【パノラマ映像】 横須賀のマチュピチュ(中編)

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By 宮部 龍彦

前回は、牛殺し谷戸から北方向に峠を超えて別の谷戸に下りた。さらに、北にある「センチュリーハイツ」近くのベースが見えるという場所へと向かう。

ただ、その場所だけを目的に行くなら、汐入駅からこの踏切を渡って行った方が分かりやすい。

踏切から更に奥に進み、このポストがある坂道を登る。

坂の上に、さらに階段がある。

途中からこの階段を登っていくと…

目印となる「センチュリーハイツ」にたどり着いた。ちなみにこのアパートは入居者募集中で1Kで家賃は3.6万円から3.9万円。不動産情報サイトの写真では分かりにくいが、はっきり言って凄い場所にある。どのように凄いのかは普通の写真では伝えづらいので、VR映像を見ていただくのがよいだろう。

しかし、このような場所でもトイレはちゃんと水洗である。麓の下水道までパイプを通して流すようになっているのだとか。

さらに、この周辺には古い空き家が立ち並んでいる。どこが通路でどこが家の敷地なのかも分かりにくいので、構わず進んだ。そして、動画にある通り、比較的見晴らしのよい畑にたどり着いた。尾根、廃墟、畑と、最もマチュピチュの条件に合っているのはここではないだろうか。

この畑こそが、住民おすすめのベースが見えるスポットらしい。筆者以外にも写真を撮っている人がいた。

近くの住民に聞いてみると、昔はこの辺りはフェンスで囲われていて、古くからの住民以外は立入禁止だったという。なぜなら、海軍の基地が丸見えだったからだ。さらに、海岸沿いに壁が延々と続いて視界を遮っていた。しかし、戦後しばらく経った頃に壁が撤去され、この場所にも自由に立ち入ることが出来るようになったという。

ただ、確かに見晴らしがよいが完全に基地を見通せるわけではなく、何だか物足りない。そう思っていると、「もっとベースがよく見えるところに入れてあげよう」というので、お言葉に甘えることにした。

そして、今でも住民以外は入れないという、とある場所に入れてもらうことができた。住民によると、ここは米軍基地がよく見えるので、米軍がらみで何かニュースがあった時には報道関係者にとって絶好の撮影スポットだったという。しかし、新聞記者の火の不始末によるボヤ騒ぎがあり、それ以来、めったに人は入れていないということだ。

ここは横須賀本港を見渡せる。

76という番号を掲げた大きな船は、原子力空母ロナルド・レーガン。

ズームで撮影すれば丸見えだ。世が世ならスパイ行為で捕まるところだろう。

さらに、2隻の潜水艦が見える。潜水艦の右側にあるのは「1号ドライドック」で、明治4年に作られた日本最古の乾ドックだ。

右に見えるイオン横須賀は昔は造船所だった。

左側に海上自衛隊の基地が少しだけ見える。左側の建物は比較的最近作られた米軍関係者向けの集合住宅で、これがなかった頃は自衛隊の基地も完全に見渡せたという。「横須賀市は作るのを断ればよかったのに」と住民はぼやく。

海上自衛隊の基地については、よく見える場所が別にあるというので、そこを教えていただいた。

しかし、こうやって見ると横須賀が天然の良港であることが分かる。欠点は港の周辺に平地が極めて少ないことだ。そのため、山の上だろうと斜面だろうと住宅を建てまくり、今のような状態になったわけである。

自衛隊基地が見えるポイントへは、この浦賀道を進む。この細い道が、昔は横浜から浦賀へと至る街道だったという。

途中に枯れ草に覆われた廃墟があった。

(次回に続く)

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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