自民党に大激震! 安倍派、二階派の幹部や議員が政治パーティー券収入からキックバックされたものの政治資金収支報告書に不記載だった問題。東京地検特捜部は今月19日、安倍派と二階派の事務所へ強制捜査に入った。議員、関係者が戦々恐々とする中、永田町界隈では長崎IRに一波乱ありかと囁かれている。
銀座、六本木の キャバクラ、それとも風俗?
自民党安倍派がパーティー券収入を5年で総額5億円を裏金化していた。“令和のリクルート事件”(1988年)として昭和の大汚職と重ねてみる向きもある。
もともと通常の飲食代金であれば、領収書が発行され政治資金として処理できるため裏金を使う必要がない。裏金の使途でありえるのは銀座、六本木など高級クラブ、キャバクラ、または風俗店というのが政治通らの専らの見方。
派閥事務所周辺には連日のようにマスコミ各社が殺到し、議員らを追及している。4閣僚が交代した他、複数の議員の名が浮上する中で谷川弥一衆院議員(長崎3区)の対応は特に印象的だった。
直近5年間で4千万円超のキックバックをもらっていた谷川氏。報道陣の囲み取材に対して「頭悪いね。これ以上、今日は言いませんと言っているじゃないの」と逆ギレしたのは顰蹙を買った。しかも過去の奇行も話題だ。
2016年11月30日、IR法案を審議する衆議院内閣委員会で質問に立った谷川氏は時間が余ったことを理由に般若心経を唱えた。当時も批判が殺到したが、パー券問題で改めて谷川氏がクローズアップされている。
有権者の間でも不信感が高まり、検察としても「バッチ付き(議員)を挙げたい」という思いが強いという。
12月13日、安倍派幹部全員の議員会館、事務所、自宅の家宅捜索。12月14日、安倍派全員の事情聴取開始。
議員会館ではこのような内容の怪文書がバラまかれ特に野党支持者は色めきだったものだ。しかし実際は17日に開かれた「日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議」終了後、安倍派・二階派の関係先をガサ入れという流れ。19日、怪文書の通りに安倍派&二階派事務所に対して東京地検特捜部は一斉に家宅捜索を行った。
12月、審査委員会が立て続けに開催の怪
大きな政界汚職に発展しそうなパー券疑惑。その一方で密かに戦々恐々としている一派がいるという。長崎県IR誘致に関係した政財界の面々だ。
国交省は令和3年7月から「特定複合観光施設区域整備計画審査委員会」を開催し、昨年4月27日に申請を受け付けた大阪府と長崎県のIR事業を審査してきた。
11月に入りパー券疑惑が報じられたわけだが、IR審査委員会も奇妙な事態が起きていた。
大阪府はすでに今年9月22日に国から認定済。長崎県は「CASINOS AUSTRIA INTERNATIONAL JAPAN」(CAIJ)が指定事業者で佐世保市のハウステンボス隣地にIR施設を建設する計画。しかし長崎県の継続審査は続く。
ところが審査委員会が不可解だという。
「12月に入ってなぜか3回も審査委員会が開催されています。過去は月に1~2回ペースでしたが前倒ししているようです」(政治記者)
会議結果は限定的だが一部公開されるが今年4月から公開が滞り、長崎県IRの情報は乏しい。
大阪の候補地、夢洲の場合は確かに問題があれども相応に情報が公開されてきた。ところが長崎の審査状況が見えてこない。
長崎についての記載はこの注意書きだけだ。
※長崎県の区域整備計画は、引き続き認定審査中のため、これに関する内容は現時点では非公開としています。
特に年末だから急ぐといった性質の委員会でもない。国交省担当者は「開催や公開内容についてのお答えはできません」を繰り返す。
「パー券疑惑と連動しているのでは?」とは先の政治記者。
「実は九州地方でパー券の購入者に特捜のメスが入るという話があります。しかも購入者には長崎へのIR誘致に関わる企業も。IR誘致に関わった関係者、企業が“ガサ入れ ”では国交省まで火の粉がかかってしまいます。立て続けに3度も開催したのは長崎県を候補から落とすのが狙いではないでしょう」(同)
もともと長崎県IRはキナ臭い話だらけだった。
先の谷川氏は(株)谷川建設(長崎市)の創業者。現在は長男の喜一氏が社長を務める。IR事業者として名乗りを上げた「NIKI Chyau Fwu (Parkview) Group」の一つが谷川建設。IR事業について国会でも質問に立った推進派、谷川氏の関係企業が関わるのもおかしい。県の審査に落ちたが利益誘導という指摘が起きるのは自然のことだ。
一方、次点では落選したのが香港企業「Oshidori International Development」。もともとオシドリ社が事業者に有力視されていた。そして同社の仲介人という存在が貸金業法違反で昨年2月に有罪判決を受けた遠山清彦元財務副大臣。
CAIJが事業者として長崎県に選定された際、ニキ社とオシドリ社が組んで県に対して再審査を求めたという経緯がある。もっとも当のCAIJも2021年に本国、オーストリアで疑獄事件の渦中と報じられた。CAIJ自体、本来は小規模カジノの運営で日本のIRのような国家事業の経験がない。
つまり長崎県IRに手を挙げた各業者は各々に“脛に傷”があったのだ。
しかもそもそも長崎県IRの候補地であるハウステンボスは香港の投資会社「PAG」が経営を握る。オーストラリアのCAIJが選ばれたのは中国色を排除したものだったが、結局のところ中国の影はつきまとう。
チャイナマネーの色が強い上に過去には遠山元財務副大臣、そして今話題の谷川氏までが浮上した。しかもパー券疑惑で政界は震撼。「特捜部の本気度を目の当たりにして危うい長崎は審査で落としたい、そんな思惑が囁かれます」(IRに詳しいオンブズマン)。このため慌てて連続して12月に開催したと囁かれる。組織防衛に長ける官公庁のロジックとしてはありえることではないか。
かねてから怪しい点が目立つ長崎県IRだが今度はパー券スキャンダルまで直撃しそうなのだ。