本サイトでは2020年に津市相生町自治体事件をスクープしたが、その時、ぜひ久居北口を訪れてほしいというリクエストを頂いた。ここにも有名な親子がおり、似たような問題があるのではないかという話だった。

かつては洗ケ瀬という古村があり、『三重県部落史料集（近代篇）』に掲載された資料によれば明治初期は57戸、1930年は150世帯あったという。かつては農業や草履づくりをしていた。

久居北口に来たら、「藤ケ丘食堂」に行くべきだというので入ってみた。ただし、文字通りこれは久居北口の中でも「藤ケ丘」にあり「洗ケ瀬」ではない。つまり古村の外にある。

何の事前情報も調べずに入ったら、食堂というより焼肉屋だった。しかも鶏焼肉。大人気店で4時というのに既に店内が混雑する中、4人がけテーブルで肩身狭く一人焼肉をした。

注文したのは野菜焼き、砂肝、鶏肉（並）。初めてなのでよく分からず、あまりよく焼かずに食べたら噛み切れないほど硬かった。しかし、焦げるくらいによく焼くと、とたんに柔らかくなって美味しく頂ける。最初から肉を金網に載せられるだけ載せて、全力で焼こう。多くの客は最初から柔らかい鶏肉（若）を頼むらしい。

そこから離れたところにある、入り組んだ住宅地の中に久居北口文化会館がある。

調べてみると、これは隣保館である。大きな古村があったためか、久居北口市民館、久居北口文化会館の2つの隣保館がある。これはそれらのうちの1つ。

デイサービスセンターも設置されている。

ただし、ここは洗ケ瀬の中心部からは少し離れたところになる。1960年代くらいまでは田畑が多く、後に急速に宅地化が進んだ。

どちらかと言えば、メインになるのはそこよりも北にある、この久居北口市民館のようである。

実はここには、解放同盟の支部があり、件の人物らも解放同盟を名乗っていたのだが、実際のところは「自称」に過ぎないそうである。津市ではかつては本当に解放同盟の支部があったが、国の事業が終わってからは活動は下火になり、長らく総会も行われていないということである。

ここ、久居北口は農村だった場所が宅地化が進んでおり、市民館の周辺が既にこのような状態。もはや大部分は新住民だろう。件の人物も「部落民」というわけではなく、誰が同和かといったことは、言ったもの勝ちなのだそうだ。

この日は、特徴的な虹が出ていたのが気になった。

通常よりも色数の多い虹で、「過剰虹」と言うらしい。

ニコイチ住宅はない。公営住宅っぽい団地が見えてきた。

と思ったら、これは閉鎖された古い「企業庁職員アパート」なのだそうだ。三重県の水道事業を行っている団体の施設だったのであろう。

古村の面影も、農家であったであろう古い家がところどころにあることから見ることが出来るが、全般的に新しい住宅地に飲み込まれつつある。古くからの家は、津田という表札が多い気がする。かつては水平社運動があり、かつての文献には確かに津田という人物が見られる。

こちらの公営住宅っぽい建物は厚生労働省所管の雇用促進住宅だった。

共産党支持者が多くてひと悶着合ったと聞くが、現在はソフトバンク系列の企業に払い下げられ「ビレッジハウス」という賃貸住宅になっている。

これは3つ目の同和対策施設、北口教育集会所。

しかし、今となっては掲示板に部落とか同和だとか人権だとかSDGsだとかいったものはない。

集会所もあり、敷地はごみ集積所になっている。

やはり、古くからの農村であったためか、道が入り組んでいて分かりにくい。グーグルマップのナビゲーションで市民館に戻ろうとしたら、こんなところに案内されてしまった。市民館の正面から見えたアパートの裏手である。やはり同じ失敗をする人が多いのか、「入らないで下さい」という市役所の看板がある。敷地内を無理やり抜ければ市民館の正面に出られるかもしれないが、実際は大回りする必要がある。

最後に、墓地を訪れたのだが、日が暮れてしまった。

やはり、ここでも宗派は浄土真宗である。

津市相生町事件の影響の少なからずあったようで、面倒な地元の有力者と見られていた件の人物は高齢だったこともあり、引退したと聞く。