大阪・関西万博アンゴラ館の工事費未払い事件。複雑な下請け関係が問題視されたが、四次請けの(株)一六八建設の役員らが昨年9月、建設業法違反で書類送検。また同社経理担当は自身が代表を務める和歌山県湯浅町の建設会社に1億2千万円を送金し、業務上横領で書類送検された。「一六八」とは中国人が縁起を担ぐ番号だ。関連企業を取材してみると中国の影がチラつく。(写真は一六八建設の社屋)
一六八建設の社名は一路発財?

華やかな万博の裏で起きたパビリオンの工事費未払い事件。概況を説明しておく。
昨年11月18日、大阪・関西万博のアンゴラ館工事を無許可で請け負ったとして建設業法違反容疑で書類送検されていたのは一六八建設代表者の児島修、増田誠司、高谷育道。
3人は共謀し、国や大阪府の許可を得ないまま、アンゴラ館の内装などの工事を約1億2200万円で受注。また先月27日には同社の経理担当だった高谷育道が代表を務める和歌山県湯浅町の建設会社に約1億2200万円を送金していたとして横領の疑いで書類送検された。
さて一六八建設という社名を聞いて中国通ならば曰くつきの建設会社と直感したかもしれない。
在日華僑のパーティー。会場のホテルには続々とベンツ、ベントレーといった高級車が並ぶ。こうした場合、168にちなんだナンバープレートが散見される。中国人にとって大きな意味がある数字。道中ずっと繁栄し続ける「一路発財」(イールーファー)に通じることから縁起担ぎによく使用される数字なのだ。
逮捕されたのは日本人名だが、通称名かもしれないし、あるいは中国絡みのペーパー会社かもしれない。一六八建設の代表者ら3名が逮捕されたわけだが無論、彼らが事件の核心部分、首謀者ではないだろう。
パビリオン建設の元請けはスペインの株式会社NOEJAPAN、二次請けの吉拓株式会社、三次請けの株式会社大鵬、そして四次請けが一六八建設である。最終的にA社が実際のアンゴラ館の施工業者だったが、工事代金は未払いになった。NOEJAPANはスペインのイベント会社と言いつつWebサイト上からも中国との関係がにじみ出る。
吉拓、大鵬担当者はなぜ名前を名乗らない?

まずアンゴラ館不払い問題が発覚した当時、建設許可という観点から疑問視する意見が殺到した。通常、1件の請負代金が税込500万円未満の建設工事は「軽微な建設工事」と呼ばれ、原則として建設業許可が不要なのだ。
ところがアンゴラ館工事は億超えの事業。当然、建設許可は必要なはずだが、驚いたことに株式会社NOEJAPAN、吉拓株式会社、一六八建設、いずれの会社も建設許可を有していない。
そのような会社がなぜ入札できたのか不思議だ。自治体の公共入札では参加資格を持つ企業が落札して下請けに発注するということは日常的に行われている。だからといって元請けから5次請けという複雑な関係の合理的説明にはならない。
NOEJAPANのWebサイトを通じて質問状を送付したが返答はない。逆に吉拓と大鵬に取材を申し込んだところ非常に興味深いリアクションだった。
吉拓に連絡してみると不在。後に折り返しがあった。
「吉拓ですが、この番号(筆者の電話番号)から連絡を頂きましたが何か?」と男性の声。そこで取材したい旨を告げる。
「ウチはもう大阪府の調査も受けたし、何も問題はなかったですよ。関係ないです」
当初は落ち着いた受け答えだったが、電話越しの男性の名前を確認すると明らかに苛立った様子だ。そしてその発声は日本人のそれではなかった。
「失礼ですがアナタ様は中国の方ですか」と単刀直入に尋ねたところ、瞬間的に電話は切られた。
これに対して大鵬は女性が応対したが、やはりその発音、発声にひどく違和感を覚えた。
「担当者がいないので」と甲高い声で女性は応じる。担当者名を教えて欲しいと告げるが「たくさんいるから分かりません」という。また「アナタ様のお名前は?」と電話口の女性にも聞いてみたが「答える必要がありますか。答えなければいけないのですか」と拒否する。
こうしたやり取りの中で、吉拓と同様で気になってしまい聞いてみた。
「アナタ様は中国の方ですか」。しばらく沈黙が続く。
「それで何を知りたいのですか」
「アンゴラ館の受発注についてです」
「こちらも分かりません、失礼します」
大鵬も「中国」というワードに拒否反応を示した。
湯浅町の株式会社ギアマックスに送金
ただでさえ元請けと下請けの関係は複雑だ。さらに一六八建設の経理担当・高谷育道は自身が代表を務める和歌山県湯浅町の建設会社の口座に約1億2200万円を送金し横領容疑で書類送検された。闇の深さを物語る事態だ。
報道では各社ともに「湯浅町の建設会社」というだけで社名は報じていない。地元業者によれば建設会社の名は「株式会社ギアマックス」(湯浅町湯浅)だと明かす。同社は2019年10月に大阪市此花区、2024年1月に同市都島区、同年5月に和歌山県湯浅町に移転。付近には同和地区もあるため、マスコミからの追及逃れのための〝ダミー移転〟の可能性も疑ったが、所在地は部落ではなかった。
しかも会社基本情報をみると2008年に湯浅町湯浅で創業している。すでに休眠状態だったことから高谷育道がペーパーカンパニーとして利用していたようだ。
株式会社NOEJAPAN、二次請けの吉拓株式会社、三次請けの株式会社大鵬、そして四次請けが一六八建設、そして実際の施工業者A社に工事費が支払われておらず、A社は告発に至った。
ということは一六八建設が工事費を〝総取り〟したということなのか。それ以前に建設業許可を持たない株式会社NOEJAPANに発注をかけた万博協会の杜撰な管理は猛省すべきだが、そういった反省や総括の声はまるで聞かれない。
そればかりか未払いスキームはまるでグループ化したようにみえるのだ。
大阪バブルの遺産「住之江区ATCビル」に入居する万博企業
大阪関西万博のパビリオン工事でルーマニア館などでも工事費不払いが起きている。東京都港区のイベント会社「GL events Japan」は契約金、着工金を支払ったものの、残金約1億2500万円が未払いだと報じられた。

GL events Japanの大阪事務所は「大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビル」だ。ATCビルとはアジア太平洋トレードセンターのこと。かつて大阪市が約1400億円を投じて建設した商業ビルだが高額な賃料などが原因で経営破綻。大阪南港のバブル遺産として大阪市政に影を落としたハコモノだ。
現在は民間企業の他、大阪市港湾局などの行政機関も入居している。
ATCビルにはアンゴラ館の二次請け企業・吉拓も事務所を構える。GL社とともに万博絡みの怪しげな会社が入っているのは単なる偶然とは思えない。
ATCビル絡みの不可解な会社は他にもある。名古屋市の中日建設株式会社(清水琉蒼社長)は大阪・関西万博の中国館建設工事を受注。だが建設プロジェクトに関し、中日建設も未払い問題が発覚したのだ。
万博問題に関心を持つ在阪の事業者はこう指摘する。
「中日建設の大阪支社と同一の住所にあったエルム(大阪市中央区1‐10‐13)という会社がエムアンドエムという中国との貿易会社と合併しています。その後、エムアンドエムは万博開催前にATCビルに入居しましたが万博閉幕後、なぜか同社は解散したのです。これも万博利権絡みの可能性がないでしょうか」
万博はもちろん国家プロジェクトだ。これだけ衆目を浴びる中で、公然と不可解な事態が起きているのが不思議でならない。万博では不具合だらけの中国EVバスを掴まされ、そして工事費でも日本の事業者が泣いた。1970年の大阪万博は未来や希望が見えたが、今回の万博で見えたのは利権構造である。




https://www.expo2025.or.jp/news/news-20231106-01/
建設業許可の解釈に関して情報が有りました。
これでクリアしたんでしょうね。