「告発24」と「破産者マップ」“削除ビジネス”に 便乗する弁護士

カテゴリー: ネット | タグ: , | 投稿日: | 投稿者:
By 宮部 龍彦

何らかの負い目があると思われる個人や企業の実名や住所を掲載し、金銭と引き換えにそれらの情報を削除するウェブサイトがある。代表的なものが「告発24」と「新・破産者マップ」である。

やっていることは恐喝に近いのだが、長らくの間、これらのサイトが摘発される様子はない。2つのサイトの運営者は、いずれも未だに不明なのだが、今回、告発24から情報を削除させたという複数の人から証言を得ることが出来た。また、これらのサイトに便乗して報酬を得ている弁護士の存在も明らかになった。

「告発24は アンタッチャブルです」

告発24は詐欺や性犯罪を中心に、犯罪を犯しているとされる個人、そして何らかの不祥事を抱えているとされる企業の実名と住所を掲載しているサイトである。告発を投稿するフォームが用意されていおり、実名、住所、電話番号、生年月日など、なるべく詳細な情報を投稿することが推奨されている。そして、現在も多数の情報が掲載されている。日本国外の匿名性の高いサーバーで運営されていると考えられ、サイトとのやり取りは、これもまた匿名性の高いプロトンメールという匿名性の高いメールサービスを使って行われているため、未だに運営者は不明である。

「私は告発24の掲載対象になったのですが、放置していました。しかし、実害が出始めたので、いろいろなアプローチを試しましたが有効ではありませんでした。そこで、ある方から情報をもらって削除に至りました」

そう語るのはA氏。しかし、削除に至るまでの具体的な方法については口をつぐむ。

「(告発24は)かなりやばいです。アンタッチャブルだと感じています。関係者を刺激したくありません。調べようとしただけでライターが行方不明になるでしょう」

ずいぶんと大げさな言い方だが、さらに突っ込むとヒントを教えてくれた。

「告発24は、削除料を取っています。告発24に対応する専門の弁護士がいます」

告発24について検索すると、幾つかの情報が出てくる。サイトでは明示していないものの、フォームで削除要請をすると、5万円分のビットコインを要求されるというものだ。

また、「告発24は削除依頼出来る」と謳い、弁護士事務所の広告が掲載されたサイトが出てくる。

その弁護士事務所というのが「弁護士法人ワンピース法律事務所」、代表は杉山雅浩弁護士となっている。A氏に、この弁護士かと聞くと「そこですね」ということだ。

しかも、杉山弁護士はフェイスブックで「完全成功報酬で失敗したら返金します」と言っている。

なお、A氏によれば「今は成功報酬と言ってますが、以前は確実に消せると言ってました」ということなのだ。

1回10万円、期間保証なら20万円

この杉山弁護士については、別の人(B氏としておく)からも情報が寄せられた。

「私はある人から借金をしていて、たぶんそのせいで告発24に載せられました。いろいろな弁護士に相談したのですが、誰に聞いても断られました。あのサイトは外国サーバーを使っているからどうにもできないと言うのです」

しかし、唯一杉山弁護士だけが対応が違った。

「本当にいろんな弁護士に相談したのですが、応じてくれたのは杉山弁護士だけです。杉山弁護士に相談したら1回の削除で10万円、20万円払えば3ヶ月か半年だったか忘れましたが、再掲載もされないことを保証すると言っていました」

ただ、B氏は何か怪しいと感じて、結果的に杉山弁護士には依頼しなかったという。

「告発24のフォームから連絡すると、債権者が5万円払えば情報を消すと要求が来ているというような返信が来ました。そこで、ビットコインで5万円分払ったら本当に情報が消えました」

しかし、告発24の返信には嘘も含まれていたようである。

「後で債権者に聞くと、告発24のことは知らないと言われました。最終的に借金は返したのですが、借金の返済に加えて削除料を払うことになってしまいました」

B氏に起こった出来事が本当だとすると、告発24の行っていることは、詐欺に近いと言える。

破産者マップも 削除できる!?

A氏は杉山弁護士が告発24と結託していることを疑っていたようであるが、B氏の話から推定すると、杉山弁護士は10万円のうち5万円を告発24を支払い、残りを利益としていると考えるのが自然だ。筆者がそう考える理由は、仮に杉山弁護士が告発24と直接つながっているのであれば、確実に消せると保証できるはずだし、もっと安い金額でも利益が出るはずだ。

この筆者の推定を検証するために、杉山弁護士に連絡を取ってみた。そして、あえて告発24ではなく「新・破産者マップ」からの削除が出来るか聞いてみた。

新・破産者マップは官報の破産者情報を地図上に落とし込んだサイトで、6万円または12万円でその情報を削除できることを堂々と謳っている。日本の個人情報保護委員会からサイトの閉鎖を命じられており、今年の1月には個人情報保護委員会としては初となる刑事告発までされているが、未だに摘発されていない。

杉山弁護士は新・破産者マップからの削除について宣伝している様子はない。杉山弁護士が新・破産者マップの運営業者を知っているとは考えにくい。なぜなら、新・破産者マップは警察の捜査対象になっている可能性が高く、関与すれば杉山弁護士自身が法的なリクスを負うことになるからだ。しかし、筆者が思った通りなら、杉山弁護士は削除を請け負うはずだ。

ワンピース法律事務所に電話し、新・破産者マップから消せないか聞いてみたところ、なんと依頼を請けるということであった。そこで言われたのは、手付金が5万5000円ということだ。

さらにLINEのIDを教えてもらえたので、さらに詳しく聞くと、成功報酬は16万5000円、総額が22万円ということである。つまり、新・破産者マップに削除料を支払っても、確実に利益が出る金額である。

そこで単刀直入に「22万円のうち12万円を破産者マップ側に渡すのでしょうか」と聞くと杉山弁護士は「はい」と認めた。

取材であることを明かした上で、告発24も同じことだったのか聞くと回答を拒否された。しかし、いずれのサイトの運営者も知らないということを認めているので、ほぼ確実に筆者の想像どおりであろう。いわゆる“弁護士らしい”法的手段を取るなら、相手の特定は必須であるはずで、そうでないということは、やはり削除料を支払っているということなる。

“削除ビジネス”に 金を払ってはいけない

現時点では、少なくとも件の2つのサイトについては、弁護士は当てにならないと考えるべきだろう。杉山弁護士に限らず、削除できると謳う弁護士に依頼すれば、結局はサイト側に金銭が支払われることになる。

とすると、直接サイト側に金を払えば良いのかと言えば、それも推奨できない。何よりもそれは、この類の削除ビジネスを助長することになってしまう。

特に新・破産者マップについては官報で公告された情報がもとになっているので、同様の情報は合法的に流通しているし、同様の削除ビジネスを行う別のサイトが立ち上がって、そこに情報が再掲載される可能性を排除できない。

告発24については、違法な金融業者が関わっていたり、あるいは実際に犯罪に関わっている人の負い目に乗じて、言わば「盗人の上前を取る」ようなビジネスをしていたりする可能性もあるので、関わらないことが一番だろう。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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「告発24」と「破産者マップ」“削除ビジネス”に 便乗する弁護士」への5件のフィードバック

  1. :

    >やっていることは脅迫に近いのだが

    ここは正確には「恐喝」ではないですかね。金銭目的で脅すのが恐喝。金銭目的でないのが脅迫。
    #b3b5c3d7198d34a6e37331d6064de4e9

    返信
  2. てんちゃん

    取材だと明かした後だし、「まったく不明」というのは嘘である可能性も高いのでは?

    #ce3ff292f2fb82a1f8e05246798fe0d1

    返信
  3. 藤澤孝弘

    私は、障がい者です、しかしながら意識は、はっきりしている。私を6年半陰口や悪口三昧でいじめ、時に意地悪をして悪3人集は常に集い、私をバカにしたりしていじめる。舞台は、愛知県岡崎市緑ヶ丘町にあるゲオ岡崎緑ヶ丘店、私は一応専門学校卒だ、しかし障がいだからと言って何もさせずただ6年半も荷物持ちにさせ自分たちは私をw笑い嘲り捲ってる。私のパソコンをハッキングしてる、山本陽子、そいつはお局とか自ら言いいじめの先駆者だ、そいつは、ウィニーを使い私のパソコンをハッキングしてプライバシーの侵害をして私の状況や占いなどの事迄も暴露し私を散々辱めてるのである、そして、こいつは私に痛い事ばかり言い常にいじめる、抑圧者Aである。そして、2人目の竹村知恵は、私の悪口を散々言いバカにし私をバカだと言う許せない差別主義者だ、こいつは私に何も教えず好きな人だけを可愛がり私に何一つ教えなかった許せない奴で陰口を散々言い私を悩ませる奴だ。こいつは抑圧者Bそして、女王蜂の宇田玲子、一見信頼が寄せられいじめなどしない様に見えるが、こいつは同調して奴らの言い分を聞き私の言い分を0%しか聞かず奴らいじめっ子達の抑圧者ABが仕事上大事だから私を犠牲にして私を踏みつける事ばかりに同調し、私を抑えつける側の総本部、私の昇格に反対する抑圧者Aと抑圧者Bに同調し、私と仕事するのが嫌なので私を抑圧者Aと抑圧者Bと組み私を悪く言い散々私の昇格にも反対して私を拒もうとしてる張本人だ、この女王蜂もお局も、抑圧者A達は散々人を辞めさせて人を虐めて来た。私も、いじめのターゲットにして私を散々バカにしたり最近は無視してる、だから私は、次第に出社拒否症になり、コンプライアンスに訴えるも、両者から話を聞くとバカな拘りを見せたからいじめの対策にはならないのである、こんないじめを許して良いのだろうか?大人のいじめがあるから、いじめ社会だからこそ日本の癌がいじめだと言う事の認識や、いじめがいかに卑怯だと言う事を理解してない現状だ、どうかゲオ岡崎緑ヶ丘店及びゲオの実力至上主義と言うアメリカメイタ嘘っぱちなご都合主義への批判を込めて取り上げて欲しく思います。

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