【世田谷区】日本維新の会・若林りさ区議の質問外注で浮かび上がった維新秘書の兼業疑惑

By Jun mishina

世田谷区・保坂展人区長の自宅が建築基準法違反と指摘を受けた問題で議会が紛糾中だ。また立憲民主党会派の羽田圭二副議長が自宅問題を質問しないよう各会派に働きかけたことにより副議長不信任決議案が可決された。区長・副議長に批判が集まる中、日本維新の会・若林りさ区議の政務活動費に秘書兼業疑惑が浮上。同区議をめぐっては筆者は昨年、政活費の不明点を指摘。その後、所属会派と関係解消していた。

区長は自宅問題、区議は政活費問題

保坂区長と羽田副議長は盟友(羽田氏公式㏋より)。

1985年、保坂氏はフリーライター時代、狛江市で再建築不可物件だった中古物件を購入。1992年、保坂氏はこの家を取り壊して新築したのだ。物件はいわゆる4m道路に接道していないため、自分の敷地に他人の土地を算入して申告。さらに、 容積率と建ぺい率を規定より大幅に増やし、敷地目一杯の巨大な家を建ててしまった。建築許可が下りるよう他人の隣接地を保坂邸の敷地に偽装したということだ。

写真週刊誌『フライデー』からその手法を「地面師」と批判された。自宅問題は議会でも取り上げられたが、追及の急先鋒である大庭正明議員に対して「立憲民主党・無所属・愛世田谷区議団会派」の区議が妨害のような行為を行った。そのうちの一人、みやかおり区議に対して議会懲罰特別委員会が開かれたが「侮辱に値しない」という判断が下った。

また同会派・羽田圭二副議長が各会派を回り質問を封殺するような行動に出た。

「議長や副議長は中立的な立場でなければならず、普通はこんな働きかけはしません。こういうところが議会三役慣れしていない左翼議員の浅はかさなんですよね」(議会ウォッチャー)

このため12月5日、羽田副議長に対して賛成多数で不信任決議案が可決された。ところが意に介さず居座り続けているのも潔くない。逆の立場ならば革新会派の面々は鬼の首をとったように囃し立てるはずだ。

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同会派と言えばオルズグル区議が政務活動費で大量の書籍を購入したことも筆者は指摘した。オルズグル区議はその後、立憲民主党を離党したが「立憲民主党・無所属・愛世田谷区議団会派」には残った。同会派が副議長ポストをとるため幹事長らが会派には残るよう慰留したのだ。

それから政活費と言えば若林りさ区議の使途について筆者は問題視した。昨年10月21日の記事が詳しい。

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令和5年度分の政務活動費収支報告には「政務活動補助員人件費」として同年5月から翌年2月まで、毎月3万3千円の計33万円が計上。支払先は明記されておらず、誰が受け取ったのか不明だ。地元関係者から「身内への還流ではないか」との情報提供を受け、若林区議に質問状を提出した。すると「西浦・西中山法律事務所」の西浦善彦弁護士からまるで「圧力」のような回答がきた。一部を再掲する。

3 ご要望
以上の次第ではありますが、貴殿のご質問は、通知人に対する不正確で一方的な情報や虚偽の情報を前提とするものであり、あらゆる媒体に掲載または提供、およびネットやSNSによって流布することは政治活動に対する妨害、通知人に対する名誉毀損行為にあたると思料いたしますところ、不正確で一方的な情報や虚偽を、ネット上、SNS、関係者に流布する行為には、厳正な法的対応を行なっております。
貴殿が、今後、当該不当な情報を根拠として、名誉毀損、信用毀損、プライバシー侵害行為を行う場合、貴殿個人のみならず、情報提供元の人物に対しても、共謀共同正犯として刑事責任を追及するだけでなく、共同不法行為として損害賠償請求訴訟の対象とすること予定しておりますので、くれぐれも善処されることお願い申し上げます。(原文ママ)

質問内容は議会関係者、関係機関への取材で裏付けをしてまとめたもの。どの辺りが「不正確で一方的な情報や虚偽の情報」なのか説明してもらいたい。少なくとも政務活動補助員人件費は支払先を公表すればいいだけの話だ。

西浦弁護士に対して再度、どの箇所が事実無根でまた支払先は誰なのか説明を求めたが反応はなかった。当時、若林氏はSNS上で「事実無根」などと訴えたが、記事の掲載後に当時所属していた「無所属・世田谷行革110 番」(現・改革無所属の会)との会派を解消。本人は「政策や政治姿勢に関する考え方の違い」だと説明していた。

今度は「政策支援センター」という謎組織が登場

領収書の一部。

弁護士に依頼してまで「政務活動補助員人件費」の支払先公開を拒否した同区議。今度は令和6年度分の政務活動費収支報告に「政策支援センター」なる謎組織へ同年4月から翌年3月までの1年間で、毎月3万円の計36万円が支払われていた。

そもそも「政策支援センター」という名は登記簿でも確認できず、会社法人なのかも全く分からない。あるいは個人が自称している可能性もある。一体、どんな組織でどのような業務を行っているのか?同区議会で若林区議に取材を申し込んだが多忙を理由に拒否。しかしその後、関係者を名乗る人物S氏から電子メールでの回答があった。その内容もまた要領を得ないものだ。

お問い合わせの件につき、関係者としてメールにて回答いたします。政策支援センターは、地方議員等からの依頼を受け、議会質問の整理、政策資料の作成補助、制度調査など、議会活動および政策立案に関する実務支援を行う枠組みです。

選挙運動、政治資金の管理、後援会活動等には一切関与しておらず、業務内容は政策・議会活動に関する支援に限定されています。また、当該業務は実体をもって継続的に運営されており、契約や報酬の取扱いについても、関係法令および各自治体のルールに基づき適正に対応しています。本件に関する説明は以上が全てであり、これ以上の取材や追加のご質問、関係者への接触等には応じられませんので、あらかじめご了承ください。

実務支援を行う枠組みという意味が分からない。何らかのグループ活動なのか。「議会質問の整理、政策資料の作成補助、制度調査など、議会活動および政策立案に関する実務支援」という以上、専門知識が必要だ。となると有識者、または議員経験者、議員秘書ではないと対応できないだろう。

「これ以上の取材や追加のご質問、関係者への接触等には応じられません」とある通り、メールを返信してもエラーになってしまう。アドレスも見るからに〝捨てアド〟だ。

Sと名乗る人物は若林区議のスタッフなのかそれもはっきりしない。調べてみると意外な人物が浮上した。

「音喜多駿氏の元秘書で現在は別の維新の国会議員の政策秘書を務めている人物。確か若林区議の出馬を後押しした人物で、かなり親しい関係です」(維新関係者)

もともと若林区議は2023年の統一地方選で当選した〝音喜多チルドレン〟だ。そんな関係から実務支援を依頼したのか。だが若林区議の議員活動を見る限り、実務補助が必要だとはとても思えない。

「動物の保護活動など他区議の二番煎じが目立ちます」(前出議会ウォッチャー)といった証言は一人や二人ではなかった。むしろこれは若林区議を介した議員秘書への〝公金還流〟の可能性がある。となると若林区議だけの責任ではなくS氏も問題だ。

S氏が現在、秘書を務める議員事務所に確認したがやはり応答はない。公金還流といえば今、日本維新の会を揺るがす不祥事。

「当該業務は実体をもって継続的に運営されており、契約や報酬の取扱いについても、関係法令および各自治体のルールに基づき適正に対応しています」と反論するS氏。

それならば、いつ誰がどんな業務を行っているのか明確にすべきだ。「実務支援を行う枠組み」などという曖昧な説明が通用するなら政治資金などもはや言った者勝ちだ。

しかも仮にS氏が現職の秘書ならば禁止行為である「兼業」ではないのか。この点についてS氏と若林区議も明確にしてもらいたい。政策支援センターのS氏が現役秘書で実務支援を行っていたとすれば「兼業」だから禁止行為。一方、政策支援センターが有名無実の存在ならば紛れもなく公金還流である。いずれにしても「政策支援センター」への支出は「これ以上の取材や追加のご質問、関係者への接触等には応じられません」(S氏)では済まされない。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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