天下の 朝日新聞『落日新聞』へ 転化の道⑥ 母の単独親権 寄り添い記事の 裏に「シングルマザー 信仰」

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By Jun mishina

部数減、値上げ…。日本のクオリティペーパー“天下の朝日新聞 ”も弱り目に祟り目。だが相変わらず活動家記者は入管法、LGBT等々にご執心。特定団体・特定人物の主張をそのまま報じる日々だ。それが同紙自慢の“ 寄り添い記事”だが、昨年12月末の親権記事は「寄り添いどころか意味不明」との声が漏れてきた。

大晦日にひっそりと 有料で寄り添い記事

親権問題も非常に重要な取材テーマの一つ。関係情報を探っていると…。

「朝日新聞が昨年末に掲載したシングルマザーの記事を読みましたか? 意味不明だと話題でしたよ」

共同親権問題の取材協力者がこんな話を持ちかけてきた。それは昨年12月31日、朝日新聞デジタルで掲載された編集委員・大久保真紀記者の署名記事。

幼い息子と日本に帰りたい 「父親の許可は?」と空港でたびたび拘束

タイトルからして勘のいい人は内容が国際間の親権トラブルだと察するかもしれない。

こんな内容だ。

「父親の許可はあるのか」。2020年3月、ドイツで暮らシングルマザーの日本人は、日本行きの便に乗り換えるパリ空港で、警察署に連行され、問い詰められた。1歳だった長男を連れていた。当時、長年暮らすドイツでは、新型コロナの感染拡大に伴う最初のロックダウンが数日後に迫っていた。3年間の出産・育児休暇中だった女性は、日本の実家でしばらく暮らす方が安心と考えた。前日に航空券を買い、朝7時に自宅を出発。ミュンヘン空港からパリ空港に着いた直後の出来事だった。

日本に一時帰国していたドイツ在住のシングルマザーに会いました。結婚しないまま母親になると決めた女性ですが、「共同親権」制度が導入されているドイツの裁判所は、息子の父親との共同親権を命じました。女性と息子の身にどんなことが起こっているのか。詳しく語ってくれました。

無料部分はここまで。有料部分に詳細がレポートされている。

取材は昨年8月に行ったようだ。

無料部分でも女性の訴えはある程度、把握できるだろう。ドイツ人男性と事実婚状態だった独在住の日本人シングルマザーが父親の許可なく日本に帰国しようとしたところ警察に連行された。共同親権推進派が言うところの子供の連れ去りである。

記事では女性が連行当時の恐怖、親権の悩みを吐露した。事情はさておき子供と一時帰国というだけで警察沙汰、その上にシングルマザー、朝日新聞記者が寄り添う対象として申し分ない。記事の構成からしても知識がない読者には「悲劇」に映るだろう。

また親権をめぐって左派は母権を重視し、母親の単独親権を支持する傾向がある。これに朝日新聞が同調するのもさもありなんという話だ。

SNS上では女性の親権問題に敏感な面々が記事を称賛。また東京都立大学・木村草太教授も記事を評価しTwitterで紹介した。

しかし記事を投稿したことで木村氏は他ユーザーから指摘を受ける。海外の場合、一方の親に同意なく子を国外に出国させると「child abduction=子の奪取」として罪に問われかねない。女性に連れ去りの意図はなかったとしても国際的には「子の奪取」。だから空港で拘束された。

おそらく同記事の賛同者たちは欧米の新しい概念に触れると目を輝かせるはずだ。

そして「ヨーロッパでは~」といわゆる“出羽守 ”で「日本は古い」と得意気になるだろう。ただ国際ルールを知らなかったことになる。国際的にシングルマザーの行為は子の拉致ということをご存知ないのだろう。

ドイツの大学院に 在籍して制度を 知らない!?

それにしても釈然としない読後感だ。巧拙ではなくて、このシングルマザーが置かれた状況が見えてこない。

例えば同女や子が夫のDV被害に遭っており、逃亡目的ならば心情的に理解できる。ただ夫の素行についての説明はない。記事の記述を見る限り「事実婚」のようだ。いや、事実婚という表現も正確ではない?

ドイツ男性との出会い、出産まではこう説明されていた。

中学生のころ、ワイツゼッカー元大統領の演説「荒れ野の40年」を読み、ドイツに憧れた。クラシック音楽も好きで、日本の女子大を卒業した00年春、片道チケットでドイツに渡った。 大学と大学院で学び、06年から現地で働く。地元のスポーツ活動で知り合った父親とつきあっていたところ、17年暮れに妊娠に気づいた。 妊娠を告げると、「本当に俺の子どもか」と言われた。けんかばかりしていたこともあり、結婚せずに1人で育てると決め、18年に出産した。ただ、市役所から「子どもが生物学的な父が誰なのか知ることは大切」「認知しても共同『配慮』を求めてくる人はほとんどいない」「認知しないと養育費はもらえない」と強く助言され、父親に胎児認知をしてもらった。 しかし、長男が生まれて半年後、父親は共同「配慮」を求めて提訴した。19年に出た裁判所の決定は、女性の単独「配慮」保持だった。 せっかくの育児休暇だからと、裁判所にも伝えて19年に一時帰国。その後も、父親に手紙を出すなどして2回、日本に帰った。日本滞在中は、週1回は父親に手作りのはがきを出し、ときには電話も入れた。 20年3月、父親は長男の国外渡航の禁止を求める緊急提訴をし、それが認められたためにパリ空港から連れ戻された。  

事実婚というよりは、単なる未婚の男女の間に子供が出来て認知のみ、という関係だ。2000年にドイツに渡り、大学→院まで出たのだから優秀な人物なのだろう。またドイツ語のコミュニケーション能力も相応に身に付いたはずだ。滞在期間も長いのに自身が暮らす国の育児制度さえ調べていないのか。

「ドイツの場合は共同監護者や青年局に断りなしに国外に出ると実子誘拐罪に問われます。国際間の夫婦、カップルなら知っておくべき知識ですよ」(海外在住者)

決してシングルマザーを責めているわけではない。ただ記事中の事実関係や人物描写が ボヤけているので「国際ルールを知らない女性が国際結婚に失敗した苦労談」にしか見えないのだ。

女性はドイツで週30時間働く。手取りは月2600ユーロ(約37万円)。裁判のための費用や長男の送り迎えの交通費などがかかり、生活はぎりぎりだという。 「生きていくこと自体が大変」 一方、父親は所有するアパートの家賃収入で暮らす。生まれたときからの養育費として一括で計1万4千ユーロ(約200万円)を受け取ったが、弁護士や鑑定費などの裁判費用に1万7千ユーロ(約240万円)かかり、すべて消えた。 長男が好きな農村への旅行に行くために面会日をずらしてほしいとお願いしても応じてもらえない。

女性はドイツ男性と面会を頑なに拒んだように読み取れた。ドイツ人男性の主張や子との関係はよく分からない。夫側は子に面会を求めている以上、相応に愛情を持っているのだろう。それに養育費に応じない父親もいる中でこのドイツ人男性は約200万円を渡した。

ところが男性からは面会を求め提訴されており、弁護士費用に養育費が消えた。これも妙だ。ドイツ人男性がDVもしくは粗暴な振る舞いをするといった記述がなく身辺への危害はなさそう。ならば面会ぐらい応じればいいものを拒んだ結果、裁判費用のために養育費を溶かした。

「面会させてあげたらいいのに」

提供者と声が揃ってしまった。

経済困窮のような描写だが、なんのことはない。ドイツ人男性の求めに応じて子と面会しておけば防げたトラブルではないか。

母の単独親権派への サービス記事

随所に記者の擁護やシンパシーが伝わる。

先述した通り同記事は母権尊重派に支持された。ただ記事としてはフェアではない。なぜなら父親の反論がないからだ。ドイツ在住者だから接触が困難ということを差し引いても共同監護制度を知らない女性の主張のみを伝えるのは「報道」と呼べない。それに国際基準に照らせば事実上の「子の奪取」だ。それを堂々と紙面にしたのは「ザ・朝日新聞」ということにしておこう。

共同親権の議論が進んでいる。推進派も街宣活動。

記事を紹介してくれた協力者と再度、読み合わせをした結果、双方ある推測で一致した。それはこのシングルマザーは朝日新聞記者の友人、知人、親族ではないかということだ。もちろん憶測だが、そう思わせてしまうのは「朝日新聞の信用度」とお考え頂きたい。

内容的には妙にノンフィクション感が醸し出されているし、一定量の支持者も存在した。親権問題が論議される中で良いサンプル、事例にはなりそうだ。

記事を読めばこのシングルマザーの認識不足であることは明白だ。にも関わらず朝日新聞が掲載に踏み切ったのはなぜか。共同親権に否定的な研究者はこう分析した。

「私も朝日新聞のシングルマザー記事を読みました。記事の狙いは簡単でしょ。要するに母親の単独親権を支持する一派に向けたキャンペーン記事、またはサービス記事なんですよ」

サービス記事、つまり寄り添い記事ということだ。

進歩的どころか 左派の古い母親観

サービス記事という意味は現在、親権をめぐる構図を理解するとより味わい深い。

同氏はこう続ける。

「とても分かりにくいからざっくりとした区分ですが、人権派弁護士や左派は母親の単独親権、法務省の家族法制度部会→共同監護、そして自民と維新が父権重視の共同親権をそれぞれ支持しています。朝日新聞の記事は母親側に立っていますよね。母の単独親権支持者に向けて書かれているんです」(前同)

なるほど! 実に朝日新聞らしい記事なのだ。しかし腑に落ちない。木村草太氏は共同親権支持者だったはず。それが母親の単独親権に宗門替え?

「それが木村さんですよ(笑)。親権の問題はとても複雑だから、法学者でも理解できていなかったんでしょ。要するに弱者の味方を演じるのは共同親権ではなく単独親権と気付いたのではないでしょうか」(同)

加えて母親の単独親権派には意外な傾向があるという。

「母の単独親権は左派が支持していますが、エキセントリックに見えて実は“子供は母親といるものだ”という古い考え方を持っているのです。だからシングルマザーへ肩入れします。一種の信仰に近いですね」(同)

朝日新聞らしいシングルマザー礼賛記事の裏には親権をめぐる勢力図も浮かび上がった。そういう意味では貴重な記事に出会えた、が。

冒頭の取材協力者はこう嘆く。

「結局、朝日記事もシングルマザー贔屓で、子供の権利や苦境を書いていないです。結局、親権をめぐる論争は親の権利が中心。子供が置き去りになっているんですよ」

確かにオレが、アタシが、と親の権利ばかりを主張しているのが今の親権論争に見える。そして子供が不在の親権論議を朝日新聞が助長するとは「報道機関」の仕事ではない。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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天下の 朝日新聞『落日新聞』へ 転化の道⑥ 母の単独親権 寄り添い記事の 裏に「シングルマザー 信仰」」への1件のフィードバック

  1. EG

     アサヒや共産党のような古色蒼然の代表選手たちがLGなんて言ってハシャいでいる奇妙な世相ですね。
     この記事大変面白かった。こんな退屈な記事を読むだけでもご苦労様です。
    #9cca20fa13b9cf7dc35d2f5959a66f18

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