ネットの電話帳裁判、大阪高裁「難しい事件」

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By 宮部 龍彦

ハローページに掲載された個人の住所・電話番号を公開しているネットの電話帳が提訴された事件、京都地裁が個人情報の削除を命ずる判決を出しましたか、双方が控訴して大阪高裁に持ち込まれています。昨日控訴審の口頭弁論が行なわれました。

民事事件では控訴審は一回の口頭弁論で終わる事が多いのですが、この事件では2回目が行なわれることになりました。

双方が提出した書面はこちらです。

一審原告の理由書・答弁書
原告理由書-H29-6-21.pdf
原告答弁書-H29-7-26.pdf

一審被告(ネットの電話帳)の理由書
控訴理由書-H29-6-22.pdf
証拠説明書-H29-6-22.pdf

この事件は、裁判の当事者の名前をネットで公開することを京都地裁が認めた事件でもあるのですが、そのことについて島崎弁護士は裁判を受ける権利を侵害すると反発しています。

一方、ネットの電話帳側は、何をもってプライバシーと言えるかという裁判所の判断が恣意的であること、電話帳データが災害発生時に有用であることなどを主張して徹底抗戦です。

山田陽三裁判官は「これは難しい事件だと思う」と言いました。

なぜなら、電話帳に掲載されている個人は何千万人にもなるので原告一人の希望で他の人の意思を無視して一律に判断してよいのかという問題があるとのことです。そして、過去の判例は単に住所と名前ではなくそこに他の情報が加わったものが問題となったもので、今回のように純粋に住所・名前・電話番号だけの情報が問題となったのは前例がないのではないかということです。

すると、ただ気持ち悪いというだけの理由で当然のように削除が認められるとはならないわけで、原告特有の事情はないのかと言われました。

ネットの電話帳にとっては有利な展開と言えますが、削除を認めるとしてもあくまで原告一人だけに影響を止めたいと取れます。

結局次回もやることになりました。

次回は9月5日15:00大阪高裁83号法廷です。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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