振り返れば共産党。日本維新の会の凋落が著しい。参院選の獲得議席は7議席。目標は6議席だったため一応、達成したわけだが、それは単に設定が低かっただけの話。4年前の参院選では比例で785万票だったが、今回は480万票にまで落とした。SNSの〝バズり〟一つで浮上があり得るのが今の政界だが、維新の再躍進の可能性は低い。まさに泥船状態なのだ。
聖地・大阪でも参政党に接近された
7月31日、日本維新の会の両院議員総会が開催され執行部の責任を問う声が相次いだ。またネット上では〝キングボンビー〟と揶揄される前原誠司共同代表が総会で進退伺いを提出したと報告。前原氏はこれまで複数の政党を渡り歩いた人物。その経歴から「また泥船から逃げ出す」などと失笑されていた。
泥船と言われても仕方がないことだ。2023年の統一地方選をピークに維新は衰退の一途である。支持が安定しているのは大阪だけだ。
維新の創業の地、大阪選挙区は確かに面目躍如だった。佐々木理江氏、岡崎太氏でワンツーフィニッシュという結果。だが現場は危機感を抱いたに違いない。
「自民党調査」として関係者に配布される調査は情報操作の意図も疑われるが非常に高い精度だ。当初、参政党・宮出ちさと氏はれいわ新選組、共産党よりも劣っていたが、7月11日には2位までに躍進。最後は岡崎氏に2位を譲ったが、維新関係者には想定外の追撃だったに違いない。

大阪ですら参政党に猛追されてしまった。党全体では、上昇する好材料がまるでない。となるとマイナスイメージをいかに消すのかに苦心したようだ。
特にここ数年、相次ぐ離党者問題。当サイトでもたびたびレポートしてきたが、参院選前に離党届を提出した地方議員に対して「保留」という対応をとってきたという。せめて選挙期間中は波風を立たせず、所属議員は「健在」だと有権者に示したいのだろう。
そんな情報を証明するかのように参院選後、また離党者だ。
東京維新が音喜多駿氏を参院選候補に選んだことについて反対した一人、木村佐知子台東区議が8月1日、離党したことをXで報告した。
【音喜多駿研究④】共同親権イベント参加も「白々しい」の声 参院選に立候補〝紛糾〟の裏側
「離党者はいないという体裁を繕いたかったのでしょう。例えば愛知県安城市・須場康貴市議は市議会のWebサイトに〝無所属〟と紹介されているのに、日本維新の会のサイトにはまだ所属議員として掲載されていますよ」(党員)
本来はメンツを守るよりも離党者を出さない努力をすべきだろう。離党届を「保留」するしかないのが党の現状である。
前原氏が逃亡、代表選は見送りで吉村代表は継続
ただでさえ低い目標議席をギリギリ上回っただけで、本来は参院選敗北の責任論が起こっても不思議ではない。そこで周辺では代表選の開催が取沙汰されるようになった。先月末、7月30日に代表選の実施可否を決定する予定との情報が舞い込んだ。
また特別党員向けには先月、このようなメールが通知された。
代表の任期については、党規約第7条第3項の規定により、「衆議院議員総選挙、参議院議員通常選挙、統一地方選挙のうち、最も早いものの投票日後90日に当たる日まで」とし、また、同条第4項で「その公職選挙の投票日から45日以内に代表選挙を実施するかどうかを議決するための臨時の党大会を開催する」とされています。
この代表選挙を実施するかどうかの議決をどのような方法(郵便投票かe投票)で実施するかは常任役員会で決定しますが、どちらになるにせよ、管理システムに登録されているメールアドレスか住所を利用することとなります。
つきましては、我が党の代表選挙が全国的に注目されておりすみやかな手続きをとる必要があることから、大至急、管理システムのメールアドレス及び住所に誤りがないか、空白になっていないかをご確認いただき、誤りがあれば修正願います。
この作業は、7月25日(金)の午前中までにお願いします。
上記の日の午後には特別党員発信先名簿として確定します。
日本維新の会の担当記者がこう明かす。
「幹部の間では8月7日に代表選を行うことが検討されたのです。開催の是非を問う投票を行うためにメールアドレスの登録を求めたということですね」
前出記者はこう続ける。
「結局、代表選は開催しないことになりました。引き続き吉村(洋文)体制です。自民党に近いという印象を持たれてしまった原因は前原共同代表なので、責任を問う声は多いと思います」
参院選では馬場伸幸前代表が全国で応援に飛び回ったことから「代表選狙い」と取沙汰された。しかし党内から馬場氏待望論は聞かれない。
どちらにしても泥船状態だ。

昨年の衆院選、参院選の敗北を受けて、党の復権のために奔走する議員、党員もいる。しかし熱心な関係者ほど報われないのが今の維新。古参の党員も不満を露わにする。
「本来の維新の理念や主張と異なる議員が増えました。前原さんを重用したのも大きな失敗。また前原派になった嘉田由紀子参院議員は過去、日本未来の党(2012年)を結成した頃〝維新を近江大橋から越えさせない〟と言っていた人物です。そんな彼女も今や維新所属。一方で梅村みずほ参院議員(参政党)のような人を追い出したのは何を考えているのか分かりません」
2023年の統一地方選で全国政党に拡大すると思われたが、大阪限定の地域政党へ原点回帰か。あるいは分裂の可能性すら漂っているのだ。