曲輪クエスト(439)富津市佐貫

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By 宮部 龍彦

菊池山哉は、君津郡佐貫(さぬき)町の古村について次の通り記している。

○内房州の本街道筋。

○白山神。三十番神も相殿として、祀られて居る。銀杏の大きな樹がある。

○民家十一戸ばかり、農と雑業と半々。

手がかりはほぼこれだけである。あとは「下町(しもちょう)」と呼ばれて草履を作っていたことくらい。佐貫の地図を見ると、これは街道の宿場町だったように見える。ということは古村があるとすれば端か裏手であろう。

富津市による佐貫の観光マップに「大銀杏」が記載されているのを見つけた。白山神社の記載はないが、街の端っこにあるし、ここではないか?

ここがその場所である。プレハブの建物やソーラーパネルがある。

そして、これはまさしく「銀杏の大きな樹」ではないか。その下に祠らしきものが見える。これが白山神社ではないかと思ったが、まだ確定ではない。

祠に近づこうと思ったが、藪に阻まれて近づけない。地図で見ても他人の土地の中にあるようだ。

しかし、付近で重要な証言を得た。

これは番神堂であるという。

そして、道路を挟んで向かいのここに白山神社があったという。古村の住民は近年になって入れ替わっており、今ではパキスタン人が住んだりもしている。白山神社を管理していた家も廃れてしまって、それで神社は解体され、神社の横にも銀杏の木があったのだが、切り倒されたという。

昔は佐貫の端に5, 6軒あり、白山神社に豆腐を供える風習があったという。

白山神社や番神堂の由緒も今は知る人がいないという。番神堂の中は空っぽで何もないということだ。

宗派は日蓮宗。隣の花香谷に妙勝寺という空き寺がある。

さらに、菊池山哉がこう記している。

○正徳四年に死んだ人が、先祖であると云ふ。この頭に左の文書が蔵されて居る。面白いから載せて置く。

証状

金五拾圓也

右為先祖菩提去ル天明二年壬寅十一月、令寄附訖、猶子孫繁栄之祈祷、永不可怠、仍証状如件

享和三癸亥歳十月

佐貫二股 孝盛院日耀

仁平次殿

一札

天明貳寅歳、其許先祖金五拾両寄附有之候処、吾妻村にて田地相求、右作徳米先祖回向に、受納致来候処、今般拙寺普請金に差支、吉田屋平十郎殿方に拾ヶ年質地に、差出し候得共、是は当分普請の為に、取計候事にて、近年之内請戻、永寺徳に致、先祖の丹誠相定候様、無相違取計可申候

為安堵之差入申一札如件

元治元年子四月

木更津 成就寺(黒印)

佐貫二俣 四十三世 日凉(花押)

仁平次殿

この証文によると、当初は相当の富を有して居ったものであらう。

成就寺はもっと離れた場所にある別の日蓮宗の寺だ。そこに50両を寄附できるほどの財力があったということか。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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