静岡県社会課『地方改善実例』大正十三年三月には次の通りに記されている。
沼津市本字栄町
戸数三十九、人口二百二十六、職業商・工・雑業。交通東海道線沼津駅より数町。
一般民と同等の交際を為し、たまたま其部落民たるを知るものあるも、町全体としては、より下級のもの幾多存すると、其実力の侮るべからざるものもあることにより、軽蔑するものなく、かつ町民の多数は其部落民たるを知らずして商取引万端何の支障を見ず。区民中十数戸は市内中心地に出でて営業し、自然に同化の実を挙げ、又巨万の資産を有するもの二、三戸あり
後に菊池山哉はこう記している。
◯本町と言ふから、沼津として一番古い町である。今は町の真中で、細工屋、靴屋、太鼓屋、肉屋等雑業が多い。特異な曲輔の一つである。三十六戸ばかり。
◯鎮守は八幡神、境内に安産守護子持石なる大石がある。