曲輪クエスト(48)鳥取市 吉岡温泉町谷山(後編)

カテゴリー: 曲輪クエスト | タグ: , | 投稿日: | 投稿者:
By 宮部 龍彦

今年の5月、朝日新聞に『けがれる…獅子舞参加を許されず 「同じ氏子」と訴えて』という記事が掲載された。

「同じ神社の氏子でありながら、「けがれる」として最近まで獅子舞への参加を許されなかった被差別部落が西日本にある」と、具体的な場所を伏せて、「部落差別」の事例として報じていた。しかし、同様の趣旨で具体的な地名を記載した記事が部落解放同盟関係団体の雑誌『ヒューマンライツ』に掲載されていたことから、その地名が鳥取市吉岡温泉町谷山であることが特定されたことは、先日書いた通りである。

そこで、実際に現地に獅子舞を見に行こうとしたのだが…。



奇しくも獅子舞が行われる10月21日は台風が近づいており、旅館では宿泊客のキャンセルが相次ぎ、温泉街は閑散としていた。嫌な予感がしつつも、獅子舞が行われるという吉岡神社に行ってみたが、誰もいなかった。旅館に戻ると、獅子舞は11月4日に延期になったとの報が入ってきた。

住民によれば、獅子舞は温泉街ぐるみでやっているというよりは、一部の人でやっているような状態だという。祭りと言っても、文字通り神社の儀式で、それ以上でもそれ以下でもないという感じだ。

「獅子舞は今はやり手が少ないけ、やってくれんかと頼むだけども、なかなか引き受けてもらえん」

と住民は語る。しかし、それは嘆いているというより、どこか他人事のようだ。

仕方ないので、温泉と料理を堪能して帰った。

当然、これで諦めるわけにはいかないので、再度11月4日に来てみたのだが、この日も雨模様。獅子舞はどうなったか聞いてみると、前日にやってしまったのこと。運が悪かった。

麒麟獅子舞は観光資源として一時期鳥取市が売り込んでいたのだが、いつどこで行われるのかほとんど分からない。村ごとに取り組みの度合いにも温度差があり、大雨になろうが決行するところもある。

仕方ないので、「はやし焼肉ホルモン店」でホルモン焼きうどんを食べた。この店のホルモンは非常に旨いので、吉岡温泉に来たら必ず立ち寄るべきだろう。ここで、朝日の記事に出ていた「地区の男性(61)」、つまりは部落解放同盟谷山支部長の居所を聞くことができた。支部長は谷山の奥にある牛小屋にいるという。

谷山をさらに上に上がると、老人ホームがある。ちなみに、吉岡温泉から高速道路のインターチェンジや市街地に抜けるのにも、この道が便利だ。

ここがその牛小屋。ご覧の通り、同和対策で作られていることを隠していないというか、むしろアピールしているような施設だ。

支部長に会うことは出来たが、「牛の出産があるから、忙しくて話はできない」ということだった。「では、時間がある時でよいので」というと、「あんたとは話が合わんと思う」と返された。要は「取材拒否」ということだろう。それでも、いくつか質問に答えていただくことができた。

この谷山畜産団地では、肉牛や乳牛を育てているのではなく、牛の繁殖を行っているという。つまり、ここで生まれた子牛を各地に出荷しているわけである。なので、さきほどの「はやし焼肉ホルモン店」のホルモンは、ここの牛を使っているわけではないのだ。

さて、問題の朝日新聞の記事については「あれは自分の考えを述べたもの」だそうである。

実は、筆者がツイッターや本サイトで部落の場所を特定したことについて、後で東京法務局からやんわりと削除要請の電話がかかってきた。そのことについて覚えがないか問うと、「あれは問題があると思ったから、法務局に相談した」ということである。それでは、ヒューマンライツ等の記事は問題ないのか問うたが、それについては答えてもらえなかった。

さらに記事に出てくる「氏子総代長(59)」にも話を聞いてみた。しかし、谷山のことについては「寝た子を起こしたくない」ということで、あまり話をするのは気が進まないということだった。

「やっぱり谷山というのは、別の村という感覚なんですか?」

と問うと、

「それはちょっと話せない」

といった感じだ。

朝日の記事については、朝日新聞の記者から記事にしたいと電話があったが、結局地域を特定しない形で記事になったのはやはり「寝た子を起こしたくない」のが理由だという。谷山でも獅子舞を舞うようになった経過については言葉を濁ししつつも「ある2人の人物が相次いで亡くなったこと」が関係しているという。

吉岡温泉の世帯数は100戸以上あり、それに加えて谷山まで1戸1戸獅子舞を舞うことができるのは、吉岡温泉では村の中での獅子舞はかなり形を凝縮して、1~2分程度で舞ってるからだそうだ。

それにしても、当の住民が「寝た子を起こすな」という考えで、ましてや解放同盟の支部長が削除のために法務局に相談するような話なら、全国紙の記事になることで、いったい何を期待していたのか、意味の分からない話である。

ちなみに、吉岡温泉のもう1つの名物と言えば、この「凝煎飴ぎょうせんあめ」である。米と麦芽を発酵させたものを煮詰めた、正統派水飴である。そのまま割り箸に巻きつけて食べてもよいし、お湯で溶かして飴湯にしてもよい。旅館でお土産に欲しいと頼めば、どこからか持ってきてくれる。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

wp-puzzle.com logo

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)