北朝鮮による拉致被害者、蓮池薫さんの実兄・蓮池透さんは5月31日、次期参院選にれいわ新選組から立候補する意向を表明した。 蓮池氏は北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)元副代表だったが、すでに家族会とは距離を置き独自に活動、情報発信をしてきた。元原発技術者ということもあり最近では拉致よりも「原発問題」について発言する機会が目立つ。そんな蓮池氏が政界進出にかける思いとは…。
蓮池氏が参加するれいわ新選組は山本太郎参議院議員が代表となり今年4月に結成した政治団体。同党は原発即時禁止、辺野古基地建設反対から「消費税廃止」「奨学金チャラ」など生活に密着した政策を打ち出している。 従来の左派政党にありがちなイデオロギー偏重よりかは生活に密着した公約を掲げるのが特徴的だ。
蓮池氏自身も2002年小泉訪朝直後はタカ派的な発言も目立ったが、その後は北朝鮮との対話・関係改善を訴え左派色を強めている。また福島原発事故以降は反原発を訴え講演会などにも登壇してきた。こうした活動歴を見ても山本代表の方針と矛盾はなさそうだ。
拉致問題の蓮池氏が語る原発。この意外な組み合わせには興味を持つ市民も多く蓮池氏の講演は盛況だ。
「原発で働いていた頃は先輩社員が“ 炉の周りを歩いてい来い”なんていう『かわいがり』もありました」
「原発労働者の子供はなぜか女の子が多いのです」
こんな風に現場の労働者のリアルな日常を語りながら原発問題を解説していたのが印象的だった。ただ質疑応答の際、参加者からは「せっかくだから拉致問題や北朝鮮問題にも一言お願いします」と促されたこともしばし。やはり蓮池家=拉致という宿命は避けられないところだろう。ならば政治家として蓮池氏は何を目指すのか直撃して展望を聞いた。
拉致問題解決の定義がない…
「れいわ新選組に入って山本太郎氏の仲間になったことは事実です。今は寄付をお願いしています。ご賛同を頂き資金が集まれば私も立候補することになります。記者会見でも話したんですが“ (蓮池は) ネットで政治批判ばかりしている ”と言われてきたからならオフラインで主張してみようと思ったんです」
現在、れいわ新選組は次期参院選に向けクラウドファンディングで寄付を募り選挙体制を整えている。蓮池氏はその候補の一人というわけだ。れいわ入りを決断したのはやはり原発問題が大きかったという。
「久しぶりに地元(柏崎市・刈羽村)に戻ってみると住民が原発容認/反対で分断されていることに愕然としました。しかも知事選、県議選でも議員たちは原発に対する態度をはっきりさせません。アンケートをやっても誤魔化したような回答をします。選挙では賛成、反対を言わないのは結局、議員バッチがほしいだけじゃないかと思うんです。地方創生のためには原発が必要という意見が根強いけども、地域経済を原発に頼る時代ではないでしょう。かといってもこのまま町が疲弊していくのを看過するわけにいきません」
そんな時に山本太郎の考えに共鳴したという。
「山本太郎の原発に対する態度はもちろん消費税廃止というのは経済活性に最も有効ではないかと思い、れいわ新選組に加わったのです。特に消費税については最初私は5%ぐらいに税率を下げようと考えていましたが、山本代表は廃止だ、と言うから当然その方がいいわけですよ。消費税は必ずしも社会保障費に使われていない実態もあります。これでは国民が疲弊します。ささやかな抵抗だけどこういう事実を社会に訴えていかなければなりません」
どうやら元原発技師という立場からの「脱原発」と消費税廃止による経済活性化が蓮池氏の大目標のようだ。ただやはり必然的に拉致問題についても何らかのアクションが求められるのではないか。拉致について公約的なものを準備しているのかを聞いてみると意外な反応が待っていた。
「私は今もう家族会から離れていますが、もちろん拉致問題は大事な問題だと思っています。それに対北朝鮮についてもっとこうしたらいいのではないか? とか自分なりの考えはあるんですよ。ただ今、ここで拉致問題を持ち出すと“お前(蓮池)も政治利用しているじゃないか ”と言われかねません。くれぐれも誤解がないようにお話すると拉致について考えないというのではなく、安倍首相も今、北朝鮮に向けて無条件の会談を提案しているでしょ。とても話が高度になってきているところに私などが口を挟むよりもとりあえずは政府の動向を見守ることが優先だと思っています」
こう語った上で
「拉致問題の解決というけども、どの時点、どういう結果をもって解決とするのか? 突き詰めると政府ですら解決の定義を持っていないでしょう。『日朝平壌宣言』も北朝鮮側としては“解決済み ”という立場ですよ。そんな状況なのに私が軽々と公約に拉致問題、解決策と掲げるわけにいきません」
実に蓮池氏らしい冷静な意見だと思った。威勢よく北朝鮮批判したとしてもそれは“活動家 ”でもできる話。あくまで脱原発、地域活性、消費税廃止など生活に特化した政策を掲げる方針だ。
「父(秀量氏)も91歳になり、“ もう波風を立てないで死なせてくれ”と言われています。本当に小さい抵抗かもしれないけど挑んでみようと思います」
従来の左派系、リベラル系議員にはない、生活重視という理念を蓮池氏からは感じた。既存の野党も支持率が低迷する中で、れいわ新選組、そして蓮池氏は参院選の目玉になれるか注目である。
私は山本太郎を支持するものでは全くありませんが、蓮池氏のご主張自体は一貫しているとは感じました。どこから出馬するのも自由ですしとやかくは申しませんが、こういう方の真っ当な受け皿がないのだなあと感じざるを得ませんが。
すごく気さくで優しい人柄で真摯な姿勢を感じました。私も山本氏を支持するわけではありませんが、ああいう劇薬みたいな存在も必要なのかなとも思います。そういえばこの前、れいわの支持者の方が街頭演説をしていたんですが、ちょっとオカルトっぽい原発批判をしていたんですね。蓮池さんは技術者だからああいう人たちをどう見るのか気になりますが。
わずか40000円ですが、れいわ新選組に寄付してきました。山本太郎議員=日本のジェファーソン・スミス(「スミス都へ行く」)。断固支持!!!
すごい熱心な方ですね。ただこれまでも様々な新党が出てくる中で定着
しなかったのは支持層を育ててこなかった側面もあると思います。
特にリベラル政党の場合、支持者の方はパッションがあれども大局観が
ないというのか。具体的にはたった一つの主張が許せないから離れるみたいな。
だからせっかくそんな大金を寄付したなら長期的に見守るというスタンスが
いいでしょうね。なんだかえらそうにすみません。