「胸触っていい」などとテレビ朝日女性記者へのセクハラ疑惑が報じられた財務省・福田淳一事務次官が18日、辞任を表明した。このセクハラ報道以降、福田氏そして麻生財務相の責任を問おうと「#MeToo」(ミートゥー/セクハラ体験の共有・告白)を掲げ、野党議員や活動家たちが抗議を続けている。目下、その怒りの矛先は政権、財務省に向けられているが「報道機関」自体の責任は不問なのか? ただ漫然と「セクハラ」と騒ぐ前に報道機関の「取材方法」も自省すべきだ。
このところSNS上で「#MeToo」のハッシュタグをつけた投稿が散見される。フリージャーナリスト・伊藤詩織さんが元TBS記者からの性的暴行を告発して以来、MeToo運動は広がり始めた。また海外を見ると米ハリウッドではプロデューサーらからセクハラを受けたとして、女優・モデルらが続々と告発の声を挙げている。今やMeTooは世界共通語になった。
で、例によって騒動あるところに活動家と市民あり。セクハラ抗議集会、シンポジウムの類が盛況なのだ。4月23日、衆議院第一議員会館で「セクハラ被害者バッシングを許さない!4・23緊急院内集会」が開催され、議員・市民ら約200名が抗議の声を挙げた。なにしろ開会前から異様な熱気を帯びている。体全身からフェミニズムのオーラを発散する女性活動家は、たとえ同性であっても心許さずといった雰囲気。そして案の定、高齢者が目立つ。いつも通り「アベ政治を許さない」などのグッズを身にまとう人々だ。要するにセクハラへの問題意識とは無関係でテーマが脱原発だろうが、反戦、森友だろうがやってくる人々。しかもこの日はTPP交渉の情報公開を求める院内集会が行われている。TPP集会から流れてきた参加者も少なからずいた。ただし市民や活動家はとても“浮気性”だ。2週間もすればセクハラ熱は冷めて、また別の怒りの矛先を求めるだろう。
こんな風に会場を観察している矢先、なぜか突如として奇声を発し替え歌を絶叫する高齢女性あり。本誌でも過去紹介した「森友疑惑に かこまれて 静かに眠れない」の節で始まるブルー・シャトウを高らかに歌う。そして
♪ 絶対絶対許さない セクハラ事件は許さない 麻生は辞任だ許さない みなさん頑張りましょう
『リパブリック賛歌』(ヨドバシカメラCMソングのあれです)に合わせて熱唱する。さすがに反体制、反セクハラの同志とは言えども
「もうその辺にしたら」「いいよぉーもう」
周囲からはこんな声も漏れてくる。個人的にはこれほどオイシイ場面もないが、まともな運動家や参加者にとっては厄介な存在かもしれない。この手の集会にはどこからともなく全国ビックリ人間が紛れ込むものだ。気の毒だが現状の市民運動が社会で広く理解・認識されているとは思えない。その理由は運動が奇人変人ショーという側面もあるからだ。そこをいくと「MeToo運動」は社会でどう映っているのか。今後のMeTooを注視していきたい。
そして本論だ。会はジェンダー研究家の中央学院大・皆川満寿美准教授、AERA前編集長・浜田敬子氏、新聞労連・小林基秀中央執行委員長らが登壇し、問題提起やセクハラ対策、取り組みなどの報告を行った。小林委員長からは「セクハラは人権侵害財務省は認識せよ」(4月18日付け)との声明文が紹介された。次いで各会派を代表して立憲民主党・大河原雅子衆院議員、社民党・福島瑞穂参院議員、民進党・神本美恵子参院議員、共産党・吉良佳子参院議員ら国会議員がスピーチに移る。この日、黒いスーツを着込んで登壇した女性議員たち。珍しくノースリーブで登場した福島氏は「福田事務次官がいまだに全体的としてはセクハラでないと言い、麻生大臣はセクハラかどうか分からないと言っていることが二次被害を生み、被害者を傷つけていることに怒っています。インターネット上の二次被害もひどいです」と訴えた。
議員らのスピーチが終わるとパフォーマンスへ。「#with you」と書かれたプラカードを掲げ集記念撮影。これで大団円を迎えるというわけだ。なにしろ“写真映え”はするから、SNSで瞬く間に拡散されていく。翌日この集合写真を交え、複数メディアが同集会を報じた。当然のことながら蔓延するセクハラに女性たちが声を挙げた、という趣旨である。社会的に弱い女性が抗議して、弱者に寄り添うメディア、お察しの通りの流れだ。政府、行政VS反セクハラ、こういう図式が露になったわけだが、しかしこの集会で一切、触れられていない問題がある。それは報道機関自身の問題点だ。
女性記者のセクハラ事例を検証してみた
福田事務次官の新聞労連内の女性集会などの取り組みも紹介された。通常、若い記者の場合、いわゆる「サツまわり」(警察署で情報収集)が主な取材だ。だから集会でも警察関係者からのセクハラ行為が話題に挙がった。またこれ以外でも様々なセクハラ事例が報告されている。いくつか抜き出してみる。
・居酒屋で取材相手から胸を触られた。今でも怒りがわいてくる。
・タクシーの車中で取材先に手を握られたり、キスをされたりした。取材先にマスク越しにキスを求められた。
これらなど特に悪質な実例だ。明らかにセクハラと言えるだろう。一方で
・取材先で1対1で話しただけで恋愛感情を持たれる。
恋愛感情を持つことが果たしてセクハラなのか。そもそもなぜ恋愛感情があると感じたのだろう。逆にジャニーズ系の若い男性記者を女性の取材先が“若いツバメ”とばかり関係を迫る。こういうケースもありえるだろうが、これはセクハラとして問題になるのか。またセクハラ問題とは別で記者が取材先に好意を持つこともありえるだろう。この点については別の教育・啓発が必要だと思う。ちなみに今回の被害例にはなかったが、セクハラの実例として「女子力」というキーワードがあった。「女子力が高い」と言われてもセクハラと感じ、「女子力が低い」と言われてもセクハラと感じるそうだ。そもそもこの「女子力」とはコスメ製品、小物、雑貨などの購買意欲を高めるマーケティング用語だ。新聞、テレビでもたびたび取り上げられている。メディア自身が「女子力」という言葉で消費を煽り、かたや「セクハラ」の原因にもなっている。皮肉なものだが、ここに矛盾を感じないものか。
・取材先からチークダンスの強要がある。後輩が迫られた時には、自分に振られるのが嫌で見過ごした。
チークダンスという時点でオヤジ趣味を感じる。どういう年齢層の取材先か察しがついた。ただ取材相手とチークダンスというシチュエーションが謎だ。議員事務所や役所の一室で相手が「チークダンスを踊ってくれないなら取材に応じないぞ」とゴネるシュールな状況でもなかろう。懇親会やパーティーの席上と思われる。議員や自治体幹部がノネナールを発散しながら若い女性記者の腰に手を回す光景。容易に想像できる。ただ疑問も感じた。普段、「反体制」「権力のチェック」という旗を振りかざす人たちが目の前の「理不尽」に沈黙している。もしチークダンスを強要してきたのが政治家や官僚ならば、「反権力」を発揮するに十分だ。
・取材先との飲み会の2次会で、男性と2人きりになった。既婚者だったし、ただの取材相手なので、何も気にしてなかったが、体を触れられたほか、酔ったふりをして太ももやお尻を触られた。後日上司に言ったら笑われて終わった。
「取材先との飲み会」しかも2次会まで。実は合コンではないかという気もするが、ともかくセクハラ現場は「酒席」「宴席」という状況が目立つ。余談だが弊社の場合、取材者との接触は「●●IC出口付近」「湖のほとりの公園」「県図書館の郷土資料コーナー」といったゴルゴ13的な接触パターンが多い。そこをいくと全国紙やキー局の記者たちはより大きなステージで取材活動をしており、時にはパーティーや懇親会ということもあるだろう。それは仕方がないことだ。しかし裏返すと政治、行政といった取材先との「一席」は慣れ合いや癒着を生むのでは? 双方の緊張感を保つためにも、セクハラに限らず取材のあり方を再考すべきだ。
セクハラ事例で見たハニトラ取材の常態化!?
若い女性記者に欲情する取材先があることは分かった。その上で報道機関のスタンスについても問うておきたい。先の事例では身体の接触を上司に相談したところ笑って終わったという。社内的な問題は他にもある。
・うまくいなしてネタを取ってこいというのが社にも上司にも根強く残っている。自分もうまくセクハラ相手を利用してやるぐらいに思っていた。
・社内外でセクハラで有名な人が幹部になっている人が多く、訴えても意見が通らないのではと感じる。
・所属長から「女を使ってネタを取ってこい」と言われたことがある。
・テレ朝同様の件で、若い記者からセクハラを受けたことについて記事にしたい、という相談を受けたことがある。所属長らに声を上げたが、結果的には無視された。(当事者ではないが記者コラムの形で掲載した)
・「女を使ってネタを取ってきている」と周囲に言いふらされた。
女を使ってネタを取ってこい。まるでハニートラップまがいの色仕掛け取材だ。これを上司が推奨していることになる。こうしたハニトラ取材が常態化していることの証左ではないか。セクハラ被害を訴えつつ、同時に報道機関のグレーな取材方法を暴露してしまっているわけだ。しかも事例を見ると報道機関内部にもセクハラで有名な幹部が存在する。
それに従来から女性記者へのセクハラが顕在化しているというならば、福田報道以前から問題提起すべきだ。ところがそれ以前は沈黙しつつ、今になって堰を切ったように「セクハラ」と騒ぎ出す。状況が有利になった途端に反論し出すのもいかにも日本の報道機関らしい。
そこで新聞労連に従来から女性記者へのセクハラが存在していたにも関わらず、なぜ4月18日のタイミングで声明を出したのか。これは福田問題が発覚して、世間が反セクハラのムードが高まったからそれに便乗したのではないかという疑問があったからだ。また報道機関内部のセクハラに対してどう対応していくのか。この点について聞いてみた。なぜこの時期に声明を発したのか、についてはこう回答があった。
「18日に出した声明は、福田次官がセクハラを行ったかどうかに関するものではなく、セクハラ疑惑に対する財務省の調査が、「セクハラは人権侵害」だとの認識に欠けていることへの抗議と、セクハラ被害から記者など社員をしっかり守るよう報道機関に求めたものです。これまで新聞労連は1990年代からセクハラ対策に継続的に取り組んできております。女性集会もその一環です(今回の女性集会は福田次官の問題が発生する以前の昨年から準備してきたものです)。今回は福田次官の疑惑報道により、私たちの取り組みが急にメディアから注目を浴び、多くの取材依頼をいただいているところであり、戸惑いも感じております。今回のことを契機に、改めて新聞労連として何をすべきか、何ができるかなどについて協議しているところです」
ということだ。また女を使ってネタを取ってこいなどのセクハラ取材について、今後メディア業界がどう取り組むかについてどう考えているのか?
「私たちは労働組合であり、新聞社の経営陣に対して改善を求める立場です。「業界としての取り組み」に該当する団体があるとすれば、日本新聞協会だと思われます。私たちとすれば、新聞労連に加盟する各労働組合が各社との団体交渉を通じて、取材先、取引先、同僚からのセクシャルハラスメント被害をなくす、発生した場合は被害者を徹底的に守る仕組みについて質していくことになると思います」
という説明だった。経営者に改善を求めるということだったが、被害例を見ると報道機関内部にもセクハラ幹部や社員がいる。まず社会にセクハラを問う前に自身の体質、そして「色」をちらつかせる取材方法を問うべきだ。色仕掛けをしてまで情報を入手するのか、あくまで正当な取材を貫くか。どちらが“ジャーナリズム的”なのか。こういう議論も必要だろう。ただMeTooの連呼では、今回の報道機関におけるセクハラは一時的な“大きな声”だけで終わってしまうはずだ。
お葬式の時に泣く、泣き女同様、怒り女登場ですねぇ。
日弁連の動きと連動しているのは、日弁連から何かもらっているんでしょうね。
>余談だが弊社の場合、取材者との接触は「●●IC出口付近」「湖のほとりの公園」「県図書館の郷土資料コーナー」といったゴルゴ13的な接触パターンが多い。
不覚にも笑ってしまいました。すみません。
米国のフェミニズム運動の動画を調べると、日本の右翼団体が街宣車で
妨害活動をするのと同じような事をしています。
下記、英語わからないですが、すごい事をしゃべっているようです。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=7&v=nvYyGTmcP80
ただただ、女性を保護する事を名目にしたお金のあつめのためにある団体と化しているようです。
米国のDVシェルターもDVがあったかどうかは問題にしていないようで、日本と同じです。
米国のフェミニズムは日本にそのまま輸入されて、政治団体の資金集めで利用されています。
精神障害で働けない女性や、外国育ちで仕事がない女性が、
生活の糧にやっているという所もあるのかもしれません。
高齢者を利用するのとおんなじ構造です。