昨年、佐賀県では高校生が全国部落調査の復刻版をメルカリに出品したところ、県に事実上謝罪させられた上書籍を没収されるという児童虐待事案があった。そこで、佐賀県の部落についてはより一層の理解が求められるので、実際に訪れて研究することにした。
ちなみに、全国部落調査がメルカリで売られた経緯は、以下の通りだそうである。
それはさておき、佐賀県の部落は少なく、戸数も多くない。その上未指定地区が多い。今回訪れた佐賀市久保泉の部落も未指定と考えられ、1935年の記録では赤井手という11戸の部落であったという。
現地には運転免許試験場等の警察の施設があり、ここの部落があるとは言われないと気付かない。ただ、林に囲まれた一角は、どことなく池辺の部落のような雰囲気を感じさせる。
大きな木があるということは、ここは昔からの村で、比較的土地があったことを示している。
ただ、空き地・廃墟が多い。高齢化しており、住民が減っているようだ。
ここには「七面神宮」という神社がある。
事前の調査で、佐賀県の部落は日蓮宗との関係が深く、番神堂があることが多いことを知っていた。島原の乱の時、部落の人々が弾除けにされ、その恩賞として日蓮宗への入信が許されたという伝承がある。そのため、佐賀県には部落が少なく、そこには法華経の守護神である番神が祀られているのだという。
住民に聞くと、現在のところ住民の宗派は様々で誰もが日蓮宗というわけではないというが、七面天女も間違いなく法華経の守護神である。そして、後で知ることになるがこの七面神宮の作りは他の部落で見られる番神堂とよく似た作りである。
今でこそ川久保という地名だが、確かにここは赤井手と言われていたという。
大きな軍人のお墓があるが、これはよそから来た人だという。
そして、もう1つ気になったのは食肉業者の存在である。佐賀の他の部落でも食肉業者がある、あるいはあった、または屠畜を行っていた形跡がある。これは偶然ではなく、何が理由があるのだろう。今後の佐賀県内の探訪ではそれにも注目されたい。
佐賀と言えばみかん。近くの無人販売所があったので買った。さすが生産地だけあって、筆者の近所の八百屋の半値以下である。