緊急座談会 運動家目線で広河隆一問題を考える

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By Jun mishina

昨年末、『週刊文春』はフォトジャーナリストの広河隆一氏が月刊誌「DAYS JAPAN」の女性スタッフに対し性行為やヌード写真を強要していたことを報じ大きな衝撃を与えた。広河氏といえば人権派のジャーナリストとして尊敬されてきた。そんなリベラル派屈指のジャーナリストがなぜこんな卑劣なことをしてきたのか? そこで今回は市民運動などに関わる4氏をお迎えして広河隆一問題について「放談」してもらった。

A 60代男性 元公務員、組合活動などを経験
B 40代男性 会社員、20代から市民運動に参加
C 40代女性 フリー編集者・環境問題が得意
D 30代女性 ボランティア活動、被災地支援等

三 今回は左派の活動や市民運動に関わっている人たちに広河隆一問題、まあ早い話が左翼運動や市民運動における「性トラブル問題」を大いに語ってもらおうということで集まってもらいました。私と立場とか考え方は違うとは思いますが、何も運動自体を腐すわけじゃありませんから忌憚なくご意見を頂ければと。さっそくなんですが、今回の広河隆一さんの性行為の強制やパワハラについてどうお感じになったかお聞きかせください。まあここはやはり女性が絡む問題だからとりあえず女性陣からお願いできますか?

C そりゃもちろん怒りを感じますね。がっかりです。

三 広河氏の素行はメディア業界内では有名だったとか、そういう話も出てるけどCさんは知ってました?

C いえ性行為の強要は知りませんでした。ただ傲慢だと思うことはありましたよ。

三 どういうところがですか?

C 広河さんが企画したトークイベントみたいなのがあって、入場料は無料だけど先払いのドリンクチケット購入という条件だったかな。それを知らないで入場した人が結構いたんですけどイベント終了後、「なんで最初にドリンクチケット買わせないんだ!」ってスタッフの人を怒鳴っていました。あれ? こういう人なんだみたいな。あとデイズって女性の編集者しかいないのはなんでかなって思っていました。

京王線・明大前駅近くのデイズジャパンの事務所。
若い女性スタッフが応じてくれた。

三 なるほど。この前、明大前のデイズジャパンの編集部にごめんくださいって行ってきたんだけど女子大生ぐらいの人が応対してくれた。あと妙齢の女性も中から出てきたかな。女性スタッフは多いようですね。Dさんは?

D 福島原発事故後、広河さんと広瀬(隆)さんの講演会によく行っていました。活動はとても熱心だったから残念だというのはあります。もちろん性行為についても全く知りませんでした。

三 ちなみに広河さんのどんな話が印象に残っていますか? 

D 原発事故後、福島の病院付近でガイガーカウンターの計測器の針が全部振り切ってしまったとか。ただそういう話の中で広河さんや広瀬さんの説に批判があったのは知ってました。

三 あー。あの頃は一般の活動家でもガイガーカウンターを買う人がいましたね。素人に数値が分かるのかって気がしましたけども。

A 広瀬さんはチェルノブイリ原発事故の頃から賛否はあったね。日本科学者会議は広瀬さんの著書や主張を批判してきたし。彼の場合は3・11で息を吹き返した感じだったかな。

三 3・11以前の広瀬さんは講演会でも世界の金融経済批判とかやっていたでしょ? 

A はい。どっちかというと私の記憶だと温暖化説批判の方が多かったかな。あの人、火力発電自体はOKという立場だから一般の環境論者とは少し違うよね。それから広河さんも戦場報道やパレスチナ問題の人っていうイメージだったと思うな。それが二人とも福島原発で息を吹き返したというかね。

B 私の同世代だとやっぱり『危険な話』(1987年)なんかに影響を受けた人は多いかな。ただあの頃から賛否はある人だったね。80年代に赤塚不二夫が政治風刺みたいなジャンルの漫画を描いていたことがあったんだけど広瀬隆もパロディにされていましたよ。

C 逆にデイズなんかは若者のカルチャー誌みたいな位置づけで持っているとお洒落みたいな時期がありましたよ。意識の高い学生に支持された感じ。経営も大変だったと思うけど、各地にサポーターズクラブが結成されて読者の協力も大きかったですよね。

B 3・11以前に関して言えば原発問題は広河さんの方が積極的だったかなあ。上関原子力発電所(山口県)の建設中止運動をやっていました。もちろん原発問題については地道に取り組んできたんじゃないですかね。

三 福島原発事故で舞い上がってしまったジャーナリストも多かった印象がありますよ。広瀬さんもちょっとどうかと思うことが多々ありました。産経新聞の『月刊正論』という雑誌に書いた話なんだけど、広瀬さんが被ばくには天然酵母でできた味噌が効くって講演会で紹介したんですよ。親族がやっている自然食の店までスライドで出してね。

D それって荻窪のですか?

三 そうです。

D あーだからかな。結構、主婦の人たちでも話題になっていた記憶があります。

三 だからその講演会を聞いて脱原発の運動家の間でもおかしいという声はありました。

A いやだからもともと広瀬さんは賛否あるんだって。

C 若い編集者は広瀬隆、広河隆一も知らないという人はいましたよ。だから3・11以降にさっきも話に出た『危険な話』に心酔する人が出てきたり。

A 広瀬隆の過去の原発本を福島原発事故以降、読んだという人は結構いたよね。広瀬隆は誰かというよりも「ジョン・ウェインって誰だ」というから世代を感じたけど(笑)

C そんな調子だから福島原発事故でいきなり持ち上げられてしまったというのか。広河さんの問題はメディアでも取り上げられているけど、彼を祭り上げた報道機関や出版社にも責任があると思いますよ。

話は少し脱線したがここからはなぜ女性は左になびくのかについて討議してみた。経験豊富な4氏からは左派が持つ「生活の視点」が挙げられた。

三 これは印象論になっちゃうかもしれないけど左には女性が集まりやすいという状況があると思うんですね。で、ここがセクハラや性行為の温床になっている気もしますが、みなさんの考えを聞かせてください。

B 左派だから起こすという言い方はしてほしくないけども。ただこういうことがあった以上、Metooといっていた人たちも反省すべきってのはあります。特に同じ政治カテゴリーの人に対しては甘いというのは認めます。

C 私はちょっと別の視点で見ていたんですが、新しい女性の告発(毎日新聞1月20日)があったでしょ。被害女性がインタビューのテープ起こしをしていたら遅いとかって怒られた話。

三 はいはい。

C テープ起こしってものすごく大変ですよ。特に専門性が高い内容でしょ。慣れない人にとっては難しい用語とか人物・団体名が出てくるからいちいち調べないといけないし。起こす時間が長いと本当にクタクタになります。テープ起こしを若手や女に押し付けるなって言いたい。

三 どっちかというと出版業界あるある話ですね。

C まあでもジャーナリストを目指すといっても資格がある職業がないから結局、有名人の下について仕事を覚えたり、それこそデイズジャパンみたいな会社でコツコツ仕事を覚えるしかないわけで、そういう女性の思いを踏みにじったのは本当にひどいと思う。だけどA 逆に保守系団体や出版社でそういうセクハラ、パワハラってないのかな。ありそうであまり表に出てこないというのか。

三 それこの前、ツイッター上で同様の疑問を持った人とやり取りしたけど、右って女性の絶対数が少ないというのもあるかもしれないですよ。

B そうかな。ネトウヨの人たちのデモを見ていると思ったよりも若い女の子もいるけど。

三 デモの場合、ノリだけで来たみたいな。集会やシンポジウムで比較すると圧倒的に保守側の女性は少ないですよ。ごめんなさいあくまで僕の印象だけど。

C 右派の集会に来る女性ってどんな感じの方なんですか?

三 それは様々としか言いようがないですね。ただ永住外国人の地方参政権問題があった時にある反対集会に若い女性が結構いたんですよ。その中の若い女性議員に話を聞いてみると「興味はないけど米田建三(自民党・元衆議院議員*参政権反対派議員)の知り合いだから来た」という感じ。あるいは知り合いについてきたりとか。右にも熱心な女性はいますけど、左派活動の女性の方がパッションや情念は感じます。

生活支援、天然素材が女性を左翼に誘う?

A 左の運動だと種子法だとか、ちょっと前だとMA米(ミニマムアクセス米)、あるいは食品照射(放射線による食品の殺菌)、子育て支援とかね。生活に直結する問題をやるでしょ。こういうのは女性、特に若い主婦にも関心が持ってもらえる。ところが拉致問題を許すなとか、尖閣諸島を守れといっても直接、生活と関係ないでしょ。

C ちょっと興味をもって右の集会に参加したことがあるんですけど、左の方とかなり雰囲気は違うなあと思ったことはあります。

三 どういう点ですか?

C 左の方は子連れの人も少なくないですね。子供が騒いでも「まあまあ」みたいな雰囲気があります。

D 左の集会だと託児スペースを用意することもありますね。

三 言われてみると保守系のイベントにはそういうのないなあ。

A やっぱり右って「女子供が政治に口出すな」みたいな風潮があるんじゃない?

三 いやいや講師が女性の場合もあるし、名うての女性運動家もいますよ。ただ左のイベントにいがちなアーティスト風というかクリエーター風の女性はいません。

D 市民派の運動の場合、シンポジウムや集会に手話通訳士がつくこともあります。

三 それもありますね。場合によっては聴覚障害者のためにプロジェクターに文字起こしする集会もあります。ごめんなさいだけど僕なんかはひねくれ者だからああいうの「おためごかし」みたいに見えちゃうけど。

C だけじゃないと思いますけど。だから左の方が「人に優しい」という印象があるんじゃないですか。

D それとフェアトレード食品の販売とか、無農薬カレーとかみんなで作って販売するじゃないですか。こういう活動も意識が高い主婦層、女性層には響くでしょうね。あ、でも結構、せこいこともあるけど。

三 せこいですか?

D 講師の家でできたみかんや柿を販売したり。

三 農園の経営者なんですか?

D いえ普通のご家庭。関東でも郊外に行くと自宅にみかんや柿の木がある家があるじゃないですか?

三 え? それ売り物にするんですか? 

D だから全然、美味しくないですよ。だけど市販のみかんは農薬を使ったり皮にワックスル塗ったりして綺麗に見せているだけって。これは本来のみかんだっていう感じで。固くて甘くないみかんだけど。逆にそれが健康的だからって有難がるというか。

三 農薬と味の素は目の敵にしているからなあ。

A 生活や健康を守るということ自体の発想は正しいわけでしょ。右にはそういう発想やセンスがないよね。だけどさっきの広瀬さんの天然味噌の話じゃないけど、商売丸出しや業者とタイアップしている場合もあるから。ただなかなかそういうものを一般の人は見抜けないよ。決して悪い商品じゃないだろうけど。

B 中国や韓国の農産物から農薬が検出されたとなると右派の女性陣もデモをやるかもしれないけど、それってどっちかというと生活防衛というよりも中国・韓国批判じゃないですか。

D 子育て世代の女性だと自然食に敏感な人もいて、そういうスタンスで運動に興味を持つ人はいます。だけどちょっと方向性がズレる人もいて、マクロビオティック食だと左翼、右翼というよりも宗教染みていることもあって、また政治運動とは違う方向にいっちゃう人もいます。

三 やっぱり直接的な生活環境を守るという運動は女性の心を掴みますね。

C 都市部の場合、例えばご主人も奥さんも地方出身でご近所つきあいがない人も多いでしょ。そういう人にとって政治運動って新しいコミュニティになっていません?

三 それはあるかもです。デモで壮年の夫婦かと思って話を聞いてみると、実はSNSで知り合って一緒に来た、と。お互い配偶者がいるというから驚きましたけど。ちょいちょいこのタイプいますよ。

D ツアーみたいな企画があるんですよ。そういう時は確かによく分からない関係の人が来てますよね。居心地がいいかもしれないですよ。だけどハマりすぎると今度は日常生活の負担になりますからまあまあの付き合い方をしないと。どさっと用紙を渡されて署名を集めさせられることもあるから。

三 でも結局、入り口は生活の観点だったとしても、打倒政府デモみたいになっていくでしょ。

D そういうパターンもありえますね。

B 右のデモってオジサンが出てきてマイクで絶叫しているだけでしょ。

三 あれはよくないです。印象が悪い。

B そこからすると左の方は若い女性がアジテーションしていたり、若手ミュージシャンみたいなのがパフォーマンスしたりね。全く事情を知らない女性でも入りやすいかもしれない。

C それにメディアもそうじゃないですか。保守系の雑誌の場合、政治主張の一辺倒じゃないですか。左の方って『通販生活』(カタログハウス)なんか特にそうだけど、人気の俳優さんやミュージシャンとか文化人のインタビュー記事があったり、温和な感じなんです。だから編集者やジャーナリスト志望の女性がいたら必然的にそっち(左)に行きがちですよね。

D やっぱり音楽とかサブカルチャーを取り込んでいる分、お洒落に見えるのかな。よくヒップホップの人も来てるじゃないですか。

C 以前、子供のための憲法の本を作ろうという話があって編集会議で誰に監修を頼むかってなった時に姜尚中かんさんじゅんがいいってなったの。だけど憲法の専門じゃないでしょ。それはちょっと違うというんだけど、女性のスタッフとか姜尚中というだけでうっとりするんですよ。じゃあ右側に女性をうっとりさせるような識者がいるかっていうと微妙ですよね。

三 広河さんにもそういう魅力があったのかな。

C あったからああいう事態になったんでしょ。

A どうかな。魅力というよりもあの人について行けばジャーナリストの経験が積めるとう思いがあったんじゃない?

三 そういう思いにつけ込んだんですかね。この前、ツイッターで運動に関わった人とやり取りしていた時に左翼は外から見るとキラキラしてるけど、中はギラギラしているって言っていた。そういう風潮があるのかな。

かつては鳥越俊太郎、最近では菅野完といった面々の性トラブルが報じられたが当時、左派は擁護するむきもあった。ところが広河氏については人権派が一気に梯子外しをして一気に批判が高まった。この違いは何か?

三 鳥越さんの時は都知事選にまで出馬させたのになぜ今回は一気に広河を許すなみたいな雰囲気になったんでしょうか。

A 擁護の意見もちらほらあったけど、まあ少数だね。

B 確かに一気に批判一色になったと思う。あるいは沈黙するか。

C やっぱりMetoo運動の影響が大きかったと思いますよ。今現在、広河さんを擁護したら自分に火の粉が飛んでくるでしょ? これが10年前ぐらいなら「まあまあ」みたいな雰囲気もあったでしょうね。

B なんかね、実際にそういう話し合いがあったわけじゃないと思うけど、左全体で広河を切るみたいなコンセンサスがあったような気がする。それも自分に批判がされかねないということでしょ。

三 鳥越さんの時は左翼の人たちって擁護しましたよね。あの違いが本当によく分かりません。

C あの頃はまだMetoo運動がなかったせいかな。Metoo運動の発祥自体はもう少し前だけど、日本で広まったのは去年、ハリウッドの映画プロデューサーの性的虐待が報じられてからでしょ。鳥越さんのスキャンダルの時はまだMetoo運動はまだなかったから。それから鳥越さんの場合、広河さんとはやり口が違うというか

三 どう違うんですか?

C 私と同世代の人たちなんですけど、大手出版社とか新聞社とかテレビ局の人もいたかな? その年の内定者が集まって同期会みたいなのを開いたことがあったんですよ。その時に勉強会として講師に鳥越さんを呼んだそうです。あの人はそういう学生さんみたいな人との接触を好むというか。新卒の人ぐらいだと鳥越さん素敵という風になってしまうんですよ。

B ああ淫行報道も相手が女子大生だったね。

三 広河批判も少なくとも被害者の人権を考えてのことじゃないでしょうね。じゃあデイズジャパンの前に行ってプラカードで行進してみろって言いたくもなるけど。それからおしどりマコさんっているでしょ。12月に広河報道があって直後の議員会館の集会でのっけから謝罪していましたよ。

B どんなこと言うんですか?

三 いやだからデイズジャパンに関わったものとして申し訳ない、と。相方のケンさんは「もしマコちゃんが同じ目に遭ったと思うと許せない」みたいな感じ。まあ彼らが謝罪する必要もないけど、スルーしなかったのは意外でした。

広河氏のスキャンダルを謝罪するおしどりのマコとケン。

広河を切った人権派は卑怯だ

C でも広河さんよりも周囲のジャーナリストの人たちが嫌だな。

A どうして?

C 「広河の性被害やパワハラは業界内で有名だった」とかツイッターに投稿している人もいるでしょ。じゃあなんでそれ以前から告発しなかったんだって。

三 ヒューマンライツナウなんて広河さんの活動歴をHPから削除したんでしたっけ。あれはずるい。

D 私、脱原発系のメーリングリストに入っていますけど、広河さんの話は全く出てないですよ。

三 それってちょっと見せてもらえないですか?

D 記事で画面を出さないならいいですよ

三 ああなるほど、これを見ると11月号のデイズジャパンの記事の告知が最後になっていますね。

D あとはもう触れないって感じですよね。意外だったのが、伊藤孝司さんという北朝鮮に詳しいジャーナリストが広河さんの批判投稿をしていたことですかね。

A 伊藤氏はデイズジャパンにも寄稿していたね。だけど批判しても「今さら言うな」だし、スルーしてもダメだし、かといって「擁護」したら炎上するだろうし。みんな対応に苦慮したように見える。

C 女性議員さんたちが触れないのは残念でした。

三 だからMetooだって騒いだら、自分たちの頭目みたいなやつがよりエグいことをしていたという。だからさっさと広河の梯子外しをして火消しをするってのが得策だったと思いますよ。

C そういうことなんですかね。やっぱり運動とセクハラとか性行為って今後も立場を問わず起こりえることだからちゃんと考えてほしいな。

B だけど左翼活動家ってそんなに運動に関わる女性に関心があるんですか? つきあいがある労組の連中なんて女性部会の人たちがくると「アマゾネス軍団がくる」って結構、ビビっていたけどさ。

A そりゃガチンコの女性活動家は怖いよ。新婦人(新日本婦人の会)の人にセクハラしたい?

三 だからここでターゲットにされるのは心がピュアで本当に運動というものに信頼を置いている女性でしょ。

D だからCさんが言ったみたいにまだトラブルの火種はあると思いますよ。例えば子ども食堂みたいなものとか。

三 あーその話がきたかあ。子ども食堂はちょっと温めている話があって。なんというかご飯を食べるじゃなくて「ママ食い」になっていると申しますか。まあ今回はすみません、ここまでにしときますが。

C あー。それもね。せっかくの取り組みだからあまり言いたくないですけね。

A だから人が集まるところにはつきものだと思うんだけど。

三 逆にDさんなんてそういう場面に出くわすことはあったんじゃないの?

D 市民集会で手作り懇親会みたいなのがあるじゃないですか? 

三 ああ集会後、食事が出るみたいなやつですね。会費がだいたい500円とか1000円ぐらいとって。

D そういう時の共同作業で「ああこの活動家はこの人を狙っているんだなあ」というのはありますね。

A うちらの世代だとバーベキューだったかな。

三 最近、あまりバーベキューやらないでしょ?

A 公共事業が減ったせいかな。ダム建設や河川工事の反対集会なんか現地で集まるんだけど、おおかたそういう場所は景色がいいからバーベキューをやるんだけど、そういう場面を草刈り場にしている活動家もいたかな。結構、アウトドアなんかの技術がある人もいるからね。そういう人はモテますよ。

三 それってでも運動体内部の話ですよね。講師が手を出すなんてことはあるんですか?

A 分からない。ケースバイケースじゃないかな。あの人たちも仕事だから。そそくさと帰る人もいるし、残って一緒に語らっていく人もいるし。

D 富田晋(沖縄反基地活動家、富田朝彦宮内庁長官の孫)さんとか中野ZERO(東京都中野区)で女の子を引き連れて集会に参加していましたよ。

B そういうリア充みたいな活動家もいるけどね。だけど結構、惨めなやつらもいてモテる運動家にへばりついてそこに集まってくる女子大生とかを狙うというパターンもあるけど、基本的に見向きもされない。

三 うちらのちょっと下の世代だとピースボートはやれるという噂があってお金を貯めて参加した子がいたけど。

C やれるって?

三 まあそういうことですよ。

C ああ。でも実際、ないでしょ。そういう軽率な人はたいてい参加しても船の中でトランプやってお終いですよ。

三 そういうギラギラ系と一般的な女性の市民運動の参加は3・11以降、増えた気がするんですが。

B もともといるでしょ?

D いや実感として増えたというのはあります。さっきも話に出たけど、都市部だと地域のつながりって薄いじゃないですか。そこで原発不安みたいなのがあったんですよ。その時にご近所の人は全然、信用できないけどもネットで知り合った活動仲間は信頼がおけるというのか。だけど私は男女のトラブルよりも金銭トラブルが多かった気がします。

影響されやすい人は運動で失敗する!

A やっぱり脱原発運動というのは一つあるかもしれないね。生活不安という観点から従来、政治に関心がなかった女性を引き込んだようにも見える。

D 福島支援というならあの頃、すごくいろいろな団体が出てきたんですけど、脱原発よりも動物愛護の方に共鳴した女性が多かった記憶があります。

三 それ分かります。週刊誌に書いたことありますよ。

D 被災地に置き去りになった動物たちの死骸とかネットに投稿されてそれを見た女性が動物愛護に関心を持ってその運動から脱原発に発展した人もいました。人の被害よりも動物ってより同情が集まりやすいというのか。

B なんにしても影響されやすいのかね。

三 これからはどういうところに女性が集まりやすいんですかね。

C 私はワクチン系。ああいうところの運動でコロっと食い物にされる女性は出てくるのかな。もう出てるのか知らないけど。

D 確かにBさんが言うみたいに影響されやすい人はいるかな。政治運動とは全く無縁だった人が突然、ケムトレイルって言いだす人もいました。TPP反対の集まりはこういう感じの人多いですよ。

A ケムトレイルってなんですか?

三 飛行機雲は実は人体に悪影響がある薬品を散布して人体実験をしているというやつですね。

B TPPの問題って金融や保険とかそういう分野の外資参入の方がリスクが高いと思うんだけど。反対派の人って結局、農産物の話に持っていく人多いでしょ。そこしか見えてないというのか。

C 陰謀論めいた話にはまる女性もいますね。ポカリスエットは飲んではいけないとか。

三 それはどういう理屈ですか?

C 熱中症対策で医師がポカリスエットを勧めるのは医師が飲料メーカーからお金をもらっているからだっていうことですね。

D あと妊娠中にそういう運動系の医師の影響を受けて運動にはまっちゃう人もいましたよ。

三 自然出産みたいな?

D そのお医者さんが思いっきりその筋の運動家でもあったりして。天然の木を使った玩具で遊ばせようとか。結構高額ですけどね。

C 最近はあまり聞かないけど市販の紙おむつや粉ミルクで育った子供は不良になるみたいな指導が流行ったこともありましたよ。

三 またちょっと脱線してきたから話を戻してほしいのだけど、第二の広河被害者みたいなのを防ぐのはどうしたらいいんですかね。

B 残念だけど人権派という慢心があったと思う。それと加害者が絶対に悪いんだけどだけど、その上でね。美辞麗句の裏に潜む野心とか悪意を見抜けないとメディア活動だけじゃなくて市民運動でも不快な思いをしますよ。

C 演説とかトークで生きている人たちだから当然、口が上手いんですよ。良い話が聴けたから直接つながろうというのはやめた方がいい。ジャーナリストになりたいというなら自分でブログやSNSでやればいいじゃないですか。弟子入りするとかそういう時代でもないでしょ。

A 我々の世代だと小田実ですよ。あの人には取り巻き女性がたくさんいたからね。そういう人に尽くすという考えを捨てた方がいいね。自分が損するだけ。女性もジャーナリストとして自立したいというならばCさんが言ったみたいに自分で機材を持ってやった方が早いと思うね。

D とにかくカンパ、署名協力でも嫌なものは嫌と言い切ることが大事です。知識はないけどピュアな人ほど利用されがちだから気を付けてください。

B 何か心の空白があった時に政治運動とか社会運動に答えを求めない方がいいと思います。そういう毒も薬も飲み込めるならいいんだけど、そうじゃないと利用されてお終いだと思いますね。

三 政治家でもジャーナリストでも運動家でも体面的な「顔」と素顔はまた違いますから、関わるなら表も裏も含めて向き合わないとだめですね。どうもありがとうございました。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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緊急座談会 運動家目線で広河隆一問題を考える」への5件のフィードバック

  1. ぐりぐり大将

    二十五年くらい前に わたしが住んでいた地域で、内科クリニックが開業したのですが、そこの医師がホメオパシー論者であり、待合室の本棚には、ベ平連や本多勝一・広瀬隆などの本が並んでいました。

    小田実の名前を見て、ふと思い出しました。

    返信
  2. .

    エロ河隆一の性暴力は10年前から始まったとの報道もありますが、当時すでに彼は65歳。その年齢でいきなりエロになったと見るより、実はもっと若い頃からエロで、若い頃から同じことを常習的にやっていたと見るのが自然ではないかと思いました。このあたり、元奥さんのルティ・ジョスコビッツさんからも話を聞きたいところです。

    返信
  3. 風吹けば名無し

    股間に脳みそがあるような人間でないと左巻きにはなれないのかぁ・・・
    私にとってはハードルが高いです 超えようとも思いませんが

    返信
  4. .

    女性スキャンダルの宮崎謙介、佐田玄一郎、後藤田正純、西村康稔、福井照、パンツ大臣の高木毅などいずれも自民党です。

    当然のことですが右翼にも左翼にもスケベや変態がおり、広河隆一の件も「左巻きだから」という解釈は無理筋でしょう。

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  5. 遊郭コバイア

    左翼=宗教=意識高い=下半身ゆるい
    のロジックが成り立ちますな。
    でもって「子ども食堂」。
    どうにも胡散臭さを感じていたのですが、なるほど子持ちの出会い系ってことですか(笑)

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