学術・研究:部落探訪(43) 栃木県小山市城北、駅東通り

カテゴリー: 部落探訪 | タグ: , | 投稿日: | 投稿者:
By 宮部 龍彦

部落問題と言えば西日本であって、関東ではほとんど聞かないと言われる。しかし、関東でも北関東には部落が多く、なおかつ同和行政も活発だった。隣保館の分布を見ると、そのことがよく分かる。ただ西日本に比べると大規模な部落は少なく、運動団体も1つにまとまらなかった自治体が多い。

そんな北関東でも比較的規模が大きな部落が、今回訪れた小山市の部落である。

部落はかつて「稲葉郷」と呼ばれた地域の東側にあり、「東町」と呼ばれた。現在はほとんどの場所が「城北じょうほく」、「駅東通り」等に改称されている。

1935年当時の世帯数は121、人口は781であった。

ここが部落のメイン通りとも言える県道339号線。1980年代に作られた。ご覧の通り、飲食チェーン店やレンタルビデオ店、スーパーマーケット等が立ち並び、典型的な北関東の地方都市の様相である。とても部落には見えない。

ただ、道の脇に気になる住宅が見える。これは、非常に古いタイプの公営住宅で、関東の農村部に作られたものだ。

この地域は1980年代までは田園風景が広がっていた。城北はほとんどが田畑で民家はあまりなかった。駅東通りの辺りが部落の中心だった。

それが、90年代に急速に都市化。今のような風景になったのは、21世紀になってからである。

関東の部落にはよくある白山神社も駅東通りにある。神社の前の畑にはサトイモが育っている。

この白山神社は、社務所もある立派な神社だ。

1992年に発行された「栃木県部落解放運動の歩み」によれば、稲葉郷の起源は、平将門に仕えた者が藤原秀郷との戦いで負けて、捕らえられて連れてこられたとの伝承があるという。ただ、「史実かどうかは定かでない」とする。

こちらは、同和対策で作られた城北集会所。「いきいきふれたいセンターあじさい」という老人施設を兼ねている。もはや同和という雰囲気は見られないが、れっきとした同和対策集会所で、「同和問題の根本的な解決及び基本的人権が尊重される社会の構築に資するため、住民の教養の向上、健康の推進、生活文化の向上等を図る場及び人権教育、人権啓発、人権意識向上等の推進の場として」存在している。

集会所の近くには線路がある。これは東光高岳専用線という工場の製品・資材運搬用の線路で一応現在でも使われているようなのだが、草が伸び放題で線路脇は畑になっている。

さらに部落を散策すると、ここが最近まで農村だった形跡をあちこちで見ることが出来る。新しい住宅があちこちに立ち並んでいる一方で、農村にありがちな臭突のついた住宅が混ざっている。

古い公営住宅が非常に多く見られ、早くから同和事業が行われ公営住宅が建設されていたことが分かる。

一方で、立派な屋敷も多い。県道339号線沿いを注意して見ると、道路に面した大きな民家がいくつもある。その表札のほとんどは「松本」「松島」「松嶋」であり、古くからの住民の家であることが分かる。

部落とはいっても、小山駅のすぐ近くである。急速に都市化したことで、古くから土地を持っていた農家は、裕福になったことが伺える。

田畑をつぶしてアパートを建てれば、大いに収益が得られるだろう。

アパートに囲まれたプレハブが…これはもしや?

年季の入った全解連(全国部落解放運動連合会)の事務所だった。青いテープには「全国地域人権運動総連合 栃木県地域人権運動連合会「人権連栃木」」と、改称後の名前が書かれている。

残念ながら、訪れた日は休日だったためか、誰もいなかった。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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学術・研究:部落探訪(43) 栃木県小山市城北、駅東通り」への17件のフィードバック

  1. 名無しの組織内議員

    加須、小山と北関東シリーズは興味深いですね。東北や北陸とともに部落探訪記があまり書かれなかった地域であり、貴重な記事だと思います。

    いつか前橋市粕川町込皆戸もお願いします。坂本嘉根央・坂本正人父子の出身地区です。

    返信
    1. 鳥取ループ 投稿作成者

      誰かと思って検索したら、親子でそれぞれ殺人ですか。それはそれで凄い話ですね。

      返信
      1. 名無しの組織内議員

        清原和博に覚醒剤を提供した小林(通称「シャブばばあ」の息子)の住所は群馬県みどり市笠懸町阿左美で、ここは「群馬県内被虐部落の分布」に載っている地区です。小林の場合は、親子揃って覚醒剤の密売人。小林姓は群馬県や埼玉県の部落に比較的多いですね。

        返信
    1. 鳥取ループ 投稿作成者

      新座市の今村敬さんって豊田真由子の旦那なんですか?
      中森部落はストリートビューで見ると、田舎の佇まいが残っていてよい感じなので、いずれ行ってみようかと思います。

      返信
      1. 済州島の珊瑚

        鬼女板の過去例として当たっていると思う
        単なる偶然の一致とは思えない

        返信
  2. Ryo

    以前、栃木県の同和関係の書籍情報を伝えたことが有る者です。

    鳥取ループさんに質問なのですが、栃木県は県南地区に同和地区が多く、探すものも容易なのですが、逆に宇都宮に関しては非常に曖昧で情報を得るのに苦労しています。(全く無いわけではないですが、市の大きさと比較して、同和地区が少な過ぎる)

    これは

    ・元々同和地区が少ない(同和wikiを見ると同和対策をしていない地区となっていますが、
    宇都宮の同和地区関連資料を調べると、対策をしてきた節がある)

    ・同和地区と特定される様な名称(集会場、隣保館等)を使用していない

    等、色々考えています。

    何かご存知でしたら、ご教示頂きたいです。

    因みに、部落と思われる地区の周辺には、白山神社でなく、稲荷神社が多い事が分かってきました。

    よろしくお願いします。。

    返信
    1. 鳥取ループ 投稿作成者

      すみません、私も最強サイトである同和地区Wiki以上のことは分かりません。
      おそらくRyoさんの方が詳しいと思います。
      小山の人権連に行くと、何か聞けるかも知れません。

      返信
      1. Ryo

        ご返信ありがとうございます。

        小山の人権連に行って聞いても、教えてくれるものなのでしょうか?

        イメージとして、部外者に対して排他的なイメージがある為、躊躇しています。

        返信
        1. 鳥取ループ 投稿作成者

          案外教えてもらえるのではないでしょうか。
          排他的かどうかは地域によりけりです。

          返信
  3. ワールドエリアネットワーク

    小山市は韓国人・朝鮮人の割合が栃木県の自治体でダントツで一番ですが、在日朝鮮人の血が流れた人の集住地域のようなところはあるのでしょうか?
    もしあるとしたら朝鮮学校の周辺や部落地域ですかね?

    返信
    1. 鳥取ループ 投稿作成者

      とりあえず、本が売れたり、アフィリエイトの利益は出ております。

      返信
  4. 影丸

     部落探訪を興味深く拝見させていただいています。
     仕事の関係で一時期栃木県下都賀郡国分寺町柴並びに小山市駅東に住んでいたことがあります。懐かしいですね。学生時代から部落問題には関心がありましたが、偶然にも自分が同和地区に住んでいたとは何かの因果を感じます。ただし同和地区といってもただの田舎町です。とくに国分寺町柴には「ここらには被差別部落がある」と土地の人に言われた経験がありますが、地区が広くさっぱりわかりませんでした。そこで、国分寺町柴の部落探訪を希望します。
     宮部さんの部落に対するご意見にすべて賛同するわけではありませんが、結婚差別については支持したいと思います。

    返信
    1. 鳥取ループ 投稿作成者

      確かに少戸数ですが下野市柴に部落があったようです。旧名は盆田谷、東浦。
      しかし、白山神社らしきものがないので、これは特定は難しそうですね。
      様々な文献をあたってみる必要があります。

      返信
      1. 影丸

        東浦については戸数が少ないために特定するのは非常に困難かとおもいます。一方、盆田谷については戸数があるので、候補になる箇所が3~4か所程度あります。しかしどこも決め手に欠けます。国土地理院の古地図にも「盆田谷」の表記は見当たりませんでした。難しいかもしれませんね。都市化が進むような地域では「全国部落調査」の記述だけでは、「被差別部落民ある」ことを個人レベルまでに特定するのは無理があります。ただし、過疎化が進む地方では違う側面があるかもしれません。これも、人口減少が進む日本においては、ある意味、時間が解決するのかもしれません。

        返信
  5. R

    数年前のコメントにありましたが、宇都宮の場合は部落と無関係の白山神社が多いのでしょうか?

    返信

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