補した。この争いは大阪維新の会対自民党どころか維新VSそれ以外といっても差し支えない。なにしろ自民党、公明党が推薦する府知事候補の小西禎一氏、大阪市長候補の柳本顕氏に共産党までが支援。さらに小西氏、柳本氏いずれも連合大阪からも推薦を得ていることから部落解放同盟まで自民陣営に加わるという理解不能な状況だ。保守層からは「自民党に失望した」との声も相次ぐが、大阪W選の裏の「自共解連合」の真実とは?

小西、柳本両氏と駒川商店街(東住吉区)を練り歩く石破茂元幹事長。公明党候補も同伴している点に 自公の蜜月ぶりがよく分かる。

府外の有権者からすれば今回の大阪W選は「疑問符がつく」というレベルではないだろう。いや府内、大阪市民ですら読み解くのは厄介だ。しかもここに創価学会の事情まで絡んでくるのだからまさに麻のごとく乱れし事態なのだ。その対立は都構想の制度案を議論する府と市の「法定協議会」が決裂したことが原因である。 昨年12月、松井前知事がが都構想に関する大阪維新の会と公明党大阪府本部との「密約文書」を明かしたことも大きく報じられた。 公明党としては都構想に難色を示しても、維新との関係上、大阪市24区を8区に編成した総合区制度という妥協案を提唱した。しかし同案を維新が飲むはずもない。

この状況に官邸としては テロ等準備罪や働き方改革法などで協力してきた維新には一定の配慮をしなければならない。しかし創価学会・佐藤浩副会長と菅官房長官のパイプは強く、それでなくても自公政権という手前、官邸は公明党を優先せざるをえない。なにしろ大阪は「常勝関西」と言われる創価学会・公明党の牙城である。W選になったのも維新サイドの仕掛けというよりも、公明党側の維新切りという見方もできるかもしれない。
長らく自民党、旧民主党も創価学会に配慮せざるえなかったが、面白いことに維新という新興勢力が正面を切って対立しようというのである。

「中之島一家」に微妙な変化が・

労働組合の中抜け、ヤミ専従、職員の高額報酬といった行為に対して自民党議員も看過する。また議員の仲介による親族企業への優遇、職員採用の口利きなど大阪市の既得権益は莫大なものだった。「大阪市の議会、行政、労組のなれ合いの構図は『中之島一家』と言われてきました」(大阪市オンブズマン)。中之島一家とは大阪市役所の住所が「北区中之島」であることに由来する。

ある市OBは「公明党を評価しているわけではない」と念押しした上で、「労組の問題や高額報酬に対する追及は公明党が最も積極的だった」と証言する。というのも母体の創価学会員の多くは自営業者、中小零細企業経営者が中心だ。だから市職労、自治労、連合といった団体とは利害関係が異なる。ところがそうした追及の矛も少し事情が異なってきている。

「創価大学が教職員、地方公務員、警察官などの採用試験で合格実績を伸ばしてからもう学会員=自営業者という時代ではなくなったんです」(元創価学会員)

だから以前のような公務員問題の追及は鈍くなったというのだ。そういう意味では公務員叩きを得意とする維新と袂を分かつのは整合性がある。裏返せば公明党・創価学会も 「中之島一家 」の一つになったということなのか。

さてそんな証言を得てから先の3月24日、天王寺MIO(大阪市天王寺区)前で奇妙な現象が起きた。小西、柳本両候補の演説会に連合大阪・山崎弦一会長、部落解放同盟大阪府連・ 赤井隆史執行委員長、立憲民主党・尾辻かな子衆議院議員、国民民主党議員らが並んで街頭演説を始めた。まさしく「中之島一家」というに相応しい面々だ。この模様はツイッター上などで瞬く間に拡散されていき、保守層・自民党支持層の間でも疑問の声が挙がった。また共産党も小西・柳本両候補の支援を続けてきた。3月31日には東大阪市、大阪市此花区の街頭演説で志位和夫委員長が小西、柳本候補の支持を訴えた。#

こうした投稿が相次いだ。両候補ともに応援してもらえる以上、「ノー」というわけにもいかない。かといって連合大阪、解放同盟、立憲民主党に応援されることが効果的なのか疑問である。しかし実際のところは「応援」というよりも「便乗」という方が適切だろう。柳本陣営の支援者はこう振り返る。

「立憲民主党の新人議員にとってMIO前の街頭演説は絶好のPRの場だった。3月29日の公示前に小西さんたちの演説の応援を手伝う体で市議候補たちが来ていたよ」

天王寺駅前で街頭演説をする小西、柳本両候補。

どうも小西、柳本陣営からは「応援」というよりも解放同盟や立憲民主党が「勝手についてきた」という思いがあるようだ。小西氏、柳本氏も連合はともかく部落解放同盟から応援されるという点について本当に歓迎しているとは思えない。また共産党からの応援について羽曳野市在住の男性はこう話す。

「確かにうちの地域でも共産党が小西さんや柳本さんの選挙ビラを配っていたよ。ただそれは自民党が配布したものじゃなくて地元の共産党員が自分たちで作成したもんとちゃうかな?」

全国紙、キー局の報道を見るに自民党に維新以外の野党と連合が協力しているような印象を受けるが実は自民候補に“ くっついてきた”という方が正確だろう。しかし決してその応援は有効だとは思えない。

応援に来ていた大阪選出の自民党議員はこう話す。

「連合や解放同盟が加わったことで反発があるのは知っています。だったらなぜ維新はそのことを追及してこないんですか? あちらの方がよほど同和事業べったりで来られた人がいますよね。確かにMIOの件は反省する点はあるけど、それを維新が持ち出したらそれこそブーメランになりますよ」

自民党両候補の応援にかけつけた元大阪府知事の太田房江参議院議員。「応援」になるのか謎だ。

また共産党が小西・柳本陣営に加わった点について自民党の市議候補は一笑に付した。「共産党との共闘なんてないです。勝手についてきただけ。議会でもそうだから。赤旗なんか見てくださいよ。“ 共産党の質問に保守政党も認めた”と宣伝してるでしょ。逆にうち(自民)のお墨付きを求めているようなもんじゃないですか」

自民党関係者はあくまで解放同盟も共産党も「共闘」ではなく「ついてきた」という認識のようだ。

さらに3月30日早朝、JR天王寺駅前で街頭演説する小西、柳本両氏を直撃してみた。

――解放同盟が応援に加わったことで自民党の支持者の中にはガッカリだという声もありますが?

「連合さんから推薦を受けているから先方がどういう方を連れてくるのかよく分かりません。僕は直接は・・いいですかもうちょっと今は」(小西氏)

また柳本氏にも同様の質問をしてみると「どういう団体が来たのかは支持者の方が疑問というならば説明はしなければいけないと思います。しかし今は都構想や維新を止めないといけません。反維新? いや非維新ということです」

やはり応援した議員、支援者ともに「連合」や特に「解放同盟」というキーワードを出すと複雑な心境がありそうだ。おそらくは本人たちにとっても解放同盟までが出てくるとは予想すらしなかったことだろう。それに自民党大阪府連関係者や小西・柳本両候補がどう説明をしようが、全国的には「自民党が連合や解放同盟、また共産党と共闘した」という印象を与えてしまった。全国的には“ 自共解連合 ”と目されても仕方がない話だ。目下、松井・吉村両候補の優勢が伝えられているがその要因は言うまでもなく自民党大阪府連の戦略ミスだ。

残念ながら維新候補の演説の方が勢いがあった。

三品純 について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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大阪W選 “ 自共解連合”の怪」への5件のフィードバック

  1. じんじん

    ついてきたといって、そのまま支援を受けていることが大阪自民の駄目なところ
    嫌ならきっぱり断って、正々堂々戦えばいいんです
    こういうなれ合い体質で、表では戦っているようで、裏でそれぞれの利権を知らぬ振りして見て見ぬふりをしてきたのが大阪の体質です
    別に維新支持ではないが部落解放同盟的な自分たちに都合のいい理屈をするような、そういう大阪の腐ったところはしっかりたださなければならないと思います

    返信
  2. たも

    利権で得たカネが府内で回るのか、外資・改革利権を漁る大企業に回るのかの違いでしかありません。むろん前者が小西・柳本候補で後者が維新です。
    私はパソナ竹中やヴェオリア、オリックスに税金が回されるくらいなら解放同盟や労組に税金が回されるほうがマシだと考えます。
    後者は府内でカネが回るのですからね。

    返信
  3. しず

    解放同盟や労組がどんなに大阪や自分たちのために使ってきたのか?
    それにより本来なら回るべきはずのお金もまわらないといけないところに回りませんでした
    府内で金が回るというが府内の特別の業者だけで回っているのみ
    今までの利権構図に風穴をあけ、予算配分の見直しを行ったのはよいことでした

    返信
  4. 烏野加奈子

    大阪都構想は賛否あるとして、公務員改革から、万博、鉄道の整備等、維新になってから確実に大阪は変化してきたと大阪で生活していると実感しています
    私の様な自民党支持者ですら、大阪の自民党には失望しているんじゃないでしょうか?
    維新の誕生で議席が減ったからで文句言ってる様にしか見えないんです
    公明党は、東京しかり強い方についている印象があり、維新の支持率が下がったとみている様にも見えます(あくまで、無知な私には勝手にそう見えます)
    選挙のことばかり考えている様にしか見えない大連合はなんちゃら翼賛会にしか見えないんですよね
    維新支持者でない私にも維新の方が大阪の未来を考えてくれている様に見えるのです
    大阪の自民党の都、市会議員さんに言いたいです

    返信

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