京都ダークスポットウトロと紙屋川住宅の「現在地」(前編)

三品純 By 三品純

戦後から在日朝鮮人・韓国人による不法占拠が続いた京都・ウトロ地区(京都府宇治市伊勢田町51番地)と京都市北区衣笠開キ町の集落(通称・紙屋川住宅)は、在日コリアンの権利闘争の象徴といってもいいだろう。いわば在日の聖地と言うべき両地域の支援者が集った「在日コリアン集落地区「ウトロ」と「紙屋川開キ町」問題を考える集い」が1月22日、京都市内の多文化交流ネットワークサロンで開催された。

集会は、ウトロを守る会の斎藤正樹氏と紙屋川問題を考える会の森岡均氏が報告し、ウトロと紙屋川住宅の現状を説明。すでに公的住宅の建設が決まったウトロに対して紙屋川住宅の住民たちは、支援者にすら反発が強く改善策が見出せていないようだ。

土地転がし師・許昌九の名は・・

昨年12月10日、ウトロ地区の住民闘争を先導してきた町内会長・きむ教一きょいる氏が死去。すでにウトロ住環境整備事業は開始されており、金氏の死はウトロの歴史の終焉を告げているかのようだ。

さてウトロ地区とは、1940年頃、逓信省の方針でこの地に京都飛行場と航空機の製造工場の建設が開始された際に、集められた朝鮮人労働者が終戦後も不法占拠で住み着いた地域だ。ウトロを守る会の斎藤氏によるとここに集まった朝鮮人は、慶尚南道出身者が多かったという。戦後は、ウトロ地区は、朝鮮総連が強く運動も先鋭化したが、現在のウトロ地区住民の8割が韓国籍ということだ。

従来、京都新聞、毎日新聞が在日コリアンに対する差別の事例としてこのウトロ問題を取り上げてきた。それは“キャンペーン報道”という性質のもので、活動家、支援者、住民の言を“まんま”報じたもの。特に毎日新聞の元記者で現在は、フリージャーナリストの中村一成氏は“ウトロ番記者”という存在でもあった。

しかしこうしたウトロシンパの記者、支援者らも触れない問題があった。それはウトロ問題が混乱したのは、昌九ちゃんぐという在日韓国人の転売事件だ。1987年、町内会長を自認する平山桝夫こと許に日産車体が約3億円でウトロ地区を売却。許はこれを自身が役員を務める西日本殖産に4億5000万円で転売した。許に資金を融資したのは、民団系の旧大阪商銀で連帯保証人に民団京都地方本部団長・炳旭びょんうく。当時、大阪商銀はウトロ地区に5億円の根抵当権を設定しており、その利ザヤを狙った転売だった。

「ネットで真実」とは言いたくもないが、これまでウトロの支援集会などでこの問題が説明される際は、必ず「平山桝夫」の通名であり、許の名が出ることはなかった。ただし「ネットに真実がある」とは言いたくもないが、このご時世、ウトロ転売と検索すれば、ごく普通に昌九ちゃんぐの名前は出てくるもの。

ところが中村氏が『週刊金曜日』(2016年11月4日)に寄稿した「解体が始まった在日朝鮮人集落「ウトロ」の記憶」にはこうある。

「80年代に入り、さらなる難題が住民を襲う。業績悪化に苦しむ日産車体は、御荷物だったウトロの「叩き売り」を模索、宇治市を介して自治会長を名乗る男性住民に話を持ちかけた」

許の名もなければ、融資が旧大阪商銀という点にも触れられていない。あくまで日産車体と行政の責任であるかのような記述は、ある意味、清々しさすら感じた。

ウトロ公的住宅は改良住宅

紆余曲折はあれども一応の解決を見たウトロ問題。2014年1月、国と京都府、宇治市はウトロ基本構想をまとめ、公的住宅を2棟建設することが決まった。国交省の「社会資本整備総合交付金」の小規模住宅地区改良事業を活用し建設される。早い話が「改良住宅」というわけだ。用地は、韓国政府が支出して設立したウトロ一般財団法人の用地3,808.4㎡、またウトロ民間基金財団の用地2,750.52㎡と民有地の一部だ。ウトロ一般財団法人の用地を第一期公的住宅建設用地としてすでに工事は、着工され今年中に完成予定だ。ここにまず18世帯が入居する。続いて第二期として2019年、ウトロ民間基金財団側の土地に第二期公的住宅が建設され21世帯が入居する予定だ。

改良住宅と言えば同和事業下でも様々なトラブルを抱えたが、ともかく「ウトロ問題」はこれで一応の決着を見るわけだ。報告に立った斎藤氏を始め、その他の活動家たちからも余裕のようなものが感じられた。それに対して紙屋川住宅は、依然と厳しい状況のようだ。

なにしろ紙屋川住宅の住民たちは、支援者たちにすら心を開かないという。

「見世物にするな」

住民たちにベッタリなウトロ報道と異なり、紙屋川住宅の住民たちは、好意的な取材にすら非協力的なのだそうだ。
(続く)

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