今、社会の最大の関心事といえばフジテレビ・中居正広「性加害」問題。スポンサー離れが続きフジテレビは危機的状況だ。不思議なのは通常なら怒り心頭の有名フェミニストたちが本件を沈黙していること。まさかアンガーマネジメントを学んだとか? ではなく同局と〝あの財団〟との関係から忖度した可能性がある。
フジテレビ・中居正広はキラーコンテンツ
元SMAPの中居正広氏がフジテレビの元女性社員に性加害を行っていたと昨年末、『週刊文春』が報道。これが発端で同社、港浩一社長と嘉納修治会長が辞任に至った。
1月28日、同局内で開催された記者会見はまるで〝全国ビックリ人間ショー〟の如き面々が大挙し10時間超を記録。しかもバラエティ番組を超越したハプニング、迷、珍シーンが続出した。そんなこともあり会見中継の視聴率はなんと13%。皮肉にもキラーコンテンツになってしまった。
一方、SNSの反応はどうか。お馴染みの記者やご意見番たちがフジテレビ問題を取り上げているわけだが、何やら普段と様子が違う。従来ならば政治家、有名人の女性スキャンダル、性暴行疑惑となると、フェミニスト、女性支援活動家、ジェンダー論者たちが血道を上げるものだ。
「常軌を逸したSNSへの連投」「なぜか自分も被害者と言い出す珍現象」「あらゆるボキャブラリーを駆使した罵倒」「五・一五事件を凌駕した問答無用の態度」
おおかたこんなところだろう。
ところが奇妙なことに名うてのフェミ議員、活動家たちがフジテレビ騒動について言及を避けているようだ。
フジテレビ、中居正広、女子アナウンサー、今、最もバズる要素があるワード。なにしろ承認欲求が強い活動家界隈のこと。フェミニストが一声挙げれば多くの賛同の声が集まるだろうし、また支持者たちも力強いメッセージを求めているはずだ。ところがフェミニストたちは沈黙する。
これまで「MeToo」「女性差別」と声高に叫んできた〝レギュラー〟たちがフジテレビ問題について我関せずの態度なのだ。
このような疑問を感じたのは筆者だけではなく、ネット上でも同様の意見が投稿された。関連のまとめ動画も少なくない。
【衝撃】フェミニストさん、フジテレビの上納問題で答え合わせwww
選挙ですら女性候補が敗れると「女性差別」を持ち出すケースもある。ところが本件については平素の威勢はどうした?というわけである。
声が高いお馴染みの顔という点では例外もいる。先の会見では東京新聞・望月衣塑子記者が例によってアジテーションを繰り広げた。その様はネットニュースにもなったが、いつも通り「質問」というより「吊し上げ」。フェミニストたちが好む私的制裁そのものだった。しかし望月記者は対象が大手マスコミであっても追及するという点では一貫している。
無実の町長さえもMeTooは牙をむいた
なぜフェミニストたちはフジテレビに沈黙するのか? 謎である。フェミニストといっても左翼活動家、立憲民主党・共産党・社民党支持者とイコールといってもいい。
ならば保守色が強いフジサンケイグループ中核企業、フジテレビ。TV局の中でも最適なターゲットといえるだろう。あるいは仮に問題が発生したのが産経新聞であれば今頃、大手町付近は「MeToo」のプラカードで溢れ返ったかもしれない。
これまでの行動パターンを考えれば、フェミニストや左翼活動家がお台場のフジテレビ社屋を包囲する―――。こうした活動は容易にイメージできた。
ある女性活動家はデモ活動などの行動を起こさない理由について「公共性が高いとはいえフジテレビは民間企業だから」とした。だがこれはおかしい。そもそもMeTooは2017年、米ハリウッド著名人がセクハラ、性的虐待を「見て見ぬふりするのをやめる」という運動から始まった。
日本ではフリージャーナリストの伊藤詩織氏が元TBSワシントン支局長からの準強姦被害を告発したことでMeTooが広まった。むしろ発端はTBSという民間企業社員である。
それから性加害が起きるたびに野党政治家、メディア関係者、活動家がパフォーマンスを行い声を挙げてきた。それは「被害を訴えた者が有理」といった強引なもの。
支える会 解散、逃亡する 活動家…「草津事件」に 潜むフェミ版 朝田理論
群馬県草津町長から性暴行を受けたと虚偽の被害を訴えた女性町議に名うての女性活動家たちが多数、便乗。町長の潔白が証明されても謝罪した女性活動家はただの一人もいない。どこ吹く風かと別のトラブルに移ってしまう。要するに訴えあるところに何でも食いつくダボハゼ方式なのだ。
そんなダボハゼ活動家たちは、まだ事実関係が判明しない中、草津町へ活動家が大挙しデモ活動を行った。この行動力からすればフジテレビ付近のデモなど造作もない話だろうが、お台場は至って平穏である。この違いは何だろう。
With youの野党議員さん、フジテレビは無視ですか
【GW特別企画】女性記者セクハラの温床は「報道機関」にあり!
女性支援運動、Metoo運動のパフォーマンスは報道陣にとっても格好の材料だ。集会、イベントは貴重な取材源。例外なくフジテレビも大きく喧伝したことだろう。そんなフジテレビが皮肉にもタレントの性加害疑惑で危機的状況を迎えている。
パフォーマンスは野党議員にとっても最適なPRの場だ。
2018年、財務省・福田淳一事務次官がテレビ朝日女性記者へセクハラ行為をしたことが報じられ辞任した。これに伴い野党議員らが中心になって「セクハラ被害者バッシングを許さない!4・23緊急院内集会」が開催された。
社民党・福島瑞穂参院議員、立憲民主党・大河原雅子衆院議員、共産党・田村智子参院議員(当時) 吉良佳子参院議員らが登壇。黒服で統一され「♯WithYou」のプラカードを掲げた。当時のレポート記事から発言を拾う。
福島氏は「福田事務次官がいまだに全体的としてはセクハラでないと言い、麻生大臣はセクハラかどうか分からないと言っていることが二次被害を生み、被害者を傷つけていることに怒っています。インターネット上の二次被害もひどいです」と訴えた。
福田事務次官はやがて辞任することになるが、フジテレビ問題の張本人、中居氏はすでに自身の非を認め、芸能界から引退した。事実関係はまだ確定していないが、会見でも港浩一社長は被害女性に対して「お会いしてお詫びしたい」と述べた。一部で囁かれる「性上納」という表現の妥当性はともかくフジテレビ側は問題行為を認めているではないか。
この点も非常に不可解である。
従来のフェミニストたちは事実関係が確定する以前から激しいバッシングを繰り広げたものだ。草津事件は最たる例。相手の反論さえも「二次加害」と考えるヒステリックなものだ。
その上で、先の野党議員たちに立ち返ろう。福田事務次官の抗議集会に出席した社民党・福島瑞穂参院議員、立憲民主党・大河原雅子衆院議員、共産党・田村智子参院議員(当時)、吉良佳子参院議員はフジテレビ問題について何か言及しただろうか。
全く聞こえてこない。こうしたトラブルが発生すると常に〝センター〟に位置するのが福島氏だ。ところがSNS等を見てもフジテレビ問題に言及した痕跡はまるでないし、抗議集会を開催したなどの話も全く聞かない。
1月21日、各氏になぜフジテレビ問題について言及しないのか問うた。
「質問状を見せましたが特に反応はありませんでした」(福島事務所秘書)
「党本部経由で依頼してほしい」(田村事務所)
「返答できるか検討します」(吉良事務所)
「質問状がまだ届いていません」(大河原事務所)→再送→無反応
という結果だった。結局、明確な回答はもらえず。普段は声が大きな面々。フジテレビにはその批判精神は向かないことについて説明を避けたのだ。
本人ではないが唯一、回答らしい回答だったのは社民党・福島党首だけ。質問した翌日22日、国会内の定例会見でフジテレビ問題に触れ、「今回のフジテレビの問題は、女性問題ではない。性暴力疑惑の問題」と訴えた。ここに至っていつもの福島節が戻ってきた印象だ。だが本来ならば福島党首は前のめりのはずだが〝らしさ〟を感じさせない。
日本財団・笹川陽平会長への忖度か?
フェミニストがフジテレビ問題に沈黙する現象を読み解くカギはどこか。
中には反論を試みるユーザーもいるが、しかし実際問題として福田事務次官セクハラ問題で声を挙げた議員たちから主張やメッセージがない。草津事件に至っては町長の言い分などお構いなしで犯罪者のように扱った。それに比してフジテレビ問題についていつもの威勢はどうした? 同様に違和感を抱く女性もいる。
都内の女性支援機関に参加する女性活動家はこう明かす。
「確かにフジテレビ問題は団体でも話題になっていません。関心はむしろ反自民、反原発、反共同親権です。特に反共同親権は上野千鶴子氏、有名女性弁護士が反対の立場だからその影響でしょう。女性支援の集まりといっても女性自身が自由に意見できない雰囲気があります。フジテレビ問題も言及しない方がいいと察したのかもしれませんね」
どうやらフェミニスト活動家内部でも取り扱いに苦慮しているようだ。次いで他マスコミ記者はこんな背景を説明する。
「フジテレビ問題が発生してからSNS上で2018年8月、日本財団・笹川陽平会長の別荘に自民党要人や日枝久会長が招待された写真が話題になっています。笹川会長は日枝氏、安倍元首相とも懇意にしています。ネット上では〝日本の支配者が集まった〟などといわれていますね」
フジテレビと日本財団、ただならぬ関係がある。
「石原都政時代からお台場カジノ構想が提唱されてきました。フジテレビは日本財団、三井不動産、鹿島建設の4社でIR・MICE事業を提案しました。何度も頓挫した計画ですが、関係各社はもちろん意欲的です。今年の都議選(6月22日)ではお台場カジノ構想が争点の一つになるかもしれません。関係者の間では6月末のフジテレビ株主総会、そして都議選の結果次第でカジノ構想が動き出す、と囁かれてきました。ところが性加害疑惑によってお台場カジノ構想は白紙になるでしょう」(同前記者)
放送事業が斜陽産業になった現在、フジテレビに限らず不動産事業が今後の生命線。フジテレビ単体のキャッシュフローが悪化しても、並列子会社の不動産事業などで資金繰りする思惑があったはずだ。
そこでお台場にIRを誘致して不動産事業の強化を狙いたいところだが、計画は厳しい状況である。
はっきりしていることはフジテレビと日本財団はIR事業で協力関係にあり、日枝会長・笹川会長も蜜月だ。ここにフェミニスト活動家を絡ませると別の視点が生じる。
「日本財団はジェンダー団体、女性シェルター、妊婦支援、若年女性支援、自立支援事業など女性団体に対して様々な支援、助成を行っています。フェミニスト活動家にとっても日本財団に頭が上がらないというのはありえること。もしフェミニストがフジテレビ問題に対して沈黙しているとすれば日本財団との関係が影響しているかもしれません」(同)
左派からは忌み嫌われるフジサンケイグループでしかもトップたる日枝会長が憎悪の象徴、故・安倍元首相らと談笑する写真がSNS上に散乱する。怒りの要素は十分揃ったわけだが、日本財団に対する忖度がフェミの刃を鈍らせた⁉ こう考えれば整合性がつくだろう。
テレビ局関係者はこんな内幕を明かす。
「現状はフジテレビだけが悪者ですが、他局・スポンサーも戦々恐々でしょう。今回の元女性社員の訴えについてスポンサー企業は人権上の問題としてCMを中止していますよね。ところが〝懇親会にあの女子アナを呼んでよ〟とスポンサー企業も似たような行為を行ってきたわけですよ。もちろんフジテレビに限ったことではなく業界の慣習といえます。3月には第三者委員会が調査結果を発表する予定ですが、キー局全体に影響するでしょうね。他局でも女子アナの処遇について問題提起や告発があるかもしれません」
いずれ女子アナまたは女性タレントを起用した過剰接待は他局にも波及して大きな社会問題になるかもしれない。その時、フジテレビ問題に沈黙したフェミニストたちはどう反応するのだろう。見ものである。