「学校は差し押さえ」「中退者多数」「教員が提訴」 京都国際になれない「コリア国際学園」は永遠のキラキラ民族学校

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By Jun mishina

境界をまたぐ「越境人」に。を建学の精神として2008年に開校した「コリア国際学園」(大阪府茨木市)。学校教育法で定められた一条校ではなく各種学校だ。著名人を準備委員に招き華々しい開学だったがその後、人気校になったという話は聞かない。それどころか昨年12月2日、現在学校は元理事長らに差し押さえを受けるなど内紛が続いているのだ。

当初のエリート養成はどうなった…

コリア国際学園(KIS)は姜尚中氏、朴一氏、梁石日氏ら在日コリアンの著名人や元文部官僚、寺脇研氏を設立準備委員として2008年4月に開学。中等部1年から高等部3年まで1学年1クラスという少数教育で、当時は「有名大学に現役合格」を掲げ学力を重視した。

「多文化共生、人権と平和、自由と創造」という教育理念の一方で受験重視の方針に批判が起きたものだ。特に「ゆとり教育」の推進者だった寺脇氏が委員に名を連ねた点も反発を強めたのだろう。

またスポーツにも力を入れ韓国からのサッカー留学生も受け入れたが、同校から有名選手が出たという話も聞かない。

(異文化教育に学ぶ:1)教室は小さな多文化社会 コリア国際学園、「越境人」育成を理念に(朝日新聞8月4日)

K-POPアイドルも「越境人」 コリア系インターで学ぶ多様性(朝日新聞21年9月4日)

学園が掲げる多文化共生、国際人、多様性といった〝キラキラワード〟にマスコミが飛びつかないはずがない。これまで礼賛記事も多々、報じられてきた。もちろん左派文化人、活動家らが同校に賛辞を贈る。しかしそれほど学園が素晴らしいものならば、差し押さえになるはずがない。

元理事長らが学園を差し押さえ

同校Webサイトより。韓流アイドルやK‐POPを強く意識。

「教員たちが学園を提訴した他、元理事長が学園を差し押さえをするなど内情はボロボロですよ。気の毒なのは生徒。多文化共生といったイデオロギーの犠牲者でしょう」(府内の在日コリアンX氏)

この夏、こんな情報が舞い込んだ。

同校の登記事項証明書によると昨年11月29日に競売が開始され、元理事長の洪敬義氏、実業家の安益濬氏、群馬朝鮮初中級学校教育会会長の白盛基氏、元副理事長の崔友群氏、元事務局長の宋悟氏らによって12月2日に差し押さえとなっていた。

いずれも民族運動に関わってきた面々だ。朝鮮学校がそうであるようにコリア国際学園も財政は支援者らの寄付に依存している。基本的に財政状況は良好とは言えず「少人数教育が特徴なので学費からの収入は見込めません。一方で人件費が毎月の支出の約60%。大きな負担になっています」(X氏)という状況である。

財政の問題、それに加えてイデオロギー、教育方針をめぐる対立も大きいようだ。

内部で何が起きているのか関係者は口を閉ざす。だがその手掛かりとなるのが同校の教員2名が未払い賃金などの支払いを求めた民事訴訟である。

2019年に元教員のR氏、K氏が未払い分の賃金を求め提訴。R氏はコリア語学科主任で学生支援部、進路指導部などに所属。2017~2018年の間に47回の遅刻、欠勤があり授業に支障をきたしたという理由で解雇。

K氏は学園の内情などを大阪私学教職員組合の機関紙に掲載した際に始末書の提出に応じなかったなどの理由だ。

これに対してR氏は子供の看病を理由だと反論した。一方、学園側は「R氏が他の教員に対して〝ちゃんとやっているのか〟または〝私のことを参与に報告したのか〟と難詰した」と勤務態度を問題視した。

結局、R、K両氏の勝訴で終わったのだが、裁判で明かされた学園の内情は壮絶だ。

約2年間で退学者は30人

茨木市豊川の傾斜地にある。

コリア国際学園は2017年に国際バカロレア(IB)の認定校になった。IBとは国際バカロレア機構が提供する国際的教育プログラムのこと。

文科省IB教育推進コンソーシアムのWebサイトにもコリア国際学園は認定校として掲載されている。認定校は有名大学の付属校やインターナショナルスクールの名門校が並ぶ。しかしIB認定校だからといってコリア国際学園のブランド力が向上したとは考えにくい。

中にはいわゆる有名大学への進学者もいるが、教育システムというよりも本人と保護者の努力の成果だろう。

またスポーツ分野でも同様だ。コリア国際学園もスポーツ強化を目指したが、2017年の理事会では同年に入学した体育科サッカー部の16名のうち夏休み中に4名、夏休み明けに3名など16人が退学したと報告された。

サッカー部については指導者の体罰という問題もあったという。しかしそれ以上に生徒の不満は大学への推薦が受けられないにも関わらず入学前に説明がなかったことだ。韓国からサッカー留学してきた生徒もいたが、選手登録ができないため対外試合に参加することはできない。

同じ「各種学校」であっても朝鮮学校の方がよほど可能性がある。特に大阪朝鮮高級学校はラグビー、サッカーの強豪だ。コリア国際学園よりも閉鎖的なイメージが強い朝鮮学校の方が活躍の機会がありそうだ。

結局、2016年9月から2018年2月までの間、30名が退学したというが生徒にすれば在籍する意味がないと感じたのだろう。

進路指導体制も十分とは言えない。大学で生命工学分野を希望する生徒が学校側から理系のサポートができないから文転(理系から文系への転向)を勧められたため退学というケースもあった。10代の貴重な時間を棒に振ったことになる。

多文化共生、多様性と看板は美しいが現実問題として理念だけでは進路はどうにもならない。要は開学を推進した大人たちの自己満足であって、退学した生徒たちに何を思うのだろうか。

コリア国際学園の根幹はやはり「民族学校」

もちろん学園側も改革を進めてきた。その一環が改革派の学校関係者による「アジア太平洋インターナショナルスクール構想」下で進められた2017年の国際バカロレア(IB)の認定取得だ。

また同年は京都国際学園高校で指導実績があった李相創氏(現校長)を教務部長に迎えた。同高は今、最も話題性があるだろう。

昨年夏の甲子園を制し初優勝を果たし、今大会でもベスト8入りした京都国際学園。同校のルーツが在日韓国人向けの民族学校だったのが2003年に文科省の認可を受け一条校になった。

同校の校歌の一節「東海(동해=トンヘ)」(日本海の意味) をめぐり物議を醸している。ともかく民族学校から一般の中高一貫校になった成功例と言えるだろう。

しかし同校での実績がある李氏だからと言ってコリア国際学園を改革できるとは限らない。京都国際学園の教育課程は日本の学習指導要領に則ったもので、コリア国際学園の指導方針とはまるで異なる。

インターナショナルスクールとして価値を高めたいという一方、守旧派が「民族学校の根幹を変更することはできない」と難色を示した。提訴した両教員も民族教育派ということだ。学園との軋轢も労働問題と同時に民族イデオロギーが影響したとみられる。

またこんな証言も見逃せない。

「コリア国際学園のインターナショナルスクール構想は守旧派が心酔する故・金敬得弁護士の思想や理念に反するというのです」(前出X氏)。

金氏は外国籍で初の弁護士になった人物。指紋押捺拒否事件、慰安婦戦後補償問題といった朝鮮人の人権問題や歴史認識問題の第一人者である。

また近年では「定住外国人の地方参政権を実現させる日・韓・在日ネットワーク」代表者として参政権問題にも取り組んだ。在日コリアンにとっての理論的支柱で、民族アイデンティティを強く訴えた人物である。

しかしこのような在日マインドがどうしても理解できない。強烈な民族意識だが、コリア国際学園が掲げる「越境人」という理念と反するのではないか。結局、多文化共生、多様性といった美名に反してコリア国際学園の根幹は「民族学校」なのだ。

大学進学やスポーツ育成についても生徒たちの要望に応えることができない。それは結局のところ民族教育を優先してきた結果ではないのか。

民族アイデンティティを尊重することが生徒のキャリア形成にプラスになるとは限らない。文化人、知識人、活動家が思い描く「在日コリアン像」を若者に〝強制〟しているのが実態ではないか。

いずれにしても元関係者らから差し押さえを受けたという事実は重たい。やがて振り回されるのは生徒たちという顛末が目に浮かぶようだ。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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