当サイトで注目してきた大阪市の中秋明月祭。関西の有力華僑が実行委員会を務め中国系イベントとしては西日本最大級だ。今年は10月4、5日の両日に開催されたが、日本側の芸能人ゲストで唯一、歌手の山本リンダ氏が出演。芸能人というより「創価学会の有力信者」という立場を中国側が重視しての起用とみられる。(写真右から薛剣氏、山本リンダ氏、王天佐実行委員長)
奇しくも自民党総裁選と同日だった

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中秋明月祭は大阪華僑総会、神戸華僑総会、京都華僑総会、西日本新華僑華人連合会から構成する実行委員会で開催される。在阪の中国人にとっては重要な祭事だ。開催概要によると中国では中秋の名月を旧正月の「春節」と同様に大切にされてきた節句で「中秋節」(zhongqiujie)として祝う。
例年、日本側からも大阪市副市長、国会議員、府議、市議らが来賓に招かれており、政界・行政とも結びつきが強いのだ。
今年の中秋の名月は10月6日のため4日(土)、5日(日)の開催となった。さて10月4日は日本にとっても重要な一日だったことは言うまでもない。自民党総裁選で高市早苗総裁が誕生した日だ。自民党内のリベラル派、公明党、マスコミが小泉進次郎氏(現・防衛省)、林芳正氏(現・総務相)を推す中で高市氏が下馬評を覆し勝利した。
同日、中秋明月祭に沸く中国陣営も総裁選の動向を見守っていた。
関係者の証言は興味深い。
「一度目の投票で〝親中派〟として中国側からの信頼も厚い林氏に票が集まった時は幹部たちが色めきだったものです。ところが期待に反して決選投票で高市氏が勝利すると明らかに落胆した様子でした。高市氏は反中と認識されていましたから、動揺するのは当然でしょう」
そして高市政権が発足。高市首相が台湾有事について「存立危機事態」と答弁したことで、大阪総領事・薛剣氏の〝汚い首を斬る〟発言を生んだのはご存知の通り。薛剣氏については前回記事が詳しい。
高市首相の台湾有事発言に反発 中国・薛剣大阪総領事「汚い首を斬る」発言の裏に悲壮な事情
自公政権で中国とのパイプ役になった公明党が離脱したことは今後、高市政権の対中政策にどう影響するのか注目だ。さて当の公明党、そして創価学会。日中間に国交がなかった時代から創価学会が外交の窓口役になったとの評価がある。一介の新興宗教団体に外交を委ねることに疑問を抱く人もいるだろう。だが現実問題として創価学会・公明党が中国と信頼関係を築いているのも事実だ。
実はそのことは中秋明月祭からも見てとれたのだ。
来賓に公明党参院議員とゲストに歌手の山本リンダ氏

10月4日、国会議員の来賓には地元選出の公明党・石川博崇参院議員が出席。そしてゲストには歌手の山本リンダ氏が登場した。山本氏は60,70年代には国民的人気を誇った歌手だ。代表曲に『こまっちゃうナ』『どうにもとまらない』、また『狙いうち』は野球応援歌として世代を超え親しまれる。
山本氏は有名人には違いないが、現在の「芸能人」としての価値は高いとは言えない。名曲を残したが失礼ながら「過去の人」ではないだろうか。むしろ創価学会の有力信者としての存在感の方が強いかもしれない。彼女は「創価学会芸術部女性部長」などを歴任した幹部信者。選挙でも街頭演説に応援へ駆けつける。
中国側は創価学会の有力者・山本リンダ氏を重視しての起用だろう。

74歳になったが往年のスタイルを保つ山本氏。中秋明月祭で有力者と記念撮影だ。写真右はご存知、中国大阪総領事の薛剣氏の隣に山本氏、そして中秋明月祭実行委員長の王天佐氏だ。同氏は地元財界人にも通じた中国側の重要人物。PCR検査など医療事業、不動産業などを営み華僑はもちろん日本の実業家からも一目置かれる。
その3氏による〝狙いうち〟ポーズでスリー・ショット!現在の日中関係を考えると、その指先は何を捉えているのか実に意味深なポーズと言える。
先の関係者はこう感心する。
「先の参院選で当選3回の実績がある公明党・杉久武氏(大阪選挙区4位)は当選したものの新興勢力の参政党・宮出千慧氏(同区3位)に抜かれました。〝常勝関西〟と呼ばれた公明党ですが、確実に票は減退しています。そんな中、中秋明月祭に学会著名人が招かれたのは中国とのパイプ役として健在ということかもしれません」
大阪の中秋明月祭で学会の底力を見せたのか。
創価学会と公明党が中国との対話窓口であることは認めざるをえない。公明党が連立離脱したことは日中関係に少なからず影響を与えるだろう。しかし仮に連立政権に復帰したとしても、それもまた〝こまっちゃうナ〟である。




あいつらはパイプ役と言うよりも出先機関
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