「万博首長連合」からの脱退など大阪府内の首長でも異彩を放つ交野市・山本景市長。市民の間では改革派市長で通っているが、過去にはLINE上で女子中学生への中傷、SNS上で保育施設への名誉毀損など問題行為も多数である。9月16日、同市定例会で副市長の答弁中に突如、「命令違反ですよ」などと恫喝したのだ。市長派会派からも〝パワハラだ〟とヤジが飛ぶほどだった。(写真は9月21日『憲法とくらしを考える会』で講演する山本市長)
維新王国の大阪で共産党与党の交野市議会

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大阪府内の多くの自治体で維新が与党化して久しいが府民にとっては〝改革疲れ〟してはいないだろうか。実際に改革であったのかも検証が必要だろう。
2011年、大阪維新の会の公認として府議に当選し、交野市議を経て2022年、同市長選で当選した山本景市長も改革を訴えてきた人物だ。維新から離れたが同市長が掲げる改革も怪しい点が多々ある。
市長職の報酬減額30%を掲げたものの実際は10%程度でその分はボーナスの増額だった。また万博に反対しながらルクセンブルクパビリオンの移設決定などは果たして「改革派」と言えるのか疑問だ。はっきりしているのは地方政治家ながら話題性に事欠かない人物ということ。
活動歴はとても評価できるものではない。2014年にLINEでつながっていた女子中学生に対して罵倒するメッセージを送ったスキャンダルで維新を離党。維新離党後は佐藤ゆかり前衆院議員に接近して活動した。「地元自民支部を頭ごしにして佐藤氏と行動していましたね。ところがそんな佐藤氏とも仲違いをしました」(自民党員)
また2018年、SNS上で保育施設を中傷したとして提訴された。山本氏は原告と和解し陳謝したが、ネットでの軽率な言動が目につく。トラブルメーカーという一方で不思議なことに地元人気は侮れない。かつては支援した黒田実前市長と反目して、2022年の交野市長選で黒田氏を破り初当選。現在は市議になった黒田氏と対立関係にある。
紆余曲折というよりも場当たり的。その都度の政治トピックスに飛びつくスタイルはポピュリズムという言葉が相応しいだろう。ところが過去の騒動に反して地元では意外に人気が高い。〝先進的な改革派〟という見方をされている。
維新→佐藤ゆかり陣営(自民党)という経歴ながら山本市長は共産党、れいわ新選組などの革新会派に支えられているからだ。9月21日は左翼団体の活動家で構成される『憲法とくらしを考える会』のリニア新幹線の反対集会に登壇していた。
「日本共産党が与党の自治体」にも「交野市・山本景」が掲載されている。元維新、自民系という活動歴ながら共産党から支援されるという稀有な人物だ。もっとも共産党自体が弱体化したため「敵の敵は味方」という安易な関係かもしれないが、協力関係にあるのは事実。
「市の福祉移動支援事業であるゆうゆうバス廃止反対運動から、施設一体型小中一体校反対運動で共産党や左派市議と〝連帯〟したわけです」(市関係者)

8月25日に開催された大阪・関西万博の海外館の工事費未払い問題集会では共産党、立憲民主党、れいわ新選組の国会・地方議員に交じって山本氏も出席と『赤旗』が報じた。
万博に対して批判的だった山本氏がパビリオンを誘致するということについて革新陣営はどう考えるのか聞いてみたいものだ。
またもう一点、山本氏の専制を許しているのは公明党会派の体たらくかもしれない。
「交野市には関西創価学園(同市寺)があります。ここは故・池田大作(元創価学会名誉会長)が選んだ場所ということで関西のシンボルという扱いです。ところが最寄駅から遠く学研都市線JR河内磐船駅とJR津田駅の中間に新駅構想が検討されてきました。実はこれは創価学会本部からの厳命であり、地元公明党にとっても重要な政治課題です。このことを察知した山本市長は新駅建設をチラつかせながら公明党をけん制してきました」(同前)
確かに両駅の駅間距離は長く学会だけではなく地元の要望があるのも事実だが「新駅と合わせて進めている土地区画整理事業は極めて困難です」(同)というのが現実だ。しかし学会本部からの指示である以上、公明党議員も実現に向け取り組まなければならない。
共産党、公明党も手玉にとる稀有な市長と言えるが、そのことが正常な市政とは限らない。議会運営でも傲慢さが目立つのだ。
議会中に副市長を〝詰めた〟山本市長

9月16日の交野市議会。自民党系会派「未来創生会」の松本直高市議が質問に立ち冒頭、松本氏は市役所内部でのハラスメント問題を問うた。そして防災対策としてドローンの活用についての質問に移った時のことだ。
危機管理監である山添学副市長が答弁に立ったのだがここで異変。当時、地元住民から「議会中継がおかしなことになっている」「副市長が何かに怯えて〝すみません〟と連呼している」などと情報提供が寄せられたのだ。
視聴してみるとドローンの有用性について副市長が答弁している際に、横から声がかかった。
「はい」と不思議そうに副市長が声の方を一瞥する。すると「すみません」「すみません」、「申し訳ないです」と明らかに動揺した声が流れてくる。さらに「命令違反」という声に「どうしようかなぁ」との声が流れると明らかに副市長は何かに怯えたような態度になった。
坂本顕議長が副市長に「答弁を続けることは可能か」と確認するが中断時間が続く。そして副市長は「言い直して」と答弁を開始した。そしてまた同じ答弁を始めたのだったが、誰の眼にも何らかの〝圧力〟があったとしか思えない。
質問に立った松本市議は「誰に対する答弁なのか分からない」と当惑しつつ対応を批判した。
何があったのか。前出の市関係者が解説する。
「もともと松本市議と答弁調整ができており、副市長はそれを読み上げるだけでした。ところが議会では答弁調整の段階には記載がなかった2行程度の文章が追記されました。ところが山本市長が自分の資料にはそれが書かれていないと突如、怒り出したのです」
傍聴者もこう驚くのだ。
「私も驚きました。市長が突然、〝違うじゃないですか〟〝命令違反だ〟〝議長止めてください〟と騒ぎながら、自分の資料を投げつけたのですよ。ハラスメントの質問があった後でこの態度はないでしょう。さすがに共産党の市議からも〝パワハラやで〟とヤジが飛んでいましたね」
仮にである。山本氏にとって不都合な質問で怒るというのならばまだ不当な行為とは言え、起こりえることだ。しかし答弁の骨子部分でもなければ、市政も議会運営にも全く支障がない文言が追記されたに過ぎない。
「議会の進行を妨げて、しかも副市長を恫喝するような発言をした以上、普通なら市長への問責決議があってもおかしくありません。ところが議長による注意で終わりました。議員たちも市長に逆らえませんしね。これが今の交野市議会なんですよ」(前出市関係者)
市長自ら円滑な議会運営を妨げた責任は大きいはずだ。そして市長を許す革新系会派。普段、見せる批判精神はどこに消えたのか。それにしてもなぜ山本氏はドローンの活用について激怒したのだろう。それも災害対策の一案に激怒するのは不思議だ。
「怒った理由は簡単ですよ。自分の手元の資料には書かれていなかったから、それが〝無礼〟だというのでしょう。とても狭量です。だからこそこれまで離合集散を繰り返してきたわけです」(前同)
地元ではクリーンで若手改革派のイメージが浸透しているが、果たしてそれは実像か虚像か。次回は市内の有力工務店との関係を通じて山本市政を検証していく予定だ。