河村共同代表に「ペットボトル投げ」「俺が殴ったら死ぬぞ」〝百田&有本ファースト〟で日本保守党は分裂寸前⁉

カテゴリー: 政治 | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

自民党に幻滅した保守層の受け皿は本来、日本保守党になる可能性もあった。ところがその位置は〝日本人ファースト〟の参政党に取って代わられた。原因は百田尚樹代表&有本香事務総長と河村たかし共同代表の関係悪化とみられる。周辺を取材すると〝百田&有本ファースト〟という事情が浮き彫りとなり、トラブルを起こしていたのだ。(写真は4月22日の日本保守党共同記者会見)

北村晴男弁護士が比例最多の97万票

小田急・新百合ヶ丘駅前で支援者に囲まれる北村氏。

一時期の熱狂と期待が色あせた気がしてならない日本保守党。これまでの歩みを簡単にまとめておこう。

2023年10月17日、日本保守党の結党記者会見が行われ百田尚樹氏が代表、有本香氏が事務総長に就任したことが発表された。また名古屋市の地域政党「減税日本」代表の河村たかし衆院議員が共同代表、広沢一郎減税日本副代表(現・名古屋市長)が事務局次長に就任。日本保守党の結党は大きな反響を呼び、翌月には党員が5万人を超えたという。

設立当時の熱気から2度の国政を経験したが、衆院議員3名、参院議員2名は妥当か、それとも期待外れ…か。逆にこの夏の参院選は参政党が席巻した。新興勢力として日本保守党の埋没感は否定できない。

原因は重なるトラブルだろう。もともと同党は百田尚樹代表への〝個人崇拝〟によるところが大きかった。ところが2024年4月の東京15区補選に日本保守党公認で立候補した飯山陽氏と対立してしまう。飯山氏を支援する保守文化人は少なくない。

これまで日本保守党と友好関係にあった保守論壇誌『WiLL』『Hanada』も百田批判に転じた。当初、熱心な支持者だった井川意高氏ら著名人に絶縁されたこともSNSを騒がせたものだ。

最近のプラス材料と言えばテレビのコメンテーターでもお馴染み、北村晴男弁護士が比例最多の97万票で当選したことだろう。街頭演説終了後、支持者との撮影会、握手会は〝行列ができる街宣〟になっていた。

だが党の百田氏は当選したものの約12万票。北村氏とは大きく差がついた。このことはやがて禍根を残すとみられている。それ以前に党員、支持者の間で懸念されているのが現在、百田氏と河村氏の関係悪化なのだ。

かつてネット番組でも共演して友好関係にあった演者、文化人らと反目し合う百田氏。一方、政敵の大村秀章愛知県知事からは「(河村氏は)新しく始めたことは続かない」と揶揄される河村氏。

両氏の行動パターンを鑑みれば対立は時間の問題だったかもしれない。

愛知県知事リコール運動でも協力した両氏。マイクを握る河村氏と右隣に百田氏。成功しなかったのはご存知の通り。

見ているだけで痛々しい4/22記者会見

左から有本氏、島田洋一衆院議員、百田氏、河村氏、竹上裕子衆院議員。

「党員も決して今の状況が良いとは思っていません。しかし百田さんや有本さんに意見をしようものなら、SNS上で〝信者〟たちに炎上させられます。その上、百田有本コンビからもYouTubeで吊るし上げを食らうのが怖くて、正面から誰も意見ができません」(有力党員)

結党当時の勢いは失せたが、それでもSNS上には数万の百田信者がいる。百田氏を批判しようものなら紅衛兵の如く問答無用で一斉攻撃を始める。この辺りの背景から〝百田&有本ファースト〟と銘打ったわけだが、かねてから百田氏の「私党」の色が濃い。

「有本氏自身も〝日本保守党はオーナー政党だ〟と言っています」(同前)。ここで言うオーナーとは無論、百田氏のことである。

百田氏に意見できる唯一の人物が河村氏というわけだ。そして両氏の対立が鮮明になったのが4月22日の日本保守党定例記者会見である。YouTube上でも、その模様は視聴するだけでも〝ヒリヒリ〟して痛々しい。問題部分にご興味があれば27分頃からご覧頂きたい。

党の予算を百田氏らが管理していることについて、河村氏は政治資金を任せるようにとボヤいたのが始まり。不満が収まらない河村氏にエキサイトする百田氏らをなだめるように「こういうの流れてしまうとですね。まるで代表と共同代表が仲が悪いみたいに見えますからね」と有本氏が制止。すると「アンチ大喜びですわ」と百田氏が不快感を露わにした。

これが河村氏の「不規則発言」と言われたものだ。同日の記者会見は内紛として広まっていく。公衆の面前でも取り繕うことをしないほど、対立は深刻ということだ。関係悪化の刺々しいエピソードは尽きない。

百田氏は感情を抑制できる人柄ではないだろう。7月11日、名古屋市内の街頭演説会に訪れた百田氏は「投票所に行くと2枚投票用紙がありますが、1枚目の投票用紙は破って捨ててください」と呼びかけた。これも問題発言として物議を醸すことになる。

明らかに河村氏に対して挑発的な意味を持つ発言だ。投票用紙の1枚目とは選挙区票のこと。愛知選挙区では河村氏が名古屋市長時代に特別秘書を務めた田中克和氏が立候補していた。

しかも田中氏は日本保守党から公認が得られず「諸派」という立場。つまり百田氏は「河村と近い候補に投票するな」と言ったも同然である。この通り、対立した状態で参院選に突入してしまったのだ。この状態で勝てるはずがない。

その後、参院選直後の21日、CBC『NextTV』の企画「【ノーカット】 日本保守党・河村たかし共同代表を参院選後に直撃/離党はせんよ‥/ペットボトル事件の真相」で河村氏は大石邦彦アナウンサーのインタビューを受けた。

ご覧の通り、同番組のタイトルには本稿の核心部分でもある「ペットボトル事件の真相」とある。インタビューの中で大石アナは事件について話を向けたが河村氏は受け流してしまった。一体、何が起きたのか。それは先に紹介した4月22日の〝ギクシャク会見〟に遡る。

百田氏「俺が殴ったら死ぬぞ」と恫喝

党事情通がその一部始終を打ち明けた。

「4/22の記者会見後、一同は島田洋一さんの議員控室で打ち合わせに入りました。その場で百田さんが最後に部屋に入ってきたのですが、河村さんに対して〝お前は何を考えているんだ。進退をどうするつもりなんだ〟と怒鳴ったんです。そして百田さんは河村さんを殴る素振りをして〝俺が殴ったらお前は死ぬんだぞ〟と脅しました。さすがに殴ったら犯罪だ、などと河村さんが反論したところペットボトルを投げつけられたというわけです。ペットボトル投げの方が有名になってしまったけど実は殴るぞ、と恫喝した方が問題なんです」

河村氏周辺では「刑事告訴」との声も挙がっている。なお比較対象にすることはできないが、芸能界の場合、お笑いコンビ「TKO」の木下隆行さんが2019年に後輩芸人に対してペットボトルを投げ、所属事務所を退所するというトラブルがあった。政党の代表の場合はどうなるのだろうか。

また「殴る」との発言も見逃せない。百田氏がシャドーボクシングをする姿はSNS上の動画でもお馴染みだ。余談だが還暦前後のロートルの作家、ジャーナリスト、ライターといった手合いはなぜか突如〝腕っぷし自慢〟を始めることがある。筆者はそんな無頼気どりを何度も目撃してきた。

百田氏ほどの大物作家が出版ゴロと同じ振る舞いをするのは残念でならない。それも政治の現場で〝殴る〟と発したのは政治家としての資質を疑ってしまう。

しかも単なるトラブルでは済まない。皮肉にも本件が日本保守党の存在感や立ち位置を物語る。仮の話、石破首相が麻生太郎最高顧問か森山裕幹事長にペットボトルを投げたり、「殴る」と暴言を吐いたらどうなるだろう。

無論、大ニュースであり下手をすれば進退問題になりかねない。あるいは参政党・神谷代表がアドバイザー的存在の篠原常一郎氏、または松田学氏辺りに同様の行為を行ったとすれば? 参政党バッシングが活況の最中、マスコミの餌食になるだろう。

ところが河村氏へのペットボトル投げつけ事件は全く深堀りされてこなかった。裏返すと報じるに及ばず、ということだ。このことは現時点での日本保守党の「価値」を物語ってはいないか。

同党公認の北村晴男氏が比例選挙トップの97万票は紛れもなく快挙だが、それは日本保守党への信任ではなく単に北村氏人気であろう。

SNS上では〝信者〟に囲まれた百田氏だが、現実的な価値は12万票で政治キャリアは浅い。だがそれでも「代表」という地位にある。逆に河村氏の場合、愛知県内では圧倒的な存在であり、政界にも人脈はある。いびつな力関係にあるのだ。まさしく両雄並び立たずの状態で、繰り返すがもともと無理がある連携としか言いようがない。

また北村氏の圧勝は禍根を残すという危惧を先に紹介した。これは河村氏と同様、オーナー百田氏より得票が上位である以上、対立の火種が燻っているという意味だ。

有本氏の愛知県選挙区公認問題

さらに問題を複雑にしているのは事務総長・有本香氏の存在だという。百田氏のスポークスマン、マネージャーのような立場だが「有本氏を介して百田氏の耳に入る」(前出の党事情通)という状況。「百田氏の場合は誤解に基づく発言が目立ちますが、有本氏の場合、そもそも〝ない話〟を外部に話してしまうのです」(同前)。

議員ですらない有本氏が党と百田氏をコントロールしている状況だ。江戸幕府の将軍と側用人を想起させてしまう。河村氏のお膝元、愛知選挙区でも有本氏の独断専行が際立った。

確かに保守論壇、SNSにおける百田、有本両氏の存在感は絶大だが、政治活動や選挙のプロではない。その点、河村氏は愛知県内では圧倒的な存在だ。どうも百田氏らは愛知の政治事情を理解してなかった節がある。

河村氏や減税日本に詳しい地元記者はこう解説する。

「河村さんが日本保守党に合流した後、それでもしばらく関係が保てたのは事務局次長だった広沢一郎(現名古屋市長)さんがパイプ役になったからです。実は当初、百田さん、有本さんも河村氏の力を甘く見ており、広沢さんが当選しないと考えていたのでしょう。ところが結果は大塚耕平氏に約13万票差をつけての大勝利でした。これは紛れもなく河村効果ですよ。後に広沢さんが党事務局次長を辞すとなった際、河村さんに近い人たちを事務局人事に提案したのです。ところが有本さんは広沢さんの辞任だけは認めて、その他の人事を認めませんでした」

とにかく日本保守党の顔は百田氏であり、イニシアティブは自分たちという思いがあるのだろう。さらに参院愛知県選挙区にも介入していく有本氏。

「参院選でも有本さんは〝河村さんが勝手に候補を立てた〟と外部に漏らしていますが事情はまるで異なります」と先の地元記者。

「有本さんが県内のとある自治体議員A氏に対して公認する予定だと伝えていました。同議員が河村事務所に〝有本さんから公認してもらう〟と報告したのですが、事務所側には寝耳に水の話。実は当時、河村さんは別の候補者を考えていました。そこで事務所側が有本氏に抗議したところ〝公認をもらう前に外部に漏らすような人は不採用です〟と激怒され白紙になったのです」(同)

A氏は議員経験の他、首長選出馬の過去もあり政治キャリアは十分だ。しかし同氏の素養に問題ありという理由で公認取り消しではない。単純に有本氏の機嫌を損ねたというだけの話である。

A氏に確認したところ「コメントは控えます」と発言を控えた。これには同情を禁じ得ない。何か話そうものならば明日はYouTubeで罵倒大会である。

この結果、河村氏の側近、田中克和氏が「諸派」で立候補せざるを得なくなったのだ。

ところが田中氏は落選したものの改めて河村パワーを示したとも言える。急造の候補ながら得票数は25万票。しかも、れいわ新選組、日本維新の会、共産党など既存政党よりも上の得票だ。

日本保守党を拡大したいのならばむしろ積極的に河村王国である名古屋を活用した方が得策だった。それでも優先されるのは百田&有本両氏のプライド、メンツというのが現状の日本保守党ではないか。まさに百田&有本ファーストである。

それに公党のトップがペットボトルを投げ、「殴る」と恫喝するのは不適切だ。内部ではどう対応したのか日本保守党に質問状を送った。後編ではその回答を含めて今後の日本保守党の動向を検証していく。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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