【世界救世教とは何か】教祖岡田茂吉の孫、世界メシア教・岡田陽一教主が13億円&退去で和解

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By Jun mishina

日本有数の温泉地、熱海市は神社仏閣が点在し、また新宗教の関係施設が建つスピリチュアルな街でもある。代表的なのは岡田茂吉が1935年に立教した世界救世教だろう。同教が運営するMOA美術館は熱海観光の目玉で信者や観賞者で賑わっている。ところが世界救世教に分裂騒動が起きていたことはご存知だろうか。

MOA美術館は観光の目玉 熱海市とスピリチュアル

土石流発災当時の桃山地区。土のうが生々しい。

当サイトでは2021年7月に発生した「熱海市伊豆山土石流災害」を重点的に取り上げてきた。その取材の最中、熱海市が宗教、スピリチュアル、精神世界と非常に結びつきが強いことを痛感したものだ。特に「成功者」「経営者」といった人々は熱海に信仰を求める。土石流の起点となった造成地のいわゆる現所有者、麦島善光氏が宗教施設を建設したこともその一端が垣間見えた。

数多の宗教団体・施設がある中で異彩を放つのが世界救世教である。「斜都」と呼ばれる熱海市にあってまるで迷路のような急勾配の坂を上がっていくと救世教の本部「救世会館」、「MOA美術館」が建つ。

MOA美術館は開祖・岡田茂吉が蒐集した国宝3件、重要文化財67件、重要美術品46件など約3500件を所蔵しており美術マニアを魅了する。江戸時代の工芸家、尾形光琳の紅白梅図(国宝)や数々の重要文化財、豊臣秀吉の黄金の茶室の復元などが有名だ。

開祖の略歴を紹介しておく。岡田茂吉は1882年、東京に生まれる。旭ダイヤモンドを発明した特許で富を築く。宗教に関心を寄せ1920年に大本教に入信するも方針の違いから1934年に脱会。そして翌年、「大日本観音会」(後の世界救世教)を設立する。1950年、同会と日本五六七教(1949年)を一本化した「世界救世(メシヤ)教」を立教した。

岡田は世界を「地上天国」へ導く明主様と崇められており、令和7年教団方針でも「明主様に倣って 神を顕し 利他愛の培いを」としている。1954年に岡田が著した『天国の礎』によると

かのキリストの天国は近づけり、釈尊の彌勒下生、天理教教組の甘露台の世、大本教教組の松の世、日蓮の義農の世、ユダヤ教の救世主降臨等々もそれであって、これについての注目すべき一事がある。それは右は全部予言であって、実現性はないことである。しかるに私はこの地上天国を現実に樹立するのであるから、その実行者であり、各聖者の予言の裏付け者である。

と述べている。既存の宗教はあくまで予言であって岡田こそが地上天国の実現者ということだ。

MOA美術館。

同教の特徴は「浄霊」と呼ばれる手かざしである。「病める者は医され、貧なる者は裕かに、争いは霧消し、不幸は幸福に転嫁する等々、神の恩恵のいかに深淵なるかに感激するのである」(『天国の礎』)。

それから自然農法を提唱している点も教義の一つ。現代におけるオーガニック思想に近い。各地で救世教の自然食品が販売されている。自然農法主義という点ではコロナ禍で勃興した神真都Q、参政党に与えた影響も少なくないだろう。こうした思想性は現在、国連が提唱する「持続可能な社会」にも通じる。いわば〝意識高い系〟の草分け的存在とも思える宗教だ。 

2020年に教団が作ったパンフレット「地上天国建設SDGs」によると

「コロナ禍や地球温暖化が招く災害など世界的大浄化時代と言える現代に生まれたSDGsも、地上天国建設のために神様がご準備されたものと受け止め、いずのめ教団では積極的に実践、参画していきます。

と位置付けている。SDGsという概念自体が政治、行政、マスコミによる喧伝もあって一種の信仰化した側面がある。SDGSは17の目標を掲げているが、そのうち「16 平和と公正をすべての人に」は岡田茂吉の思想と重なるとしている。

救世教分裂の歴史 岡田茂吉の孫が事実上の追放

岡田茂吉は現在も「明主様」として信仰の対象だ。

ところが救世教は分裂の歴史といっても過言ではない。1955年に岡田が死去すると分派が始まる。2018年(平成30年)まで世界救世教が包括団体で、いづのめ教団、東方之光、主之光教団(世界メシア教)を被包括団体とした構成で運営されてきた。

そして2018年、包括被包括関係が解消されることになる。理由は4代目教主、岡田陽一氏がキリスト教系の新興宗教に傾倒したことだ。東方之光関係者が陽一氏を尾行してキリスト教関係者との接触をつきとめた。すると陽一氏に対して信者らからこのような声が寄せられるようになったという。

「主之光教団は世界メシア教という通称を公然と名乗り、浄霊実践や明主様のみ教えをないがしろにする道を進め、それに従うか、信仰を止めるしかない」(世界救世教責任役員会『主之光教団(通称「世界メシア教」)との裁判終結について』)

この内幕について信者はこう漏らす。

「創業家の御曹司の世間知らずということでしょう。陽一氏は妻がキリスト教徒なので影響されてしまったのです。この結果、信者内部でも陽一派と反陽一派になったのですが、いずのめ教団の約3分の2が陽一派につきました。行き場を無くした陽一派の信者を主之光教団が引き取りました」

世界救世教は主之光教団との包括被包括関係の廃止を議決。主之光教団はこれを不服として無効の仮処分申請を行ったが、沼津地裁が棄却。主之光教団が東京高裁に不服申立をすると、高裁は和解を提案した。

2024年、主之光教団と世界救世教の間で和解が成立。和解内容は世界救世教が世界メシア教に対し解決金13億円の支払い、陽一氏の公邸(碧雲荘)の明け渡しなどだ。

1月29日、世界救世教責任役員会は信者向けに『主之光教団(通称「世界メシア教」)との裁判終結について』と文書を発した。

(1) 世界救世教と主之光教団との間の包括・被包括関係は、平成30年1月30日に廃止された事が確認され、主之光教団は、世界救世教の被包括法人ではないことが裁判上、正式に確定されました。
(2) 主之光教団は、現在占有している熱海の総本部事務所の5階部分を令和7年6月24日迄に世界救世教に明け渡すことが決まりました。
(3)(2)の他、主之光教団は、岡田陽一氏が現在占有している、明主様がメシヤ降誕の事実を内外に発表されたご事蹟の地であり、景仰に書かれているご日常の場である碧雲荘、及びそれらに付随する施設全てを同氏から引渡しを受け、令和8年12月24日迄に全て世界救世教に明け渡すことが決定しました。
(4)世界救世教は、全国にある主之光教団信徒に供している施設(三被包括体制成立時に世界救世教から分与を受けた不動産。田川布教所を除く)を信者さんに不自由なことが無いように世界救世教への返還を実質的に免除することを認めました。
(5)世界救世教は、主之光教団に対し、本件の解決金として金13億円の支払いを行う。
この「解決金」の支払いは、主之光教団が聖地から退去し、世界救世教とは関係がない宗教法人としてスタートするにあたり、「かつて世界救世教の一部の財産形成に貢献したと思われる主之光教団の信徒を鑑み、その清算を一定限度で行うことが相当である」との考えが裁判所より示され、世界救世教はこれに応じたものです。
(6)「⒉ 廃止に至るまでの経緯」で触れました包括・被包括関係の廃止に起因する熱海の聖地内の総合事務所5階部分を目的とする明渡請求訴訟、及び岡田陽一氏に対する碧雲荘を目的とする明渡請求訴訟、それらに伴うそれぞれの物件を目的とする「占有移転禁止の仮処分」については、今回成立した和解条項に於いていずれも明け渡されることが約束されましたので、いずれもその目的を達したため取り下げることになりました。
加えて、包括被包括関係の廃止に伴ういづのめ教団と主之光教団、その関係者との間の訴訟も取り下げることになりました。(以上、原文ママ)

主之光教団は13億円の和解金をもってSNS上で「勝訴」のように喧伝していたが、事情は異なるという。救世教に詳しい地元関係者はこう話す。

「主之光教団は世界救世教に対して100億円の支払いを要求していたのです。その結果が13億円。関係施設や碧雲荘の立退料と考えれば決して高くないでしょう。それに救世教にとっての13億円はアナタ(筆者)にとっての1000円程度ですよ(笑)」

立ち退き料と考えれば世界救世教にとっては安いものということか。この通り分裂を繰り返す世界救世教だが、その原点を考えると、必然とも言える。開祖・岡田茂吉は大本教出身、また大本出身者には「生長の家」創始者・谷口雅春、「世界真光文明教団」創始者・岡田光玉がいる。他にも信者が設立したスピリチュアル団体は多数。分裂というよりも「新解釈」の一派といった方が相応しい。

碧雲荘からの立ち退きや陽一氏の今後の活動などについて世界メシア教に質問してみた。

「問い合わせの件につきましてはプレスリリース以外について、ほかに一切発信しておりませんので、回答は控えさせていただきます」(世界メシア教法務部)

次回は世界救世教の分裂史と保守主義との関係についてレポートしたい。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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【世界救世教とは何か】教祖岡田茂吉の孫、世界メシア教・岡田陽一教主が13億円&退去で和解」への2件のフィードバック

    1. Jun mishina 投稿作成者

      反ワク陰謀論界隈もEM菌の信奉者は多いですからね。
      その辺りは次回レポートします

      返信