差別をなくそう・部落探訪(100)
特別編・愛知県あま市栄“東今宿”
(前編)

By 鳥取ループ

ついに部落探訪シリーズが100回を迎えた。今回は動画でもお伝えすると同時に、部落探訪自体に対する批判にも記事中で答えていく。

東海地方で著名な部落はどこかと人に問えば、まずは養老が挙げられるが、それと同じくらいに有名なのが甚目寺の部落である。無論、甚目寺町全体が部落というわけではなく、しかも甚目寺町は2010年に合併によりあま市となっている。

また、甚目寺の部落が東海地方で取り立てて大規模というわけではない。戸数で言えば名古屋市内の都市部落のほうがはるかに大きいし、さきほどの養老町の他、津島市にも大きな部落がある。それにも関わらず、なぜ甚目寺の部落は人を惹きつけるのか。実際に現地に行ってその魅力を探ってきた。

人権センターから探訪を始める。

現在の部落は地名で言えばあま市栄と、あま市西今宿の一部が該当する。江戸時代はこの辺りは「今宿いまじゅく村」であり、明治初期に東今宿村と西今宿村に分割された。この「東今宿村」が部落であったのだが、現在は両方共に地名では「栄」および「西今宿」となっている。

――ところで、解放同盟がこの部落探訪シリーズについて『部落差別を拡散する鳥取ループ・示現舎の「部落探訪」にたいする糾弾の闘いをすすめよう』との記事を公表している。

――まず、既にタイトルからしておかしい。筆者が承知する限り、「糾弾」というのは自力救済のことであって、解放同盟は裁判所に提訴しているのだから、既に糾弾を諦めたはずである。「糾弾の闘いをすすめよう」と誰に向かって言っているのか分からないが、「自分らはもう諦めたから、誰かやって下さい」ということだろうか。

――裁判後に掲載数が増えているのは、『全国部落調査』発禁の仮処分に対して保全異議を申し立てたものの結局認められなかったのだが、全国の部落一覧ではない他の出版物については解放同盟がその出版をことごとく正当化し、裁判所もそれを認めたので、要は部落の地名を載せること自体は構わないという裁判所のお墨付きが得られたことがある。それに加えて、川口泰司さん等が各地でネットに部落名が掲載されていることを批判する講演をしているためか、部落探訪に対するアクセス数が増え、載せれば多数のアクセスがある、鉄壁のコンテンツだからということもある。

――「「部落探訪」は、一見すると、街の紹介のような装いをとっているが、その本質は被差別部落の所在地の暴露そのものである」――これもおかしな言い方である。「一見すると、街の紹介のような装い」というが、タイトルからして「部落探訪」なのだから、「被差別」かどうかはともかくとして、部落を探訪していることはすぐに分かるはずだ。なので、むしろ逆で一見すると部落の所在地の暴露だが、よく見ると街の紹介だと言うのが正しいだろう。

人権センターの周辺には老人福祉センターと公営団地がある。

――「「部落探訪」の特徴の一つは、一見するとテレビ番組の「ぶらり旅」や「ぶらり街歩き」などを装い、ゲーム感覚で「部落探し」への興味を誘うような悪質な情報操作をおこなっていることである」――何度も言うが、タイトルからして「部落探訪」なのだから、情報操作も何もなかろう。「部落探し」への興味を誘うようなタイトルで、テレビ番組の「ぶらり旅」や「ぶらり街歩き」のようなことをやっている、というのが部落探訪なのである。

――「部落探訪」と同じようなことは「部落巡礼」と称して部落解放同盟滋賀県連合会が過去にやっており、それが書籍『滋賀の部落』にまとめられている。他にも過去の『解放新聞』『部落』『部落解放』といった刊行物を見れば、部落探訪と似たようなことをやっている記事はいくらでもある。グーグルブックスで「部落」というキーワードと適当な地名とで検索すれば、そのような記事がつらつらと出てくるだろう。例えばこんな風に。

五条川の西岸が古くからの部落で、縦に長い形をしている。人権センターの周辺は昔は田畑だったところで、現在はアパートもあり、住宅地の見た目は普通である。

――「面白半分」などというのは、主観的な評価にすぎない。面白半分だと思うのは、解放同盟関係者も実は部落探訪を読むのを楽しみにしているからであろう。そういうのを、ツンデレと言う。解放同盟だけではない、自治体関係者、法務局職員、人権連、同和会関係者の中にも実は楽しんでいるという人が多くいるだろう。当の部落住民にも、自分のところに来るのはいつだろうと楽しみにしている人が少なくない。ぜひコメント等でおすすめの場所の探訪のリクエストをすべきであろう。もっと自分に正直になれば、幸せになれるのである。

…と思ったら、門が倒れた家があった。それほど古そうには見えないので、建て方自体に問題がありそうな気がする。

そして、その先にはまた不思議な物件が。

ニコイチ住宅に停められたグーグルストリートビューの撮影車。普通に考えれば、ニコイチの住民が何らかの形でグーグルから仕事を請け負って運転していると考えるのが自然だろう。

グーグルストリートビューが始まった当初、激烈に反応したのが解放同盟である。部落が晒し物にされるということで、各地の地方議会に解放同盟が規制を求めて陳情し、地方議会が国に規制を求める意見書を採択するということが起こった。

「プライバシー侵害だ」「いったい何の役に立つんだ」「ストーカー犯罪に使われる」と個人情報クレーマーも発狂したが、ゼンリンなどの地図会社、自治体の収税課がやっている事と大して変わらないし、恩恵を受けているではないかということで結局規制できず、現在に至る。

ストリートビューは部落を避けていると、まことしやかに言われるが、現実はこの通りである。

――「鳥取ループ・示現舎が「部落探訪」で「紹介」している「街」は、たんなる町や地域ではないし、ましてや観光地でもない」――たんなる町や地域でなかったら何だと言うのだろうか。「特殊な地域」とでも言いたいのだろうか。また、「観光地でもない」と言っても、そもそも何が観光地と言えるのか定義などない。それでもあえて言うなら、過去に探訪した吉岡温泉網代温泉のような温泉地の部落、有名な寺の参道にある部落が観光地でないと言うのなら、いったいどこが観光地と言えるのであろう。

ニコイチ、工場、古い家がある。部落内は区画整理されていて道が広い。

ただ、この一角は空き家があるのみで人気がない。

その理由と思われるのが、この工場「堀田萬蔵ほったまんぞう商店」である。化製場というカテゴリーの施設で、家畜の死体を処理して、肥料などの製品を作っている。畜産業者にとっては、屠畜場と同じくらい重要な施設だ。

以前探訪した荒川8丁目には油脂工場があり、そこはホルモン焼きのような好き嫌いの分かれる臭いだったが、こちらはさらに生ゴミのような臭いが加わっており、しかもかなり広い範囲に広がっている。ツイッターで「堀田萬蔵」で検索すると、1キロメートル近く離れた須ヶ口駅付近でも臭いがするとの報告がある。

ニコイチの向こうに立ち上る蒸気。高い煙突を建てればよいような気もするが、排気の温度が低いと、気温が高い夏場は下に降りてきてしまうので、必ずしも効果はないらしい。

他の対策を識者に聞いてみたところ、「充填塔式微生物吸着塔」というものがあるそうだ。微生物が付着した合成繊維の担体の間に排気を通して、悪臭成分を二酸化炭素、窒素、水に分解する方法である。さらに活性炭で吸着することで十分に脱臭することが可能だそうだ。

この箱型の設備をよく見ると、「活性炭吸着塔」と書かれているので、悪臭対策はされてはいるようである。

しかし、臭いだけでなくカラスが多いのも気になった。何かカラスの餌になるものが野外にあるということなので、まだ悪臭対策には改善の余地があるように思う。

五条川の土手から部落を望む。壮観なニコイチ群が見える。

――「「部落探訪」に掲載されることによって、結婚差別や就職差別などを受ける地区なのである」というが、少なくともこの部落については見れば周辺地域と比べて違和感があることが一目瞭然だ。「結婚差別や就職差別などを受ける」というが、まさか嫁入りか婿入りの度に、隣保館や巨大ニコイチ群をブルーシートで覆って隠すわけでもあるまい。

1935年当時は232世帯の部落であった。戦後はこれが700世帯以上に増えたと言われ、部落というよりも都市型のスラムに近いと考えられる。

(続く)

差別をなくそう・部落探訪(100)
特別編・愛知県あま市栄“東今宿”
(前編)
」への26件のフィードバック

    1. 鳥取ループ 投稿作成者

      最後の最後か、あるいは何かの節目にスペシャルでやりたいというのがあります。

      返信
  1. くりくり大将

    その近くの老人介護施設で働いたことがありますが、他地域の介護士からは、
    「あっちのほうは〝面倒〟だったり、ややこしかったり大変でしょ?」
    と尋ねられたことがあります。
    ややこしい人は何人かいました。
    介護される老人ではなくて、その息子だったり親類がややこしいのですが…。

    不思議だったのは、解同の人っぽい人と共産党っぽい人が仲良くしていたことですかね(苦笑)

    返信
    1. 鳥取ループ 投稿作成者

      解放同盟、共産党、同和会は仲が悪いようで底の部分はつながっています。
      それぞれを行き来している人もいますので。

      返信
  2. 解同が本気で部落問題を解決する気がないというのが分かりますね。

    部落探訪を見て「私も明日から部落民は差別しよう!」と思う人はいないでしょうし、もしいるならその人に問題があるでしょう。

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  3. 影目

    穴キン逮捕から11年か
    真宗高田派の平野さんや人権連の丹羽さんに話を聞いたかね
    非人地区の話とか

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  4. 田中 誠

    動画拝見しました。高画質&解説付きで凄く良かったです。是非ともシリーズ化していただきたく存じます。
    一点お願いがございます。動画のブレで映像酔いがするので、今後可能でしたら、改善の程よろしくお願いいたします。

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  5. ただのおっさん

    毎回「部落探訪」の記事を楽しみにしています。普通に地方の昭和ノスタルジーが残る街のぶらり旅的に拝見してますし、何なら観光がてらに訪ねてみたい街もあります。

    イデオロギーや思想等関係なく、純粋に記事の更新を楽しみにしている一読者より。

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  6. 名無しの

    東海地方屈指の知名度も堀田萬蔵商店とそこから出る臭いでしょうね。
    あと、堤防道路を走っていると墓地がありますが、
    そこは焼き場?と思われる建物もあって、堤防道路を走り抜けるだけでも
    色々見れるのも人気なのでしょう。

    他に特有の事といえばあま市の特産品は七宝焼きの他に刷毛。
    清須市は市立の小学校入学時に本革の
    ランドセルが祝品としてプレゼントされます。
    おそらくどちらも原材料の供給元は堀田萬蔵商店・・・

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  7. 毒者

    スレ違いですが…
    19日放送のNHK「鶴瓶の家族に乾杯」は、広島県三次市でした。
    鶴瓶がうっかり地区に入ってしまいました。
    制作スタッフの誰もが気が付かずで放送をしてしまったのかも?

    「鶴瓶の家族に乾杯『子牛に夢中SP常盤貴子と広島県三次市ぶっつけ本番旅』11月19日」
    https://video.9tsu.com/videos/view?vid=141740
    *0:25:06あたりから

    返信
    1. 通りすがり

      その番組ですが、広島県にちょっとだけ隣接している町の回では、堂々と地区の名物を紹介していましたよ。それって、分かる人にはすぐそれ方面と分かるもの。今回の部落探訪にも関係ありますよ。
      なので、スタッフ的にはそこまで気にしていないのでは。

      返信
      1. ほのvono

        羽田美智子がゲストだった鳥取県日南町の回ですかね。太鼓づくりを紹介していました

        返信
    2. 鳥取ループ 投稿作成者

      ありがとうございます。寺戸は全国部落調査に掲載されていますが、もしかすると未指定かも知れないですね。
      NHKは狙ってやっていると聞いたことがあります。

      返信
        1. 通りすがり

          ちなみに、太鼓の皮に使う、牛はと殺後それは丁寧(穴など開かないように、厚さにムラがないようになど)にと畜場(マスコミ的には食肉処理施設)では牛皮を取り扱うそうです。それ以外の牛皮はそうではないそうです。
          それと、化製場については、その近隣に住宅団地ができ、移転計画が持ち上がったんですが、結局、移転先での臭気問題を解決することができず、立地自治体から移転保障料だけ貰って廃業したことを思い出しました。それだけ、化製場の臭気を解決するのにはお金がかかるんですね。

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  8. 通りすがり

    これ系の話は得意です。
    鳥取ループ氏の生まれ故郷の県営空港は過疎空港で、1日5往復しか飛行機飛ばない(そこまで需要あるか疑問)ので、その近くに県下一の大養鶏場があります。空港そばに住む人はいないと思って作ったものの、なぜかその周辺を市街化地域にしたのかな?住宅が立ち並ぶようになったため、周辺住民が「くさい!」と訴えるようになりました。いろいろ苦労して臭気対策しているものの限界があります。さらに、その過疎空港と無駄な公共工事作った釣堀を繋げる道路を作ったので、さー大変。観光地に悪臭はなつ施設をおくなと大問題化しかけていますね。
    門外漢から言わせれば、そもそもそんなところに住宅地作るなよ!観光地化するなだよ。

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