【日本維新の会】地方組織はグダグダ! トラブルの温床「身を切る改革」はもう限界では?

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By Jun mishina

日本維新の会の独自ルール「身を切る改革」はトラブルの温床でしかなくなった! 維新議員は歳費の一部を被災地、公益団体などへ寄付する党紀がある。国会議員と異なり議員報酬が少ない地方議員にとっては重い負担だ。しかも「身を切る改革」の不履行を口実に所属議員の「排除」が横行し党は減退の一途である。

部分社会の法理は通用するのか

名古屋地裁。

2023年、この年の統一地方選で日本維新の会は圧勝。野党第一党を狙える位置につけた。ところがこの上昇ムードの中、地方議員の離党が相次いだ。林隆一・和歌山県議が身を切る改革の不履行を理由に離党勧告処分を受けた。これを皮切りに長崎県維新の市議3名が党内のパワハラで離党。同様に市議らも身を切る改革を持ち出された。

次いで小村貴司・北名古屋市議、呉松福一・射水市議がやはり不履行で離党勧告より重い除名処分。小村市議の場合、党内のパワハラ問題を告発するため本部に働きかけていた矢先の処分だった。現在、両氏はそれぞれの県総支部を提訴し係争中だ。

小村市議は岬麻紀前衆院議員によるパワハラを党本部へ告発。ところが党側はハラスメント委員会を開催した痕跡もなく岬氏への処分も確認できず。逆に小村市議が「身を切る改革」の不履行を理由に除名処分になった。

2月12日、名古屋地裁で小村市議と愛知維新の会の口頭弁論が開かれた。愛知維新の会に対して同地裁は昨年4月30日に証拠保全を執行。国政政党に対して〝ガサ入れ〟とは異例のことだ。対して同会は「自律的な法規範をもつ団体内部の紛争については、司法審査が及ばないとする」とするいわゆる「部分社会の法理」で反論してきた。

通常は政党、大学など自治の尊重と説明されるものだ。一方で裁判所が困難な判決を回避するための口実といった批判も根強い。

しかし単に政党内の問題とはいえないのだ。原告の名誉に関わる大問題だ。

そもそも小村市議は身を切る改革を履行している。その時期というのも愛知維新の会の身を切る改革委員会で認められた期日だ。ところが同会WEBサイト上では全く経緯が説明されていない。

除名の処分理由は「虚偽」であるにも関わらず、同会は堂々とサイト上に掲載し続けている。しかもサイト上の文面だけみればあたかも「金に汚い議員」のような印象を受けてしまう。この点が名誉毀損であるとし原告側は争ってきた。加えて小村市議は刑事告発を視野に入れさらなる対応を検討しているという。

気になるのは今後の進行だ。12日の裁判で仮に部分社会の法理を優先した判断の場合、4月18日に結審するという。逆にさらに愛知維新の会の内部を精査する必要性がある場合は18日以降も審理は続くという。

判例から鑑みれば「部分社会の法理」が採用される可能性もある。だが愛知県内で政党にまつわる重要な判例があることも見逃せない。

元市議が所属政党から名誉毀損されたとする裁判で名古屋地裁は党に対し44万円の支払いを命じた。本件では部分社会の法理は採用されない判決だった。この判例が踏襲された場合、4月以降も審理が続くと可能性が高い。

一方で愛知維新内部では意外な動きも。

「愛知維新の会代表だった浦野靖人衆院議員が辞任しました。代わって高橋道則東郷町議が代表に就いたのですが、明らかに浦野氏が〝投げ出した〟とみられます。他にも党員がいるのにまだ町議1期の高橋氏というのはおかしい。誰も火中の栗を拾いたくないのでしょう」(党関係者)

この一件も維新の内情を物語る。

愛知維新の会内部ではパワハラなど問題が相次いだが、浦野氏が代表として対処することはなかった。だがそんな浦野氏は2月13日、日本維新の会の会合で「一部で政策を決めている」と執行部を批判。

かくいう浦野氏だが、これまで愛知維新の会を追われた元党員の声を聞いたことはあっただろうか。現在の維新を物語る象徴シーンといえよう。

和歌山維新県議がボーナスアップ条例に賛成

一方、身を切る改革をめぐるトラブルは続く。

500万円寄付しても離党勧告。

先述した通り、維新の地方組織崩壊が始まった鏑矢といえる林和歌山県議の離党。大雨で被災した紀美野町へ500万円の寄付を行ったが日本維新の会和歌山県総支部から離党勧告処分を受けた。期限までに履行しなかったという理由である。

ところが昨年12月末の和歌山県議会定例会の話。

県知事、副知事また県議のボーナスをあげる条例を可決された。議案は「知事及び副知事の給与その他給付条例の一部を改正する条例」だが、県議も含む。同条例については共産党を除く全会派が賛成。もちろん賛成には維新会派も含まれている。議員報酬の削減は党是であり矛盾した対応だ。

反対したのは共産党だけ。

これに対して内部からの批判が起きた。というのは和歌山市議会でも同様にボーナスアップ条例が提案されたが和歌山維新所属の市議2名は共産党と共に反対したからだ。内部の人事問題も絡み分裂気味という状況である。

自ら条例に賛成した他、林県議の離党処分の当事者である浦平美博幹事長へ説明を求めた。

「昨年、令和6年12月定例会における一議案に対しまして、誤った意思表示を行ってしまい、申し訳ありません。すべて私の失態であります。今後は更に細心の注意を払いながらこれからも真面目に取り組んで参ります。なお、身を切る改革は実行しておりますのでよろしくお願い申し上げます」

また事実上の任命権者で和歌山県総支部副代表、日本維新の会幹事長の岩谷良平衆院議員にもボーナスアップ条例に賛成したことへの是非を質問してみたが回答はなかった。

繰り返すが副代表であり党幹事長である岩谷氏から本件について説明がないのはおかしい。ボーナスアップ賛成は「身を切る改革」の理念に逆行するが党本部幹事長自らが黙認し指導できなかったことになる。

とはいえもとをただせば「身を切る改革」という無理がある取り組みをしなければこのようなトラブルは起きなかったはずだ。

寄付の対象は基本的に被災地、自治体など公共性がある団体、または福祉団体などが望ましいとされる。だが公職選挙法の関係から寄付先は慎重にならざるをえなく選挙管理委員会に確認した維新議員もいた。実に悩ましい制度なのだ。

しかも和歌山、愛知、長崎、富山、いずれのケースも「不履行」というよりは「身を切る改革」を口実にした排除といった方が相応しい。過去記事でも指摘したことだが、「身内(地方議員)を切る」に陥っているのが現状だ。

現在は元国民民主党の前原誠司衆院議員が共同代表となりむしろ混迷を深めているようにしか見えない。党勢回復はまず「身を切る改革」という無謀な制度を廃止することが早道ではないか。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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