韓国、文在寅政権が2017年8月、大統領府青瓦台HPに「国民請願掲示板」を導入したのをご存じだろうか。国民誰もが請願を投稿でき30日間で20万人以上の署名が集まった場合、青瓦台は公式的な回答をしなければならない。請願内容は政治問題から人権問題まで幅広いが6月10日、元慰安婦の救済施設「ナヌムの家」の不正を告発する投稿があった。家の関係者によって投稿されており陰惨な状況が綴られているが現在集まった署名は8081人(6月29日)。署名はツイッター、youtube、Facebookのアカウントがあれば日本人でも可能。というわけで日本国内でも活動家らが署名を呼びかけれているが期限日は7月10日。とても20万人に達するとは思えない。国民請願掲示板の周知が進んでいないのか、慰安婦問題自体の関心が薄れているのか…。
投稿は「人権/男女平等」の項目に分類。表題には「分かち合いの家(ナヌムの家)をおばあちゃん(元慰安婦)と国民に返してください」といった意味の一文がある。
「社会福祉法人曹渓宗ナヌムの家」は、日本軍慰安婦被害おばあちゃんの生活空間として、1992年曹渓宗僧侶の主導で開かれた。
こんな導入で始まる請願文には様々な問題点が指摘されている。
・ナヌムの家は資産だけで72億ウォン(6億円超)を有するがおばあちゃんの看護師は20年でただ一人だった。
・外食や外出運動療法で生活改善を提案したが運営側から「ナヌムの家のどこにそんな金があるのか」と言われた。また改善を求めたスタッフを告訴すると脅した役員もいた。
・事業目的には日本軍「慰安婦」被害者の生活のためとは明記されていない。2020年に無料施設ではなく「ホテル式」の有料養老施設として定款を変更すると申請中だ。
・後援金を定期預金に回して利子収入を増やす方針。
・常勤していない僧侶の給与は1億ウォン以上で後援金からねん出していた。出勤がほとんどない僧侶の給与が5300万ウォン。また後援金は理事長である僧侶の保険料や自伝購入費用に使われていた。
こんな実態が綴られていた。その上で
1、ナヌムの家が20年以上、約118億ウォン超の後援金を募集と使用目的について違法性がないかの捜査。
2、変更した定款を公開していない。後援金が正しく使用されるようにしてほしい。
3、ナヌムの家が「無法地帯」なのは光州市と京畿道の捜査機関の問題があった。彼らは立証責任を情報提供者に押しつけているので(政府が)綿密な調査をしてほしい。
4、再びこのようなことがないように関連公務員も調べて関係者を処罰してほしい。
5、責任があるものが反省もしないで鎮静化するのを待って再び後援金を私物化しないようにしてほしい。
この5つを要求している。
情報提供者の切実な思いは伝わるが期限は7月10日。果たして残る約19万人の賛同者を集めることができるだろうか。
コロナ診断キット名を「独島」に!
さて報道でもご存じの通り、韓国では慰安婦支援団体の不正が問題になっているが、同掲示板には社会的に反響の大小を問わず様々な請願が寄せられいる。時には文大統領の弾劾決議などという請願まであった。それでは気になった請願をいくつかピックアップしてみよう。
6月11日には「私の娘が強姦されるのを目撃して…不起訴処分」とある。どうやら性犯罪被害者の母親による告発のようだが、捜査のやり直しを求めている。
20万人以上の賛同を集め回答があった請願を見ても「性犯罪関係」は多い。
例えば写真上から、「25が月の娘が小学校5年生に性的暴行されました」「息子が6年間通った保育園で男院長から3年間性暴行をされました」「小学生を性暴行して撮影された違法撮影物で脅迫した高校生の処罰を要求します」といった告発が受付されていた。
またいかにも韓国らしいのが今年3月25日、3856617人を集めた「輸出用コロナ診断キットを独島と命名」という請願だ。
診断キットを「独島」という名前で輸出すれば、地球を守る守護神として独島の地位を大幅に向上するものとします。
こんな熱い思いが込められた。それに対して社会政策秘書官が回答。
輸出用コロナ診断キットの名称は、開発、製造する企業が自主的に決定する事案です。政府が一括して名前を付けたり、介入することはできない領域なので回答が難しい点をご了承ください。
なかなか大統領府も苦しいところ。だが
政府は、独島に対する国際社会の正しい認識を高め、日本の主張の不当性と虚構性を指摘するために、関連機関および民間団体などと協力して「多言語広報資料を制作活用」「外国政府関係者、マスコミ、学会を対象にした韓国の領土主権を推進」などの努力を続けています。独島に対する国際社会の正しい認識のために努力してくださる請願人と国民の皆さんに感謝いたします。
としっかりフォローしているのが面白い。いずれにしても国民のガス抜き的な意味合いが強いこの掲示板。ナヌムの家の請願はどのような結果になるのか楽しみだ。