辺野古新基地建設に反対する運動を支えるために2015年に創設された「辺野古基金」。支援先は名うての活動団体が揃う。基金の支援先にはヘリ基地反対協議会や新外交イニシアティブ(ND)も確認できた。辺野古基金事務局にヘリ基地反対協との関係を取材してみたところ「私たちは関わってない」との一点張りだ。(写真=国連で演説する玉城知事)
左翼活動家群島「沖縄」
【辺野古沖転覆事故】左翼活動家天国! 新外交イニシアティブが沖縄県から随意契約6年7800万円の怪
沖縄の政治闘争に群がる左翼活動家たち。しかも闘争のための受け皿団体、公共事業、基金が用意されている。沖縄の特殊な政治状況はいわば「左翼活動家群島」といった様相だ。
「沖縄県ワシントン事務所」設立の関与が指摘される新外交イニシアティブが令和元年から令和7年の間で合計7800万円もの平和関連事業を受注していた。
また辺野古沖転覆事故で同志社国際高校の修学旅行の手配を行った東武トップツアーズも同種の事業を県から受注していたが、共通しているのは、いずれも「知事公室」発注の事業だという点だ。
知事公室の事業実績をみると令和元年(2019年)から特定の活動団体への発注が増加している。「発注」というよりもむしろ「助成」といった印象だ。
翁長前知事の急逝を受けて行われた2018年の沖縄県知事選で玉城デニー氏が当選した。このことを考えると玉城県政になってから平和ビジネスは深まったかもしれない。
新外交イニシアティブをめぐってはまだ見逃せない関係人物がいる。2019年4月28日、新外交イニシアティブ理事で、また新時代アジアピースアカデミー(NPA)の理事を務める徳森りま氏が「沖縄『屈辱の日』を問う4・28京都集会」に登壇。
前年の沖縄県知事選で玉城陣営のスタッフとして活動したことを語った。


同氏が沖縄事務所長を務めた「一般社団法人子ども被災者支援基金」(山形県)は2019年、玉城知事の政策諮問機関「万国津梁会議」の支援業務委託を約2400万円で受注。
なお同基金の代表理事である鈴木理恵氏は新外交イニシアティブの監事でもある。いずれも玉城知事と近い団体、人物たちだ。
玉城知事〝反日国連演説〟も県費680万円
徳森氏が理事を務める新時代アジアピースアカデミー。同団体では、いわゆるマイノリティ研究で知られる恵泉女学園大学名誉教授の村井愛子(内海)氏が代表理事を務め、同大教授の上村英明氏も理事に名を連ねる。
上村氏は2022年7月、新時代アジアピースアカデミーの代表理事に就任。2024年に村井氏が代表理事になった。上村氏はNGO市民外交センターの代表者でもあり、沖縄県の事業に関与。2015年、上村氏は徳森氏とともに翁長前知事の国連演説をサポートした。
同団体は、沖縄県民を先住民族と位置付ける発信を続けてきた団体だ。沖縄県はそうした主張をしていないし、何より県民の総意でもないだろう。
ところが玉城知事は新時代アジアピースアカデミーの協力の下、2023年9月18日に国連人権理事会で演説。この国連での発信も公金で支えられていた。
もとは「令和5年度国際社会への情報発信業務」を委託費689万8210円で新時代アジアピースアカデミーが受注したものだ。
プロポーザル方式により広く公募を行ったところ1社から応募があった。企画提案内容等を選定委員会において審査したところ、左の社(*新時代アジアピースアカデミー)の提案は公募要領の要件を満たしており、企画提案審査委員会の審査及び採点の結果、最低基準点を超えていたため、契約の相手方として選定した。
広く公募を行って1社というのは不自然だ。また翁長前知事時代の演説もNGO市民外交センターが関与したことを考えれば非常に独占的な受注だ。
もちろん辺野古沖転覆事故とは直接的な関係はない。しかし「反基地闘争」という題目の下、沖縄県では左翼系活動家の主張や行動が容認される状況が続いたのは事実。その最たる団体がヘリ基地反対協議会ではないか。
そして同協議会、新外交イニシアティブといった反基地団体の活動で共通するのは「辺野古基金」である。
沖縄の左翼活動を検証する上で「辺野古基金」は避けて通れない。まずは同基金の経緯を説明しよう。
活動家たちは「辺野古基金」でつながっていく

翁長前知事は2015年、「沖縄の保守が革新を包みこむ」という理念の下、保守系・中道系・経済界・労組・革新政党を「辺野古反対」で束ねた「オール沖縄」を結成。
県内の保守派の顔、金秀グループ・呉屋守将会長、かりゆしグループCEO・平良朝敬氏が支えた。ところが翁長前知事の死後、革新勢力が強まることを危惧して呉屋氏らはオール沖縄から離脱。
翁長前知事は辺野古基地反対の立場だが、理念よりもまず異質な勢力を束ねる政治技術、求心力があったのだ。
玉城県政はその継承を掲げながらも、保守・経済界をつなぎ止めるだけの手腕はない。むしろ選挙では共産党など革新勢力に依存した。
その結果、オール沖縄は“超党派連合”から“革新主導連合”へと傾き、最も組織力のある共産党の影響力が相対的に強まった。

この通り今でこそオール沖縄は左派色に染まったが、まだ保守系も参加していた時代に誕生したのが辺野古基金だ。オール沖縄の領袖、呉屋守将氏、平良朝敬氏らが共同代表となり2015年4月に創設された。
辺野古基金は、辺野古新基地建設に反対し、建白書で求められたオスプレイ配備撤回、普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念の実現を後押しするため、物心両面から支援することを目的とした。
民間から寄付を募った結果、2026年3月15日時点で累計寄付額は8億549万2371円に達した。
本来は純粋な思いで集まった寄付金だろう。ところが国連でのロビイングなど特定団体、人物の活動に対しても辺野古基金が使われるようになった。新外交イニシアティブに1100万円が支給され、そのうち600万円を基金に戻したという例もある。
先の市民外交センター・上村英明氏も参加する「島ぐるみ会議」は辺野古のキャンプ・シュワブ周辺のデモ参加者用の送迎バスを運行する。こうした島ぐるみ会議の活動に対しても基金は支援してきた。
支援先にはオール沖縄会議など明らかに玉城知事の選挙活動に関わった団体が散見される。ところが政治資金規正法上の政治団体としての届出がないのだ。
この点は県議会でも追及された。また国会でも2024年に浜田聡前参院議員が「辺野古基金の寄附行為等と政治資金規正法第8条との関係性に関する質問主意書」を提出。
政府は辺野古基金からの届出がないとした上で、反対運動と基金の関係については「答えを差し控える」とした。沖縄県、また政府にとってもタブーになっているようだ。
事務局「ヘリ基地反対協ではなく参加者への支援」
さらに見逃せないのは基金の支援先にヘリ基地反対協議会の名があること。Webサイト上の報告書には2017年に「晴雨傘支援(ゲート前)」、2018年には「船置き場年間借用料」などの支援内容が記載。


辺野古基金は転覆事故と直接、関係しないが不都合な事態には変わらない。
そこで同基金の共同代表、菅原文子氏は『琉球新報』(4月8日号)のコラムでこう述べている。
ちなみに、事故に遭った船の運営や資金の提供に「辺野古基金」は全く関わっていないことを、正確を期すために事務局に電話で確認した。
基金側、または菅原氏の認識不足、または事実関係の確認が不十分だ。どころか〝言い逃れ〟と受け止められるだろう。しかも掲載媒体が辺野古基地反対闘争に寄り添う『琉球新報』ということを考慮すれば〝火消し〟を前提とした記事かもしれない。
そこで筆者は同基金事務局に見解を問うた。
ー菅原文子共同代表が『琉球新報』に寄稿したコラムによれば「辺野古基金はヘリ基地反対協と関わっていない」という見解でした。ところが2017、2018年の支援先にヘリ基地反対協の名前があります。確認不足ではないでしょうか。
今は出していません。昔は支援しましたが、何もない時ですよね。
ー記事には「全く関わっていない」とありました。関わったのは事実ですよね。
いえ、そうではないです。現時点では「自立でやってくれ」と言っていますが、あの時(2017、2018年)は運動のスタートですから。活動そのものの中身については私たちは触れていません。
ー全く関わっていないというのは違いますよね。
私たちはないと思っています。
ー支援先に名前が出てくるじゃないですか。
そこ(協議会)に支援するのではなく、参加する人への支援なんですよ。傘とかですね。私たちはそういう関わりだと理解しています。すみませんこういうのでは話が合わないと思いますので(電話を)切ります。
事務局は「ヘリ基地反対協と関係ない」との一点張り。ヘリ基地反対協ではなく参加者への支援だから問題ないと言いたげだ。
基金のリストに名前があるが、抗議活動の参加者への支援というのはかなり苦しい。普段、「反体制」「説明責任」などと叫ぶ面々がいざ追及される立場になると、不誠実だ。
しかし辺野古沖転覆事故は全く事情が異なる。反基地団体、沖縄県、左翼団体が金科玉条のごとく進めた平和学習、反基地闘争に若い命を巻き込んだのだ。そうした意識があまりに低い。
それどころかマスコミの報道でも平和学習を擁護する論調が散見される。先の菅原氏も琉球新報のコラムで「平和教育そのものへの批判もネット上で散見するが、憲法が定める学問や教育の自由については侵してはならない」と訴えた。
事故の原因、運営団体の運航状況、高校側の管理体制などまだ検証段階であり、捜査も途中だ。遺族の心痛も計り知れない。そんな状況の今、この段階で平和学習の意義を語る必要性があるのだろうか。
平和、人権、反基地といった左派イデオロギーは人命より優先されるかのような風潮。こうした独善的な思想は不可解な公金の流れを生み、そして転覆事故につながったのではないか。



