今回は大東市にやってきた。ここには2つの部落があり、いずれも元は農村にあった。そして、その後都市化して今に至っている。
野崎は戦前の記録では138戸と既にそれなりの戸数であった。過去の航空写真では比較的家が密集しており、農村型というよりは地方都市労働型部落に近かったのではないかと考えられる。
最寄り駅はJR野崎駅だが、自動車でアプローチするなら、この府道20号線沿いのキリン堂が目印になるだろう。
他の大阪の衛星都市部落と同様、「野崎」が部落というわけではない。野崎はここからもっと東側の野崎観音のある辺りであり、明治時代の地図ではこの部落は「下」という名前で記載されている。昭和初期の地図では「蓮原」となっている。
ここが部落のお寺で、浄土真宗本願寺派である。蓮原という地名は今は見られないが、「蓮光寺」という名前は蓮という字が共通しているので関連しているのかも知れない。
なお、この寺は大正時代以前の地図にはない。当時は寺ではなく「道場」だったのだろう。
寺の近くに老人憩の家がある。この辺りは明治時代には田畑だった。本来の部落はJRの線路に近い側である。その後、昭和初期までに寺の辺りまで住宅地が広がった。
住宅地の中に何箇所か市民農園のようなものが有り、決まって「大東市所有地」という黄色い標識がある。
これは、やはりここが昔からの農村だったことを示しているのではないだろうか。都市化してしまっても、何となく畑仕事をしてみたくなってしまうのだ。
公園が何箇所かあり、道路や歩道がきれいに整備されている。
一見すると都市に飲まれているように見えても、田舎特有の気質がまだ残っているというような話も。
実は野崎には10年くらい前に来たことがある。その時に訪れたのがこのビル。全日本同和会大阪府連合会の本部である。その時に中に入ったことがあるが、建設会社の事務所のような感じだった。
大東市と言うと、全国でも珍しく、同和団体の中でも全日本同和会が強い力を持っている。同和事業が始まった最初の頃は、全日本同和会が大阪の各地で活動されていたのだが、解放同盟によって事務所の電気や水道が止められる等の嫌がらせを受け、次々と「粉砕」されてしまったということだ。しかし、大東市では粉砕しきれなかったのだろう。
そのような大東市で有名な同和事業にからんだ不祥事と言えばこれもまた10年ほど前の「ヒューネットだいとう事件」だろう。事実上の同和行政の窓口団体である「大東市人権教育啓発推進協議会」(通称「 ヒューネットだいとう 」)があったのだが、その常勤職員とされる中野由雄という人物に給与が支払われ、その財源が大東市の補助金だったのだが、実際は職員の勤務実態がほとんどなかった。また、大東市が公費で雇ったアルバイト職員を全日本同和会に派遣していた。
そのために共産党系団体から住民監査請求と住民訴訟を起こされ、大東市は中野氏、当時の市長、ヒューネットだいとう、全日本同和会に不当に支出された公金の返還を請求するように命じられた。
ここが人権文化センターつまりは隣保館である。
公園は賑わっていた。通勤時間帯のためか、人通りも多かった。ここは野崎駅までの通り道なので、周囲の住民が普通に通勤のために通っていくのだ。
掲示物で同和を思わせるのは、大東市人権室の「STOP!コロナ差別」くらいか。
ガラスが曇っていて読みにくいが、解放新聞が張り出された建物があった。ここは解放同盟支部のようだった。野崎には解放同盟もあるのだ。大東市では過去に市役所の納税窓口で大阪市から来た人が「こんな部落の町」と発言したことが問題となり糾弾会が行われたことがあった。また、全国連が活動していた形跡も有る。
現在、これらの団体が表立って対立状態にあるようには見えない。
最後に共同墓地を訪れた。
やはり、浄土真宗が多い。
この墓地自体は昔からあるが、後に再整備されている。また、見たところでは部落以外の墓も含まれているように見える。
部落のメインストリートから一本北の通り。ここが部落内に該当するかは微妙なのだが、より活気があるように見えるのは、ここはもともと住宅がなかったので、新たに商店を建てやすかったからだろう。
すっかり解放されて発展していってるようにしか見えませんね
同和団体もその役目を終えたのでしょうかね
それが、全然役目を終えてないです。しっかりと建物があることから察してください。
守口、野崎とくれば次は寝屋川(水本村)ですか。
民権連の牙城だそうですね。行ってみたいです。
本市では、野崎まいりの期間中に、毎年、5月1日から5月4日にかけて市民に自ら人権について身近に考えていただくとともに、より一層の人権意識の高揚を図るため「人権パネル展」を開催しています。
今年は、日本初の人権宣言と言われる「水平社宣言」から100年にあたることから「部落差別問題(差別戒名等)」をテーマに、1984年に開催した第1回人権パネル展「差別戒名を考える」を通して、歴史を振る返りながら、今なお存在する部落差別などの人権問題について考えます。
・日時:令和4年5月1日(日曜日)~4日(水曜日・祝日) 午前10時~午後4時
・場所:野崎観音会館(野崎観音慈眼寺境内、大阪府大東市野崎2丁目7-1)
JR学研都市線「野崎駅」から徒歩約12分
・料金:無料
・主催:大東市、人権啓発ネットワーク大東
協力:野崎観音、差別戒名を考える会